2026年04月16日 (木曜日)
「高市内閣の支持率71%」、メディアと公権力の癒着、わたしたちはなぜ世論調査を鵜呑みにするのか?

4月4日と5日にJNNが実施した世論調査によると、高市内閣の支持率は71.5%で、不支持率は23.7%だった。一方、高市首相が所属する自民党の支持率は35.0%だった。これら2つのデータは、実態と整合していないと感じる人も多いのではないか。
このところ自民党離れが進んでいることは、地方自治体の選挙結果を見れば一目瞭然だ。東京の清瀬市で共産党の市長が誕生したのに続いて、東京の練馬区でも共産党が自主支援した候補が区長に当選した。福井県知事選や石川県知事選でも、自民党が推薦した候補が敗北した。
日本の巨大メディアが定期的に発表している世論調査の数字に信頼性はあるのだろうか。筆者は、信頼すべきではないという見解を持っている。巨大メディアと公権力機関との距離が近いという理由に加えて、第三者による監視のプロセスを経ずに公表されているからだ。自分たちが好き勝手に数字を捏造することが可能になっているからである。それは一部の市民運動体が、自分たちに好都合な情報を脚色し、客観的な情報を提供しないのと同じである。
巨大メディアと公権力機構の間には、莫大な資金を媒介とした癒着・腐敗がある。その典型が、メディア黒書で繰り返し指摘している「押し紙」制度である。過去の記事と重複するのを承知で、「押し紙」が生む巨額の不正を示す試算を紹介しよう。
■試算
2004年、毎日新聞社の記者が、社長室から1通の内部資料を持ち出した。「朝刊・発証数の推移」と題する内部資料である。この資料には、毎日新聞の部数内訳が記録されていた。
それによると、2002年10月時点における毎日新聞の公式部数は3,953,466部である。これに対して、新聞販売店が読者に発行した領収書の数(発証数)は2,509,139枚である。差異にあたる約144万部が、1日あたり全国で発生していた毎日新聞の「押し紙」であったと推測できる。
※厳密に言えば、販売店に搬入される新聞の2%は予備紙であり、「押し紙」の定義には含まれない。しかし数字が小さいため、ここでは詳細には踏み込まない。
「押し紙」1部の卸代金を1500円として試算すると、「押し紙」による販売収入は月額で21億6000万円になる。年間では約259億円となる。次の計算式である。
1500円(新聞の卸価格)×144万部(「押し紙」部数)=21億6000万円(月額)
21億6000万円(月額)×12か月=259億2000万円
公正取引委員会が毎日新聞社にメスを入れれば、同社は年間で約259億円の販売収入を失うことになる。もっとも、「押し紙」を買い取るために販売店へ支出する補助金が相当額にのぼるとしても、部数の水増しによって紙面広告の価値も水増しされるため、不正な利益の額は尋常ではない。
参考までに裏付け資料も紹介しよう。
「押し紙」のほかにも、日本の巨大メディアは、①新聞に対する消費税の軽減措置、②文部科学省の学習指導要領で新聞の教材利用を推奨する国策、③記者クラブ制度、などさまざまな恩恵を受けている。端的に言えば、経済的な利益を得ることで、ジャーナリズム企業としての独立性を欠いているのだ。
◆新聞社とテレビの系列関係
余談になるが、日本のテレビ局は新聞社と系列関係にあるため、「押し紙」はメディア全体の問題といえる。新聞社だけの問題ではない。先の試算で示したような巨額の不正資金が、独占禁止法による取り締まりの対象にならないのは、メディアそのものが日本の権力構造に組み込まれているからにほかならない。
新聞部数を偽ってきた巨大メディアにとって、世論調査の数字を操作する程度のことは朝飯前だ。
◆なぜ世論調査に騙されるのか?
メディアによる世論調査の数字を鵜呑みにしている代表的な層は、政治学者である。世論調査の数字を把握しなければ、政治を論じる際に支障を来すからだ。したがって、世論調査の数字は正確だという前提に立って政治を論じる。
政治学者以外の層も世論調査を信用する傾向がある。日本の教育制度の下では、小学校から高校まで断片的な知識の詰め込みに重点が置かれ、生徒が自分の頭で物事を考えるトレーニングが十分に行われていない。その結果、教員の説明を鵜呑みにする。いわゆる「お受験」の弊害で、権威のある情報をそのまま受け入れる人間を量産している。
改めて言うまでもなく、世論調査のデータは世論誘導の有力な道具にほかならない。新聞の部数を大幅に偽り、巨額の冨を得ている連中が、世論調査に限り、正確な数字を公表することなどあり得ないだろう。
2025年12月23日 (火曜日)
鵜呑みにされる高市内閣の高支持率――マスコミ世論調査の検証なき権威

マスコミが定期的に公表している世論調査のデータに、確たる裏付けはあるのだろうか。これらのデータは、第三者による独立した検証を経たうえで公表されているわけではない。言い換えれば、「身内」で結論づけられたデータである。
10月に発足した高市内閣は、高い支持率を維持しているとされている。以下に示すのは、直近で公表された主な世論調査の結果である。
FNN・産経新聞:75.9%(12月21〜22日)
読売新聞:73%(12月19〜21日)
毎日新聞:67%(12月20〜21日)
高市首相の政策や言動は、自民党内の一部を含む保守層からも批判を受けている。しかし、マスコミが公表する内閣支持率はいずれも高水準だ。しかも、引用した数字からも明らかなように、高市首相に親和的とされる右派系メディアほど、より高い支持率を示す傾向が見られる。
それにもかかわらず、日本ではおそらく99%の人々が、これらの公表数字をほぼ無批判に受け入れ、それを前提として政治評論を行っている。結果として、世論誘導に加担しているとも言える状況だ。
一部の「市民運動」が発信する情報が、自己都合的で裏付けに乏しいと批判されることは多い。しかし、マスコミが公表する世論調査の情報も、検証という点では本質的に同様の問題を抱えている。にもかかわらず、メディア研究者ですら、それらを本格的な検証対象として扱うことはほとんどない。
参考記事: マスコミ世論調査を疑う背景と根拠、中央紙の年間の「押し紙」収入、420億円から850億円──内閣支持率82%?
新聞業界から総額370万円の政治献金、高市早苗首相ら74人へ

新聞業界から、2024年度に自民党や公明党の議員に対して総額370万円の政治献金が行われていたことが、最新の政治資金収支報告書で分かった。献金を受けた議員は74人で、1人あたり5万円程度になるが、高市早苗首相も献金先に含まれている。
献金元は、日本新聞販売協会(日販協)の政治団体である日販協会政治連盟だ。日販協は新聞販売店の業界団体で、新聞業界による政界工作の窓口となってきた経緯がある。過去には、再販制度の維持や新聞への軽減税率適用を求め、繰り返し政界に働きかけてきた。
新聞発行本社が直接政界工作を行うことは、ジャーナリズムの中立性という観点から批判の対象となり得るため、その役割を日販協が担ってきた。しかし、新聞社の収益構造に公権力が影響を及ぼすようになれば、紙面での徹底した公権力批判は困難になる。むしろ「広報部」へと変質する危険性があり、世論調査の信ぴょう性にも疑念を生じさせる負の要素となる。
筆者は20年以上にわたり日販協会政治連盟の政治資金を監視してきたが、国政選挙が行われる年度には献金額が増える傾向がある。2024年度は、10月27日に衆議院議員総選挙が実施された。
「紙の爆弾」が、高市首相の狡猾な資金作りを報道、2012年度だけで約300万円、奈良地検は起訴せず

11月7日発売の『紙の爆弾』に、筆者(黒薮)が執筆した「高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑」と題する記事が掲載された。
この記事では、政治献金の還付制度を利用して資金を捻出したとされる手法について述べている。報道や公開資料によれば、高市氏は2012年度だけでも約300万円の還付金を受け取ったとされている。
政治献金の還付制度とは、有権者が政治献金を行った場合、確定申告の際に税務署で所定の手続きを行うことで、一定割合の金額が還付される制度である。還付額は献金額のおおよそ30%(厳密には、寄附額から2,000円を差し引いた金額の30%)である。
また記事では、高市氏が新聞業界から政治献金を受けてきた点にも着目している。これらを通じて、「政治と金」の関係について考えることを目的とした内容である。
メディア黒書ではこれまでも高市氏に関わる政治資金関連の事案を継続的に取り上げてきた。
【再掲載】高市早苗総裁によるマネーロンダリングの手口を解説する

次の記事は、2017年3月14日にメディア黒書に掲載した記事の再録である。高市早苗・自民党総裁が総務大臣の時代に行ったマネーロンダリングの手口を解説したものである。
他にも高市総裁に関する記事は、新聞業界からの政治献金問題をはじめ、メディア黒書に多数掲載している。
市総務大臣に対する刑事告発が受理された。
筆者らの刑事告発を奈良地検が受理したのである。高市氏による「マネーロンダリング」の手口を、奈良地検は詐欺罪として受理したのである。。
なぜ、「マネーロンダリング」なのか?具体的な資料を示しながら、それを解説しておこう。
繰り返しになるが、高市氏がやっていた不正は還付金制度を悪用したものである。次のような仕組みだ。
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定められている。つまり議員がこれをやれば違法行為である。それが地検の見解だ。
高市氏は、「投資資金」の一部を、自身の政党支部から調達していたのである。つまり資金を還流させ、その還流のプロセスで還付金を受けていたのだ。計画性があって極めて悪質といえよう。
◇資金の還流を検証する
次に示すのが、高市氏の政党支部(自民党奈良県第2選挙区支部)から、高市氏が受けた寄付を示す証拠である。
2009年8月10日に580万円、8月28日に200万円の寄付を受けている。これを原資とし、その他の「資金」も加算し、2009年度に「山本早苗」の名前で、総額約1620万を自分の政党支部に寄付している。
この寄付を根拠として、高市氏が受け取った還付金は約485万円である。その証拠は、次の還付金を受けるための手続きを示す書面だ。
計画的に資金を還流させることで、約485万円の還付金を手に入れたことになる。
◇「客観報道」すら放棄
こうした行為に違法性があるかどうかは意見が分かれているが、地検は違法と判断したのである。それ自体がニュースである。政治家の倫理として問題があるのは間違いない。新聞・テレビは、この事件を報道すべきだろう。一国の総務大臣に対する刑事告発が受理された事実は、極めてニュース性が高い。
報道しないようであれば、マスコミ関係者が常に口にする「客観報道」すら実行していないことになる。「客観報道」が神話・幻想であることを認めたも同然だ。
高市氏は、総務大臣を辞任すべきだろう。
新聞業界から高市早苗議員に対して政治献金、3年間で40万円

新聞関係者から自民党の高市早苗議員に対して、政治献金が提供されていることが判明した。2019年度の政治資金収支報告書によると、全国の新聞販売店で構成されている日販協政治連盟から、20万円の献金が高市氏が支部長を務める自由民主党奈良県第2選挙支部へ行われている。
また、2018年度には、10万円が自由民主党奈良県支部連合に献金されている。自由民主党奈良県支部連合の住所は、奈良県大和郡山市筒井町940-1となっており、高市氏の事務所の住所と一致している。これは献金の受け取り人が高市氏であることを示している。
さらに2017年度にも10万円の献金を受けている。
献金の目的は不明だが、新聞に対する軽減税率適用の継続、再販制度の継続、学習指導要領に新聞の使用を義務付ける方針の継続などである可能性が高い。
2021年09月04日 (土曜日)
高市早苗・元総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、自身の政党支部へ自身で総額約1620万を寄付、約485万円の還付金を受け取る

この記事は2017年3月14日に、メディア黒書に掲載したものである。高市早苗議員(当時、総務大臣)のマネーロンダリングを解説した。この事件で市民運動家と志岐武彦市とわたしが高市氏を刑事告発して、奈良地検が受理した事件である。高市氏は不起訴になったが、倫理上の問題があるのは明白だ。
以下、記事を再掲載する。タイトルは変更した。
高市総務大臣に対する刑事告発が受理された。
高市氏による「マネーロンダリング」の手口を、奈良地検は受理したのである。。
なぜ、「マネーロンダリング」なのか?具体的な資料を示しながら、それを解説しておこう。
高市氏がやっていた不正は還付金制度を悪用したものである。次のような仕組みだ。
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ自分で献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定められている。つまり議員がこれをやれば違法行為である。それが地検の見解だ。
高市氏は、「投資資金」の一部を、自身の政党支部から調達していたのである。つまり資金を還流させ、その還流のプロセスで還付金を受けていたのだ。計画性があって極めて悪質といえよう。
◇資金の還流を検証する
次に示すのが、高市氏の政党支部(自民党奈良県第2選挙区支部)から、高市氏が受けた寄付を示す証拠である。
2009年8月10日に580万円、8月28日に200万円の寄付を受けている。これを原資とし、その他の「資金」も加算し、2009年度に「山本早苗」の名前で、総額約1620万を自分の政党支部に寄付している。
この寄付を根拠として、高市氏が受け取った還付金は約485万円である。と、いうのも寄付者は、確定申告をする際に寄付金を控除申告すれば、寄付額の30%の払い戻しを受けることができるからだ。
還付金受け取りの証拠は、下記の書面だ。
計画的に資金を還流させることで、約485万円の還付金を手に入れたことになる。
◇「客観報道」すら放棄
こうした行為に違法性があるかどうかは意見が分かれているが、地検は違法と判断したのである。それ自体がニュースである。政治家の倫理として問題があるのは間違いない。新聞・テレビは、この事件を報道すべきだろう。一国の総務大臣に対する刑事告発が受理された事実は、極めてニュース性が高い。
報道しないようであれば、マスコミ関係者が常に口にする「客観報道」すら実行していないことになる。「客観報道」が神話・幻想であることを認めたも同然だ。
■写真出典:Wikipedia
2018年11月30日 (金曜日)
奈良検察審査会に審査を請求、高市早苗議員の政治資金問題、説明になっていない奈良地検の説明

市民運動家の志岐武彦氏と筆者は、奈良地検が下した高市早苗議員(自民)の不起訴決定を不服として、18日、奈良検察審査会に審査を請求した。
この事件は志岐武彦氏が、高市早苗議員の政治資金の実態を調べた結果、浮上したものである。複雑なようで単純な構図だ。大阪毎日放送が、一度だけテレビで取りあげたが、なぜか続報がない。
読者は、政治献金の還付金制度をご存じだろうか。これが事件のキーワードなのだ。
簡単に言えば、有権者が特定の政党支部に政治献金をした後、税務署で所定の手続をすれば、寄付した金の30%が税金からバックされる制度だ。こうした方法で、政府は国民の政治参加を奨励しているのである。
ただし、ここから先が肝心なのだが、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」ことが法律で定められている。その「特別の利益が及ぶ」人に高市氏が該当するのに、還付金を受け取ったというのが告発人(志岐氏、黒薮)らの主張だ。
【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。
それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。
「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。
高市議員は、平成24年に1000万円を、平成25年に300万円を自らの政党支部へ「寄付」して、還付金を受けていたのだ。その総計は、約390万円になる。自分で自分の支部へ寄付したわけだから、資金を動かすだけで、「持ち金」を30%増やしたことになる。
◇所得税法にも抵触
既報しているように、志岐氏と筆者は2017年2月に、最初の刑事告発を行った。本来は租税特別措置法違反を理由にするのが妥当だが、この法律には罰則規定がないので、詐欺罪で告発した。
しかし、奈良地検は告発を受理したものの、不起訴と結論づけた。詐欺には該当しないと判断したのである。
その後、この種のマネーロンダリングが所得税法にも抵触することが分かった。参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。言葉の相関関係が複雑で、分かりにくい文章だが、「偽って税還付を受けた者は、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金を課せられる」とする論旨である。(注:太文字は黒薮)
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条[非居住者に対する準用]において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条[外国税額控除]の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
◇「捜査の結果です」
そこで再び高市議員を刑事告発した。この時は、所得税法違反を根拠とした。奈良地検は、告発を受理したが、最終的には不起訴とした。志岐氏が執拗に理由を尋ねたが、「嫌疑なしだからです」とか、「捜査の結果です」とか言うだけで、具体的な説明はできなかった。
志岐氏が説明を求めた肝心な点は、なぜ高市氏のやったことが租税特別措置法や所得税法に違反しないのかという点なのだが。
そこで志岐氏と筆者は、やむなく11月18日に、奈良検察審査会に審査を請求(受理済み)したのである。
2018年08月31日 (金曜日)
奈良地検が高市前総務大臣を不起訴に、政治献金のマネーロンダリング問題、政治判断により権力者は起訴されない日本の実態

筆者と志岐武彦氏が奈良地検に対して提起した高市早苗元総務大臣に対する刑事告発が、28日付けで不起訴となった。高市氏に対しては、最初は詐欺容疑で、2度目は所得税法違反で刑事告訴をおこない2度とも受理された。しかし、1回目に続いて、2回目も不起訴となった。
事件の詳細については2回目の受理の際に掲載した次の記事を参考にしてほしい。
【参考記事】奈良地検が高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理、政治家によるマネーロンダリングにメスか?
【事件の構図と還付金制度】
議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。
それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。
「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。
たとえば議員が1000万円を自分の支部へ寄付して、それに準じた還付金を受けるケースである。この場合、献金が政党支部に1000万円入るほかに、議員個人にも還付金が約300万円入る。政党支部の長を議員が務めるわけだから、「1000万円+300万円」は議員の手持ち資金となる。金を移動させるたけで、金がふくらむのだ。これがマネーロンダリングである。
税の騙し取り以外のなにものでもない。
◆2012年に約300万円の還付金、ほか
高市議員はこの制度を利用して2012年(平成24年)に、1000万円を自分の支部へ寄付して、約300万円の還付金を受けたのである。

他年度にも同じ手口を使っているが、すでに時効になっており、刑事告発の対象は、2012年度分だけになった。
■「高市氏⇄支部」相互寄付・税還付・告発(予定も)の関係一覧
◆本来であれば牢獄に入る人々が・・・
筆者は、これら一連の不起訴は政治判断の結果である可能性が高いと見ている。秋に第5次安倍内閣が発足する前に、「汚点」をすべて払拭しておきたいというのが、日本を牛耳っている人々の思惑ではないか。高市氏が閣僚に復活する可能性もあるだろう。
森友事件、加刑事件で本来であれば牢獄に入る可能性が高い人々が軽々と法の網の目を潜り抜け、刑事責任を免れているのと同じ流れの中で、高市氏も起訴を免れたとみている。日本で3権分立が確立していれば、まず、あり得ない判断だ。奈良地検が公正であれば、少なくとも「起訴猶予」ぐらいの処分にはなっただろう。
マネーロンダリングが犯罪にならないのであれば、政治家は高市氏と同じようにペーパー数枚で、資金を大幅に増やすることが可能になる。たとえば1000万円を自分の支部に寄付して、還付金を300万円受けることが認められることになる。この300万円の財源は、改めていうまでもなく税金にほかならない。納税者が怒るのもあたりまえだ。
こうしたデタラメを禁止するのが司法の役割のはずだが、奈良地検は役割を果たしていない。。
◆裁判でも政治判断が多発
筆者は、裁判においては、政治判断が繰り返し行われてきたのを知っている。その典型的な例は、特定秘密保護法の違憲性を認定させる裁判である。誰がみても違憲だが、裁判所は政治判断で合憲としたのだ。
筆者が被告となった読売裁判もおかしかった。筆者が、地裁、高裁と勝ち進んでいるのに、極めて狭き門の最高裁がわざわざ口頭弁論を開いて、判決を高裁に差し戻し、筆者を逆転敗訴させたのだ。
【参考記事】自由人権協会代表理事の喜田村弁護士らが起こした2件目の裁判、「窃盗」という表現をめぐる攻防③
権力を持てば絶対に起訴されたり、裁判で敗訴しない日本の実態。誰も気づいていないだけで、すでに独裁国家への道を歩みはじめている。その実態は、想像以上に深刻だ。
2018年05月24日 (木曜日)
奈良地検が高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理、政治家によるマネーロンダリングにメスか?

奈良地検は、志岐武彦氏と筆者が連名で申し立てていた高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理した。志岐氏が22日に、奈良地検とコンタクトを取って分かった。
この事件は、メディア黒書でも繰り返し報じてきたが、再度概要を説明しておこう。端的にいえば、高市議員によるマネーロンダリングを問題視したのである。同様の事件で森ゆうこ議員も、志岐武彦氏が告発し、地検はそれを受理している。
その悪質極まりない手口を理解するためには、あらかじめまず政治献金の還付金制度に言及しなければならない。
【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。
それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。
「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。
たとえば議員が1000万円を自分の支部へ寄付して、それに準じた還付金を受けるケースである。この場合、献金が政党支部に1000万円入るほかに、議員個人にも還付金が約300万円入る。政党支部の長を議員が務めるわけだから、「1000万円+300万円」は議員の手持ち資金となる。金を移動させるたけで、金がふくらむのだ。これがマネーロンダリングである。
税の騙し取り以外のなにものでもない。
◇高市議員のケース、一部は時効
高市議員はこの制度を利用して2012年(平成24年)に、1000万円を自分の支部へ寄付して、約300万円の還付金を受けたのである。
他年度にも同じ手口を使っているが、すでに時効になっており、刑事告発の対象は、2012年度分だけになった。
■「高市氏⇄支部」相互寄付・税還付・告発(予定も)の関係一覧
◇所得税法にも抵触
既報しているように、この事件は2017年2月に、最初の刑事告発を奈良地検に対して行った。本来は租税特別措置法違反を理由にするのが妥当だが、この法律には罰則規定がないので、詐欺罪で告発した。
しかし、奈良地検は告発を受理したものの、不起訴と結論づけた。詐欺には該当しないと判断したのである。
その後、議員による自身の支部への寄付と、それに伴う還付金の受領が所得税法にも抵触することが分かった。参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。言葉の相関関係が複雑で、分かりにくい文章だが、「偽って税還付を受けた者は、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金を課せられる」とする論旨である。(注:太文字は黒薮)
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条[非居住者に対する準用]において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条[外国税額控除]の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【参考記事】
http://www.kokusyo.jp/mori_shiki_saiban/12630/
2018年04月06日 (金曜日)
検察審査会へ申し立て、新たに刑事告発、高市早苗議員によるマネーロンダリング疑惑

奈良地検が、筆者と市民運動家の志岐武彦氏による高市早苗議員に対する刑事告発を不起訴にしたのを受けて、筆者らは5日、奈良検察審査会に対して、審査の申し立てをおこなった。
筆者らは、昨年(2017年)、高市早苗議員をマネーロンダリングによる詐欺で刑事告発した。それを奈良地検が受理して、調査していた。しかし、既報したように奈良地検は、最終的にこの事件を不起訴とした。それを受けて、今回、検察審査会の審査を申し入れたのである。
◇事件の経緯
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。つまり議員が、自分の政党支部へ寄付を行い、みずから還付金を受ける行為は違法行為である。
告発の対象にした額は、2012年度分の還付金、約300万円である。この年、高市氏は自分の政党支部へ自分で1000万円を寄付して、約300万円の還付金を受けた。結果、実質的な手持ち資金が1300万円になった。お金を循環させるだけで、このような「利益」を得ていたのだ。
同類の手口を森裕子議員も行っており、筆者らは、新潟地検に刑事告発したが、受理した後、最終的に不起訴にしている。
◇判例がない不思議
筆者は、奈良地検が不起訴を決めたのち、担当の検察官に、租税特別措置法の41条18・1に明記されている例外事項、つまり「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」に該当する事例を示すように求めたが、「教えられない」との回答を得た。つまり判例がなく、政治家によるマネーロンダリングに暗黙の了解を与えてきたことになる。
なお、租税特別措置法には罰則規定がない。そこで詐欺罪で刑事告発したのである。
◇所得税法の第238条
昨年の刑事告発は、詐欺を罪名としたものだった。これを受けて検察は、マネーロンダリングが詐欺にあたるかどうかを検討して、詐欺には当たらないと判断したのである。
そこで筆者らは5日、新たに所得税法違反を罪名として刑事告発を行った。
参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条(外国税額控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【参考記事】高市早苗総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、大臣辞任が妥当
【参考記事】事件の調査をはじめた経緯について
2018年02月26日 (月曜日)
新潟地検・小島健太検察官と奈良地検・皆川剛二検察官に公開質問状、高市・森両議員の不起訴に関して

森裕子議員と高市早苗議員が、還付金制度を使って不正な還付金を受けたとする刑事告発(告発者:志岐武彦、黒薮哲哉)が不起訴になったことを受けて、告発者のひとりである筆者は、次のような公開質問状を担当検察官2名に送付した。
【還付金制度】
議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
ただし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。
高市氏と森氏は、自分で自分の政党支部に寄付をして、還付金を受け取っていたのである。
筆者らは、租税特別措置法の41条18・1を根拠として、森氏と高市氏をそれぞれ新潟地検と奈良地検に刑事告発した。地検は告発を受理したが、いずれも不起訴の決定を下した。
■参考記事:奈良地検・皆川剛二検察官が高市早苗前総務大臣を不起訴に、政治献金の還付金問題で、理由書は白紙同然
次に示すのが、公開質問状の全文である。
2018年2月25日
奈良地方検察庁
検察官・皆川剛二様
質問者:黒薮哲哉(フリーランス・ライター)
前略。
公開質問状のかたちで、次の点をお尋ねします。
公開質問状
高市早苗氏を被疑者とする還付金制度の悪用事件(奈地検訴第41号)の「処分通知書」(2018年2月19日付け)には、理由が記されていません。
常識的に考えて、検察官である貴殿に作文の能力が全くないとは考えられません。通常、重要文書を白紙で提出すれば、民間企業であれば全く仕事をしなかったという評価になります。
1、そこでお尋ねします。貴殿はどのような調査をして、このような結論に至ったのでしょうか。
2、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めています。
この例外事項の具体例を教えてください。
3、この決定は、貴殿が自分で下されたのか、それとも上司に相談の上で下されたのでしょうか。もし、後者であれば、処分を決めた人物の名前と所属を教えてください。
回答は、3月6日までに書面で御願いします。
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2018年2月25日
新潟地方検察庁
検察官・小島健太様
質問者:黒薮哲哉(フリーランス・ライター)
前略。
公開質問状のかたちで、次の点をお尋ねします。
公開質問状
森裕子氏を被疑者とする還付金制度の悪用事件(2016年8月12日付け告発状、2016年12月13日付け告発状)の「処分通知書」(2018年2月19日付け)には、理由が記されていません。
常識的に考えて、検察官である貴殿に作文の能力が全くないとは考えられません。通常、重要文書を白紙で提出すれば、民間企業であれば全く仕事をしなかったという評価になります。
1、そこでお尋ねします。貴殿はどのような調査をして、このような結論に至ったのでしょうか。
2、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めています。この例外事項の具体例を教えてください。
3、この決定は、貴殿が自分で下されたのか、それとも上司に相談の上で下されたのでしょうか。もし、後者であれば、処分を決めた人物の名前と所属を教えてください。
回答は、3月6日までに書面で御願いします。




