「紙の爆弾」が、高市首相の狡猾な資金作りを報道、2012年度だけで約300万円、奈良地検は起訴せず

11月7日発売の『紙の爆弾』に、筆者(黒薮)が執筆した「高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑」と題する記事が掲載された。
この記事では、政治献金の還付制度を利用して資金を捻出したとされる手法について述べている。報道や公開資料によれば、高市氏は2012年度だけでも約300万円の還付金を受け取ったとされている。
政治献金の還付制度とは、有権者が政治献金を行った場合、確定申告の際に税務署で所定の手続きを行うことで、一定割合の金額が還付される制度である。還付額は献金額のおおよそ30%(厳密には、寄附額から2,000円を差し引いた金額の30%)である。
また記事では、高市氏が新聞業界から政治献金を受けてきた点にも着目している。これらを通じて、「政治と金」の関係について考えることを目的とした内容である。
メディア黒書ではこれまでも高市氏に関わる政治資金関連の事案を継続的に取り上げてきた。
【再掲載】高市早苗総裁によるマネーロンダリングの手口を解説する

次の記事は、2017年3月14日にメディア黒書に掲載した記事の再録である。高市早苗・自民党総裁が総務大臣の時代に行ったマネーロンダリングの手口を解説したものである。
他にも高市総裁に関する記事は、新聞業界からの政治献金問題をはじめ、メディア黒書に多数掲載している。
市総務大臣に対する刑事告発が受理された。
筆者らの刑事告発を奈良地検が受理したのである。高市氏による「マネーロンダリング」の手口を、奈良地検は詐欺罪として受理したのである。。
なぜ、「マネーロンダリング」なのか?具体的な資料を示しながら、それを解説しておこう。
繰り返しになるが、高市氏がやっていた不正は還付金制度を悪用したものである。次のような仕組みだ。
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定められている。つまり議員がこれをやれば違法行為である。それが地検の見解だ。
高市氏は、「投資資金」の一部を、自身の政党支部から調達していたのである。つまり資金を還流させ、その還流のプロセスで還付金を受けていたのだ。計画性があって極めて悪質といえよう。
◇資金の還流を検証する
次に示すのが、高市氏の政党支部(自民党奈良県第2選挙区支部)から、高市氏が受けた寄付を示す証拠である。
2009年8月10日に580万円、8月28日に200万円の寄付を受けている。これを原資とし、その他の「資金」も加算し、2009年度に「山本早苗」の名前で、総額約1620万を自分の政党支部に寄付している。
この寄付を根拠として、高市氏が受け取った還付金は約485万円である。その証拠は、次の還付金を受けるための手続きを示す書面だ。
計画的に資金を還流させることで、約485万円の還付金を手に入れたことになる。
◇「客観報道」すら放棄
こうした行為に違法性があるかどうかは意見が分かれているが、地検は違法と判断したのである。それ自体がニュースである。政治家の倫理として問題があるのは間違いない。新聞・テレビは、この事件を報道すべきだろう。一国の総務大臣に対する刑事告発が受理された事実は、極めてニュース性が高い。
報道しないようであれば、マスコミ関係者が常に口にする「客観報道」すら実行していないことになる。「客観報道」が神話・幻想であることを認めたも同然だ。
高市氏は、総務大臣を辞任すべきだろう。
新聞業界から高市早苗議員に対して政治献金、3年間で40万円

新聞関係者から自民党の高市早苗議員に対して、政治献金が提供されていることが判明した。2019年度の政治資金収支報告書によると、全国の新聞販売店で構成されている日販協政治連盟から、20万円の献金が高市氏が支部長を務める自由民主党奈良県第2選挙支部へ行われている。
また、2018年度には、10万円が自由民主党奈良県支部連合に献金されている。自由民主党奈良県支部連合の住所は、奈良県大和郡山市筒井町940-1となっており、高市氏の事務所の住所と一致している。これは献金の受け取り人が高市氏であることを示している。
さらに2017年度にも10万円の献金を受けている。
献金の目的は不明だが、新聞に対する軽減税率適用の継続、再販制度の継続、学習指導要領に新聞の使用を義務付ける方針の継続などである可能性が高い。
2021年09月04日 (土曜日)
高市早苗・元総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、自身の政党支部へ自身で総額約1620万を寄付、約485万円の還付金を受け取る

この記事は2017年3月14日に、メディア黒書に掲載したものである。高市早苗議員(当時、総務大臣)のマネーロンダリングを解説した。この事件で市民運動家と志岐武彦市とわたしが高市氏を刑事告発して、奈良地検が受理した事件である。高市氏は不起訴になったが、倫理上の問題があるのは明白だ。
以下、記事を再掲載する。タイトルは変更した。
高市総務大臣に対する刑事告発が受理された。
高市氏による「マネーロンダリング」の手口を、奈良地検は受理したのである。。
なぜ、「マネーロンダリング」なのか?具体的な資料を示しながら、それを解説しておこう。
高市氏がやっていた不正は還付金制度を悪用したものである。次のような仕組みだ。
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ自分で献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定められている。つまり議員がこれをやれば違法行為である。それが地検の見解だ。
高市氏は、「投資資金」の一部を、自身の政党支部から調達していたのである。つまり資金を還流させ、その還流のプロセスで還付金を受けていたのだ。計画性があって極めて悪質といえよう。
◇資金の還流を検証する
次に示すのが、高市氏の政党支部(自民党奈良県第2選挙区支部)から、高市氏が受けた寄付を示す証拠である。
2009年8月10日に580万円、8月28日に200万円の寄付を受けている。これを原資とし、その他の「資金」も加算し、2009年度に「山本早苗」の名前で、総額約1620万を自分の政党支部に寄付している。
この寄付を根拠として、高市氏が受け取った還付金は約485万円である。と、いうのも寄付者は、確定申告をする際に寄付金を控除申告すれば、寄付額の30%の払い戻しを受けることができるからだ。
還付金受け取りの証拠は、下記の書面だ。
計画的に資金を還流させることで、約485万円の還付金を手に入れたことになる。
◇「客観報道」すら放棄
こうした行為に違法性があるかどうかは意見が分かれているが、地検は違法と判断したのである。それ自体がニュースである。政治家の倫理として問題があるのは間違いない。新聞・テレビは、この事件を報道すべきだろう。一国の総務大臣に対する刑事告発が受理された事実は、極めてニュース性が高い。
報道しないようであれば、マスコミ関係者が常に口にする「客観報道」すら実行していないことになる。「客観報道」が神話・幻想であることを認めたも同然だ。
■写真出典:Wikipedia
2018年11月30日 (金曜日)
奈良検察審査会に審査を請求、高市早苗議員の政治資金問題、説明になっていない奈良地検の説明

市民運動家の志岐武彦氏と筆者は、奈良地検が下した高市早苗議員(自民)の不起訴決定を不服として、18日、奈良検察審査会に審査を請求した。
この事件は志岐武彦氏が、高市早苗議員の政治資金の実態を調べた結果、浮上したものである。複雑なようで単純な構図だ。大阪毎日放送が、一度だけテレビで取りあげたが、なぜか続報がない。
読者は、政治献金の還付金制度をご存じだろうか。これが事件のキーワードなのだ。
簡単に言えば、有権者が特定の政党支部に政治献金をした後、税務署で所定の手続をすれば、寄付した金の30%が税金からバックされる制度だ。こうした方法で、政府は国民の政治参加を奨励しているのである。
ただし、ここから先が肝心なのだが、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」ことが法律で定められている。その「特別の利益が及ぶ」人に高市氏が該当するのに、還付金を受け取ったというのが告発人(志岐氏、黒薮)らの主張だ。
【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。
それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。
「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。
高市議員は、平成24年に1000万円を、平成25年に300万円を自らの政党支部へ「寄付」して、還付金を受けていたのだ。その総計は、約390万円になる。自分で自分の支部へ寄付したわけだから、資金を動かすだけで、「持ち金」を30%増やしたことになる。
◇所得税法にも抵触
既報しているように、志岐氏と筆者は2017年2月に、最初の刑事告発を行った。本来は租税特別措置法違反を理由にするのが妥当だが、この法律には罰則規定がないので、詐欺罪で告発した。
しかし、奈良地検は告発を受理したものの、不起訴と結論づけた。詐欺には該当しないと判断したのである。
その後、この種のマネーロンダリングが所得税法にも抵触することが分かった。参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。言葉の相関関係が複雑で、分かりにくい文章だが、「偽って税還付を受けた者は、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金を課せられる」とする論旨である。(注:太文字は黒薮)
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条[非居住者に対する準用]において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条[外国税額控除]の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
◇「捜査の結果です」
そこで再び高市議員を刑事告発した。この時は、所得税法違反を根拠とした。奈良地検は、告発を受理したが、最終的には不起訴とした。志岐氏が執拗に理由を尋ねたが、「嫌疑なしだからです」とか、「捜査の結果です」とか言うだけで、具体的な説明はできなかった。
志岐氏が説明を求めた肝心な点は、なぜ高市氏のやったことが租税特別措置法や所得税法に違反しないのかという点なのだが。
そこで志岐氏と筆者は、やむなく11月18日に、奈良検察審査会に審査を請求(受理済み)したのである。
2018年08月31日 (金曜日)
奈良地検が高市前総務大臣を不起訴に、政治献金のマネーロンダリング問題、政治判断により権力者は起訴されない日本の実態

筆者と志岐武彦氏が奈良地検に対して提起した高市早苗元総務大臣に対する刑事告発が、28日付けで不起訴となった。高市氏に対しては、最初は詐欺容疑で、2度目は所得税法違反で刑事告訴をおこない2度とも受理された。しかし、1回目に続いて、2回目も不起訴となった。
事件の詳細については2回目の受理の際に掲載した次の記事を参考にしてほしい。
【参考記事】奈良地検が高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理、政治家によるマネーロンダリングにメスか?
【事件の構図と還付金制度】
議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。
それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。
「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。
たとえば議員が1000万円を自分の支部へ寄付して、それに準じた還付金を受けるケースである。この場合、献金が政党支部に1000万円入るほかに、議員個人にも還付金が約300万円入る。政党支部の長を議員が務めるわけだから、「1000万円+300万円」は議員の手持ち資金となる。金を移動させるたけで、金がふくらむのだ。これがマネーロンダリングである。
税の騙し取り以外のなにものでもない。
◆2012年に約300万円の還付金、ほか
高市議員はこの制度を利用して2012年(平成24年)に、1000万円を自分の支部へ寄付して、約300万円の還付金を受けたのである。

他年度にも同じ手口を使っているが、すでに時効になっており、刑事告発の対象は、2012年度分だけになった。
■「高市氏⇄支部」相互寄付・税還付・告発(予定も)の関係一覧
◆本来であれば牢獄に入る人々が・・・
筆者は、これら一連の不起訴は政治判断の結果である可能性が高いと見ている。秋に第5次安倍内閣が発足する前に、「汚点」をすべて払拭しておきたいというのが、日本を牛耳っている人々の思惑ではないか。高市氏が閣僚に復活する可能性もあるだろう。
森友事件、加刑事件で本来であれば牢獄に入る可能性が高い人々が軽々と法の網の目を潜り抜け、刑事責任を免れているのと同じ流れの中で、高市氏も起訴を免れたとみている。日本で3権分立が確立していれば、まず、あり得ない判断だ。奈良地検が公正であれば、少なくとも「起訴猶予」ぐらいの処分にはなっただろう。
マネーロンダリングが犯罪にならないのであれば、政治家は高市氏と同じようにペーパー数枚で、資金を大幅に増やすることが可能になる。たとえば1000万円を自分の支部に寄付して、還付金を300万円受けることが認められることになる。この300万円の財源は、改めていうまでもなく税金にほかならない。納税者が怒るのもあたりまえだ。
こうしたデタラメを禁止するのが司法の役割のはずだが、奈良地検は役割を果たしていない。。
◆裁判でも政治判断が多発
筆者は、裁判においては、政治判断が繰り返し行われてきたのを知っている。その典型的な例は、特定秘密保護法の違憲性を認定させる裁判である。誰がみても違憲だが、裁判所は政治判断で合憲としたのだ。
筆者が被告となった読売裁判もおかしかった。筆者が、地裁、高裁と勝ち進んでいるのに、極めて狭き門の最高裁がわざわざ口頭弁論を開いて、判決を高裁に差し戻し、筆者を逆転敗訴させたのだ。
【参考記事】自由人権協会代表理事の喜田村弁護士らが起こした2件目の裁判、「窃盗」という表現をめぐる攻防③
権力を持てば絶対に起訴されたり、裁判で敗訴しない日本の実態。誰も気づいていないだけで、すでに独裁国家への道を歩みはじめている。その実態は、想像以上に深刻だ。
2018年05月24日 (木曜日)
奈良地検が高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理、政治家によるマネーロンダリングにメスか?

奈良地検は、志岐武彦氏と筆者が連名で申し立てていた高市早苗・前総務大臣に対する刑事告発を受理した。志岐氏が22日に、奈良地検とコンタクトを取って分かった。
この事件は、メディア黒書でも繰り返し報じてきたが、再度概要を説明しておこう。端的にいえば、高市議員によるマネーロンダリングを問題視したのである。同様の事件で森ゆうこ議員も、志岐武彦氏が告発し、地検はそれを受理している。
その悪質極まりない手口を理解するためには、あらかじめまず政治献金の還付金制度に言及しなければならない。
【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
このような制度を設けることで、政治資金の支出を活発にしているのであるが、逆説的に考えると、寄付された金額の30%は税金から補填される構図になっている。当然、厳正に運用されなければならない。
それゆえに、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度適用の例外事項を設けている。つまり、「寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めているのだ。
「特別の利益が及ぶ」場合とは、具体的にどのようなケースなのだろうか。結論を先に言えば、議員が自らの政党支部に自分の金を寄付して、還付金を受ける場合である。
たとえば議員が1000万円を自分の支部へ寄付して、それに準じた還付金を受けるケースである。この場合、献金が政党支部に1000万円入るほかに、議員個人にも還付金が約300万円入る。政党支部の長を議員が務めるわけだから、「1000万円+300万円」は議員の手持ち資金となる。金を移動させるたけで、金がふくらむのだ。これがマネーロンダリングである。
税の騙し取り以外のなにものでもない。
◇高市議員のケース、一部は時効
高市議員はこの制度を利用して2012年(平成24年)に、1000万円を自分の支部へ寄付して、約300万円の還付金を受けたのである。
他年度にも同じ手口を使っているが、すでに時効になっており、刑事告発の対象は、2012年度分だけになった。
■「高市氏⇄支部」相互寄付・税還付・告発(予定も)の関係一覧
◇所得税法にも抵触
既報しているように、この事件は2017年2月に、最初の刑事告発を奈良地検に対して行った。本来は租税特別措置法違反を理由にするのが妥当だが、この法律には罰則規定がないので、詐欺罪で告発した。
しかし、奈良地検は告発を受理したものの、不起訴と結論づけた。詐欺には該当しないと判断したのである。
その後、議員による自身の支部への寄付と、それに伴う還付金の受領が所得税法にも抵触することが分かった。参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。言葉の相関関係が複雑で、分かりにくい文章だが、「偽って税還付を受けた者は、10年以下の懲役か、1000万円以下の罰金を課せられる」とする論旨である。(注:太文字は黒薮)
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条[非居住者に対する準用]において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条[外国税額控除]の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【参考記事】
http://www.kokusyo.jp/mori_shiki_saiban/12630/
2018年04月06日 (金曜日)
検察審査会へ申し立て、新たに刑事告発、高市早苗議員によるマネーロンダリング疑惑

奈良地検が、筆者と市民運動家の志岐武彦氏による高市早苗議員に対する刑事告発を不起訴にしたのを受けて、筆者らは5日、奈良検察審査会に対して、審査の申し立てをおこなった。
筆者らは、昨年(2017年)、高市早苗議員をマネーロンダリングによる詐欺で刑事告発した。それを奈良地検が受理して、調査していた。しかし、既報したように奈良地検は、最終的にこの事件を不起訴とした。それを受けて、今回、検察審査会の審査を申し入れたのである。
◇事件の経緯
議員が代表を務める地元の政党支部へ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄附した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市議員はこの制度を悪用して、自身の政党支部へ献金を行い、還付金を受けていたのだ。しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。つまり議員が、自分の政党支部へ寄付を行い、みずから還付金を受ける行為は違法行為である。
告発の対象にした額は、2012年度分の還付金、約300万円である。この年、高市氏は自分の政党支部へ自分で1000万円を寄付して、約300万円の還付金を受けた。結果、実質的な手持ち資金が1300万円になった。お金を循環させるだけで、このような「利益」を得ていたのだ。
同類の手口を森裕子議員も行っており、筆者らは、新潟地検に刑事告発したが、受理した後、最終的に不起訴にしている。
◇判例がない不思議
筆者は、奈良地検が不起訴を決めたのち、担当の検察官に、租税特別措置法の41条18・1に明記されている例外事項、つまり「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」に該当する事例を示すように求めたが、「教えられない」との回答を得た。つまり判例がなく、政治家によるマネーロンダリングに暗黙の了解を与えてきたことになる。
なお、租税特別措置法には罰則規定がない。そこで詐欺罪で刑事告発したのである。
◇所得税法の第238条
昨年の刑事告発は、詐欺を罪名としたものだった。これを受けて検察は、マネーロンダリングが詐欺にあたるかどうかを検討して、詐欺には当たらないと判断したのである。
そこで筆者らは5日、新たに所得税法違反を罪名として刑事告発を行った。
参考までに所得税法の第238条の1を引用しておこう。
第二三八条:偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)(第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条(外国税額控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【参考記事】高市早苗総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、大臣辞任が妥当
【参考記事】事件の調査をはじめた経緯について
2018年02月26日 (月曜日)
新潟地検・小島健太検察官と奈良地検・皆川剛二検察官に公開質問状、高市・森両議員の不起訴に関して

森裕子議員と高市早苗議員が、還付金制度を使って不正な還付金を受けたとする刑事告発(告発者:志岐武彦、黒薮哲哉)が不起訴になったことを受けて、告発者のひとりである筆者は、次のような公開質問状を担当検察官2名に送付した。
【還付金制度】
議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
ただし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。
高市氏と森氏は、自分で自分の政党支部に寄付をして、還付金を受け取っていたのである。
筆者らは、租税特別措置法の41条18・1を根拠として、森氏と高市氏をそれぞれ新潟地検と奈良地検に刑事告発した。地検は告発を受理したが、いずれも不起訴の決定を下した。
■参考記事:奈良地検・皆川剛二検察官が高市早苗前総務大臣を不起訴に、政治献金の還付金問題で、理由書は白紙同然
次に示すのが、公開質問状の全文である。
2018年2月25日
奈良地方検察庁
検察官・皆川剛二様
質問者:黒薮哲哉(フリーランス・ライター)
前略。
公開質問状のかたちで、次の点をお尋ねします。
公開質問状
高市早苗氏を被疑者とする還付金制度の悪用事件(奈地検訴第41号)の「処分通知書」(2018年2月19日付け)には、理由が記されていません。
常識的に考えて、検察官である貴殿に作文の能力が全くないとは考えられません。通常、重要文書を白紙で提出すれば、民間企業であれば全く仕事をしなかったという評価になります。
1、そこでお尋ねします。貴殿はどのような調査をして、このような結論に至ったのでしょうか。
2、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めています。
この例外事項の具体例を教えてください。
3、この決定は、貴殿が自分で下されたのか、それとも上司に相談の上で下されたのでしょうか。もし、後者であれば、処分を決めた人物の名前と所属を教えてください。
回答は、3月6日までに書面で御願いします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2018年2月25日
新潟地方検察庁
検察官・小島健太様
質問者:黒薮哲哉(フリーランス・ライター)
前略。
公開質問状のかたちで、次の点をお尋ねします。
公開質問状
森裕子氏を被疑者とする還付金制度の悪用事件(2016年8月12日付け告発状、2016年12月13日付け告発状)の「処分通知書」(2018年2月19日付け)には、理由が記されていません。
常識的に考えて、検察官である貴殿に作文の能力が全くないとは考えられません。通常、重要文書を白紙で提出すれば、民間企業であれば全く仕事をしなかったという評価になります。
1、そこでお尋ねします。貴殿はどのような調査をして、このような結論に至ったのでしょうか。
2、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めています。この例外事項の具体例を教えてください。
3、この決定は、貴殿が自分で下されたのか、それとも上司に相談の上で下されたのでしょうか。もし、後者であれば、処分を決めた人物の名前と所属を教えてください。
回答は、3月6日までに書面で御願いします。
2018年02月23日 (金曜日)
奈良地検・皆川剛二検察官が高市早苗前総務大臣を不起訴に、政治献金の還付金問題で、理由書は白紙同然

奈良地方検察庁の皆川剛二検察官は、2月19日、筆者と市民運動家の志岐武彦氏が連名で告発していた高市早苗前総務大臣に対する刑事告発を不起訴にする決定を下した。
筆者らが問題にしたのは、高市氏が受け取った政治資金の還付金である。
議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
高市氏は、この制度を利用して、2009年度に「山本早苗」の名前で、総額約1620万を自分の政党支部に寄付し、還付金・約485万円を受け取った。つまり1620万を「投資資金」として運用し、485万円の還付金を受けたのだ。その結果、自分の「持ち金」を1620万から2015万円に増やした計算になる。これがマネーロンダリングと呼ばれるものだ。
しかし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。筆者らは、高市氏のケースを、「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」場合と判断して刑事告発に踏み切った。奈良地検は、告発状を受理して、調査をしていたが、最終的に不起訴にしたのである。
◇問われる職能、民間企業であれば解雇の対象
この事件を調べた志岐武彦氏が、奈良地検から「理由書」を取り寄せたところ、不起訴の事実しか記されていなかったという。つまり「理由書」は、実質的には白紙ということになる。中学校や高校の作文の授業で、白紙を提出すれば、0点である。これだけ重大な事件を調査した検察官が、白紙同然の作文しか書けないのだから驚きだ。そもそも事件を調査する職能があるのか疑問に感じる。民間企業であれば職に適正がないということで完全に解雇の対象になる。
不起訴にした理由が不明なので、断言はできないが、筆者の推測では、租税特別措置法の41条18・1に明記されている還付金制度適用の例外事項、「その寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」という部分ではないかと思う。
実は、この部分の解釈をめぐっては、政治家が自分の政党支部へみずから政治献金を行い、還付金を受けても、違法行為ではないという我田引水の意見があるのだ。が、これはあくまでもひとつの意見に過ぎない。その意見がいつのまにか、法解釈となり、今回も適用された可能性が高い。自分の頭で考える習慣がないから、こんなことになるのだろう。
筆者は、ある事柄が法律に抵触するかどうかの判断は、事実関係を基準として行うべきだと思う。高市氏が、特別な利益を受けた事実があるか否かが判断基準のすべてなのだ。一般の有権者は政治献金をしても、特別な利益は得られない。1000万円寄付すれば、700万円は他人の手に渡り、300万円しか残らないのだ。財産を減らすのだ。
これに対して、政治家が1000万円を自分の政党支部に寄付すれば、1300万円になる。手持ちの金が増える。これが「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」ケースなのだ。従って、高市氏のケースは、租税特別措置法の41条18・1の例外事項に該当するのである。
大半の政治家は、高市氏のようなことはやらない。重大な問題があると考えているからである。かりに全国会議員がそれぞれ、毎年、1000万円を自分の政党支部に寄付して還付金を受けることになれば、一議員につき300万円を還付金として税から支出することになる。この額は、フリーターの年収よりも高いだろう。
検察の腐敗は昔から問題になってきたが、これでは正義の番人の役割を果たしていない。それを放置してきたマスコミにも問題がある。
【参考記事】高市早苗総務大臣によるマネーロンダリングの手口を解説する、大臣辞任が妥当
新聞人が政治献金、管、高市、中川、豊田らへ、30日公開の政治資金収支報告書で判明、消費税の軽減税率が目的か?

総務省が11月30日に公表した政治資金収支報告書(2016年度分)によると、新聞関係者から政治献金が行われていたことが分かった。献金元は、日本新聞販売協会(日販協)の政治団体である日販協政治連盟。献金先は、管義偉官房長官や高市早苗・前総務大臣、それに元産経新聞記者の山谷えりこ氏など、27名。秘書への暴行で刑事告訴されている豊田真由子・前議員も含まれている。
献金先と金額は次の通り。
漆原良夫:40万円
豊田真由子:6万円
政経文化研究会:8万円
清和政策研究会:20万円
中川雅治:34万円
柴山昌彦:16万円
山谷えりこ:30万円
新藤義孝:10万円
北村経夫:14万円
中根一幸:6万円
管義偉:20万円
斉藤鉄夫:16万円
薗浦健太郎:10万円
高市早苗:30万円
和田よしあき:10万円
その他、12名に各5万円の「お小遣い」。
献金の最大の目的は、新聞に対する消費税の軽減税率の適用を確実なものにすることだと思われる。軽減税率の適用問題は、新聞関係者が最も懸念している問題のひとつである。すでに適用は決まっているが、依然として、疑問を呈する声も多い。
新聞発行本社で構成する日本新聞協会は、新聞の不偏不党の旗を掲げている関係で、政治連盟を結成して直接に政治献金を支出するわけにはいかない。料亭での会食が限度だ。そこで新聞販売店の同業組合である日販協に、献金を支出する役が回ってきたというのが一般的な見方である。
テレビ局の不正にメスを入れない総務省・高市総務大臣の弱腰、金銭がらみ・ビジネス上の不正に対しては処罰が当然

電波政策を担当しているのは総務省である。その総務省に放送局を監督する能力はあるのだろうか?
2016年2月8日の衆議院予算委員会で、民主党の奥野総一郎議員の質問に答えるかたちで、総務省の高市早苗大臣は、次のように発言している。放送事業で不正行為が行われていた場合、総務省が「行政指導」することもありうるといのである。
どんなに放送事業者が極端なことをしても、仮にそれに対して改善をしていただきたいという要請、あくまでも行政指導というのは要請になりますけど、そういったことをしたとしても、公共の電波を使って、まったく改善されないということを繰り返した場合に、それに対して何の対応もしないということを、ここでお約束するわけにはまいりません。
そこまで極端な、電波の停止にいたるような対応を、放送局がされるとも考えてはおりませんけど、法律というのはやはり法秩序をしっかりと守ると。それで違反した場合には、罰則規定も用意されていることによって、実効性を担保すると考えておりますので。
(略)先ほどの電波の停止、私のときにするとは思いませんけれども、将来にわたってよっぽど極端な例、放送法の、それも法規範性があるものについて、何度も行政のほうから要請をしても、まったく遵守しないという場合には、その可能性がまったくないとは言えません。
やはり放送法というものをしっかりと機能させるために、電波法においてそのようなことも担保されているということでございます。
◇大阪朝日放送などが直接かかわった不正疑惑
メディア黒書で繰り返し報じてきたように、最近、テレビCMの間引き疑惑が浮上している。疑惑の根拠としては、次のような事実がある。
①放送確認書(CM放送が実施されたことを立証する書面で、CMコードを付番してコンピューターに入力しておくと、CMが放送された際、自動的に作成される。)が偽造されていた事実。これは衛星放送局・Mnetを舞台に確認されている。クライアントは、化粧品通販のアスカコーポレーションで広告代理店は博報堂である。
放送確認書の画面にwindowsの画面が張り付けてある上に、放送局の住所も間違っている。「千代田区」の後に、「西新橋」が抜けているのだ。初歩的な「偽造のミス」である。おそらくwordで作成した偽造物である。また、番組の放送日が放送確認書の発行日よりも後になっている。あり得ないことだ。詳細については、次の記事を参考にしていただきたい。
②放送確認書が代筆されていた事実。「①」で述べたように放送確認書は、コンピューターが自動的に作成する。人による不正を防止するために、自動作成システムになっているのだ。ところが、その放送確認書を博報堂が代筆していたのだ。
■博報堂が代筆した番組放送確認書、放送関係者らから「常識ではありえない」の声
③番組を放送せずに放送局が料金が徴収されていた事実。これも放送番組の間引きの一種である。このケースに該当するのは、大阪朝日放送、北海道テレビ、愛知テレビの3者である。東日本大震災の影響で、通販番組の放送が中止になったにもかかわらず、放送料金を徴収していた。
これら3局は、筆者の取材を拒否している。
■博報堂事件、テレビ北海道とテレビ愛知でも「番組休止→料金請求」が発覚、休止番組を転売の疑惑も
④2015年度の国勢調査の告知CMが放送されていない疑惑。この疑惑については、高市氏が長を務める総務省も無関係ではない。筆者が国勢調査の告知CMが放送されたことを示す放送確認書の提示を総務省に求めたところ、「放送確認書については、履行確認が終了し、処分しております」と書面で回答があった。しかし、行政文書の保存期間は5年である。
ちなみに同じ国勢調査の告知で、新聞告知については契約で決められた回数が行われていなかったことが判明している。間引きした新聞告知の予算をCMに変更したので、問題はないというのが総務省の説明だが、それを立証する放送確認書を破棄していたのだ。
ここで紹介したのは、テレビ局が直接かかわっている不正だが、広告代理店が単独でおこなったものを含めると、視聴率の偽装問題など、その範囲は際限なく広がる。放送業界がある種の無法地帯になっていると言っても過言ではない。
◇総務省に「電波」を監督する能力はない
民主党の奥野総一郎議員の質問に対して、高市大臣は電波停止をもほのめかす強い姿勢を示したが、放送の問題に広告代理店が絡んでくると何もできないようだ。自らが長を務める総務省の職員が放送確認書を廃棄する事件を起こしている問題も不問のままだ。総務省に電波を管理する資格はない。
電波は公共のものであるから、そこで問題が発生すれば、NHKも含め対策を取るのは当然のことだろう。番組内容による「処分」はあってはならないが、ビジネスに関連した不正は、厳しく対処すべきだろう。



