1. 参院選の選挙公報、全国で水増しが起きている可能性、流山市のケースは氷山の一角、背景に新聞社による「押し紙」政策

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参院選の選挙公報、全国で水増しが起きている可能性、流山市のケースは氷山の一角、背景に新聞社による「押し紙」政策

7月14日付けのメディア黒書で既報したように、新聞に折り込む参院選の選挙公報が、新聞の配達部数を大幅に超えて、新聞販売店に搬入されていることが千葉県流山市で発覚した。過剰になった選挙公報が山積みされている現場を、筆者は確認して、新聞販売店の店長に事実関係を確認した。

実は、流山市では4,5年前から、「押し紙」とそれに連動た折込媒体の水増しが発覚して、地元の市議が市議会で繰り返しこの問題を追及してきた。

たとえば、2021年10月時点での流山市のABC部数(新聞の公称部数)は、36,815部だったが、同市はこの数字をはるかに上回る50,128部の広報紙(流山市発行)を広告代理店に発注していた。その結果、たとえ「押し紙」が1部も存在しないとしても、1万3000部ほど折込媒体が過剰になっていた。これについて市当局は、広告代理店から指示された部数を発注しているだけと回答した。こうした問題は放置された。状況は改善しなかった。

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しかし、ここから先が重要なのだが、折込媒体が水増しされる責任は新聞販売店にあるわけではない。新聞販売店は、「押し紙」(ノルマ部数)によって生じる損害を、折込媒体の収入や、新聞社からの補助金によって相殺せざるを得なくなっている。それにもかかわらず販売店経営が黒字になるとは限らない。

実際、今回、筆者が取材した販売店は、副業として「宅配」業も営んでいた。

最も問題なのは、「押し紙」による損害を、折込媒体の水増しや補助金で相殺する新聞のビジネスモデルである。新聞社が「押し紙」政策を中止すれば、問題は解決する。

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警察も司法もこの問題にはメスを入れない。ビジネスモデルにメスを入れることが、新聞社経営に決定的な負の打撃を与えることを知っているからだ。新聞社(テレビ)は、日本の権力構造に組み込まれており、それを切り捨てることは、大規模な世論誘導の道具を捨てることになりかねないからだ。

その結果、選挙公報の水増しが堂々とおこなわれているのである。

これはなにも流山市に限ったことではない。ほとんどの新聞社が「押し紙」政策を行っているので、選挙公報を新聞折込で配布する自治体では同じことが起きている。