サラ金・商工ローンの比ではない「押し紙」商法 毎日新聞元販売店主が保証金など約1600万円を没収された経緯を証言

兵庫県の阪神地区にある毎日新聞の元販売店主が起こした「押し紙」裁判で、原告代理人の江上武幸弁護士は、原告の「陳述録取書」を提出した。元販売店主は、「押し紙」によって損害を受けたとして、毎日新聞社に約1億6000万円の損害賠償を求めている。「陳述録取書」の全文は次の通りである。
◆サラ金・商工ローンの比ではない「押し紙」商法
かつて、サラ金や商工ローンによる厳しい借金の取り立てが社会問題になった。幸い、マスコミの追及などを通じて問題にメスが入り、被害者を救済する道が開かれた。コンビニエンスストアの店主に対する親会社の優越的地位の濫用も社会問題となり、これについてもメスが入った。
これらに対して、半世紀にわたって水面下で問題となってきたのが、新聞販売における「押し紙」である。
今回提出された元販売店主の「陳述録取書」には、販売店を開業する際に毎日新聞社に預けた保証金と販売店譲渡代金、合わせて約1600万円が没収された経緯が記されている。これらの預け金は、不動産取引でいう敷金のようなもので、廃業時に返還されるのが原則である。
しかし、元販売店主の場合、「押し紙」によって発生した新聞仕入れ代金の未払いを理由に、これらの預け金が没収された。
サラ金・商工ローンやコンビニをめぐる問題にはメスが入った。それでは、なぜ新聞社の「押し紙」は容認されているのだろうか。それは新聞社が日本の権力構造の「広報部」として組み込まれているからにほかならない。
「押し紙」を隠す経理マジック――毎日新聞裁判で判明した日本の新聞社のビジネスモデルに、ジャーナリズムが機能しない客観的な理由

既報したように、新聞販売のモデルが、毎日新聞を被告とする「押し紙」裁判の中で、ほぼ完全に解明された。
このスキームが日本のすべての新聞社に当てはまるという確証はない。しかし、販売店が新聞代金を納入できなかった「押し紙」の未納金を、新聞社が支給すべき補助金の未払い分として処理する仕組みが組み込まれていることで、法的には「押し紙」が存在しないかのような状況が作り出されている経理処理方法を踏まえると、「押し紙」を販売政策に組み込んでいる新聞社は、毎日新聞と同様の手法で経理処理を行っている可能性が極めて高い。
このスキームの詳細については、次の記事を参照してほしい。
【参考記事】毎日新聞「押し紙」裁判で販売政策の実態が判明――補助金処理によるスキームが明らかに
また、このスキームが明らかになった経緯については、江上武幸弁護士による次の記事を参照してほしい。
【参考記事】毎日新聞押し紙訴訟の報告 毎日新聞社、押し紙解消に向けて方針転換か?――モラル崩壊の元凶「押し紙」
◆新聞社は「押し紙」でどの程度の収益を上げてきたのか
なぜ「押し紙」が問題なのか。理由は二つある。
第1は、「押し紙」が独占禁止法の新聞特殊指定に抵触すると考えられる点である。公序良俗の観点からも問題があり、モラル上の問題を含んでいる。
第2は、「押し紙」をビジネスモデルに組み込むことで、新聞社に莫大な利益をもたらす構図が存在することである。しかも、この仕組みは、公権力による実効的な是正措置が講じられないまま、50年以上にわたり維持されてきた。その結果、公権力と新聞社との間に癒着関係が生じたとの疑念を招く要因になる。
新聞社がどれほどの収益を得ていた可能性があるのかを示す試算を紹介したい。幸い、私はそのための格好の内部資料を所持している。
毎日新聞社社長室から外部へ流出した「朝刊・発証数の推移」と題する内部資料によると、2002年10月時点における毎日新聞の公式部数は3,953,466部である。これに対し、販売店が読者へ発行した領収書の枚数(発証数)は2,509,139枚だった。両者の差である約144万部が、当時、全国で毎日発生していた「押し紙」に相当する計算になる。
※厳密には、販売店へ搬入される新聞の約2%は予備紙であり、「押し紙」の定義には含まれない。
「押し紙」1部当たりの卸代金を1,500円として試算すると、「押し紙」による販売収入は月額約21億6,000万円、年間では約259億円となる。
「押し紙」は独占禁止法の新聞特殊指定に抵触すると考えられるため、仮に公正取引委員会が毎日新聞社に是正措置を講じた場合、同社は年間約259億円の販売収入を失う計算になる。もっとも、「押し紙」を販売店に引き取らせるために支払う補助金も相当額に上ると考えられるが、それを踏まえても、販売収入の規模は極めて大きい。
◆◆
しかし、「押し紙」による販売収入が、そのまま新聞社の純利益になっているわけではない。
既に述べたように、「押し紙」による販売店の損失は、新聞社が販売店へ支給する補助金によって相殺される仕組みになっているからである。
※この点については、私が過去に執筆した『新聞があぶない』(花伝社)などの著書では、「押し紙」が直接的に新聞社の純利益を生み出しているかのような記述がある。しかし、その点は正確ではなかった。経理上は販売収入として計上される一方で、「押し紙」を引き取らせるための補助金を新聞社が支払うため、原則として収支は差し引きゼロとなる。新聞社に実質的な利益が生じるのは、本来支払うべき補助金を支払わなかった場合である。この場合は、販売店に損害が発生して、新聞社は純利益を得る。
では、なぜ「押し紙」が新聞社のビジネスモデルに組み込まれてきたのか。その主要な目的は、「押し紙」によってABC部数をかさ上げすることにある。それにより、販売店は折込広告収入を増やすことができ、新聞社は紙面広告の媒体価値を高めることができる。
◆◆
このようなスキームが50年以上にわたり維持されてきたのは、新聞社が裁判所を含む日本の公権力と癒着してきたためだと筆者は考える。もしその前提が事実であるならば、ジャーナリズムが本来の監視機能を十分に果たせなくなるのは当然である。
逆説的にいえば、公権力は新聞社の経営上のグレーゾーンを握ることで、メディアコントロールを可能にしているのだ。戦前・戦中の日本の軍事政権が、新聞用紙の配給制度を構築して、メディアとコントロールしたのと同じ原理である。
毎日新聞「押し紙」裁判で販売政策の実態が判明――補助金処理によるスキームが明らかに

毎日新聞社を被告とする「押し紙」裁判で、「押し紙」を販売政策に組み入れるスキームの全容が明らかになった。その仕組みがどのようなものなのか、簡単な数字を使って説明しよう。
メディア黒書で繰り返し報じてきたように、この裁判は兵庫県阪神地区の毎日新聞の元新聞販売店主が、「押し紙」などによって生じた損害の賠償を求めて大阪地裁に提訴したものである。代理人は江上武幸弁護士が務めている。
■「押し紙」を組み入れたスキーム
1. 「押し紙」とは、新聞販売店の経営に真に必要な部数(実売部数+2%の予備紙)を超えて供給された新聞のことである。「押し紙」は独禁法の新聞特殊指定に抵触する。
2. 仮に、「押し紙」が原因で販売店が新聞社に対する新聞仕入れ代金50万円を納入できなかったとする。この場合、この50万円は新聞代金の未払い金として経理処理されるのではなく、新聞社が販売店に支払う補助金の未払い金として処理される。この点が裁判の中で解明されたのだ
なぜ、新聞代金の未払い金ではなく、補助金の未払い金として処理されるのだろうか。
その理由は、独禁法の新聞特殊指定が「押し紙」を禁止している以上、「押し紙」によって発生した新聞代金の未納分を、そのまま未収金として処理することはできないからだ。そのため、新聞社からの補助金の未払い金として経理処理せざるを得ないのである。
阪神地区の元店主のケースでは在職中に、「補助金の未払い金」が累積した時期が複数回あった。しかし毎日新聞は、時期を見てはまとめ払いして、帳簿上は差し引きゼロとしていた。
これは、「押し紙」によって販売店が被った損害を、「押し紙」に連動する折込広告の水増し収入と補助金によって相殺するスキームが存在することを示している。
しかし、この元店主のケースでは、廃業時点で「補助金の未払い金」が大量に累積したままとなっていた。そこで江上弁護士は、訴訟の請求内容を変更し、「押し紙」による損害ではなく、「補助金の未払い金」の支払いを求める請求へと切り替えたのだ。
「押し紙」を組み入れたスキームが、解明された今、裁判所がどのような判断を示すかは現時点では不明である。しかし、政治的な外圧などの特殊な事情がない限り、毎日新聞に対して「補助金の未払い金」の支払いが命じられる可能性は極めて高い。
ただ、判決の結論がどうであれ、「押し紙」を販売政策に組み入れるスキームが、毎日新聞側の具体的な資料によって裏付けられた意義は大きい。この裁判の判決は、日本の新聞業界全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。「押し紙」問題を解決するための貴重な判例になる可能性がある。
ない、元店主と毎日新聞との口頭弁論(ウェブ会議)は、本日(29日)開かれる。
押し紙弁護団、「押し紙」制度のからくりを解明 毎日新聞の対応に注目 第12準備書面を提出

毎日新聞の「押し紙」裁判を担当する押し紙弁護団は、2026年6月25日、第12準備書面を裁判所へ提出した。第11準備書面は、23日に提出された。次の記事を参照にしてほしい。
【参考記事】毎日新聞「押し紙」訴訟 補助金処理のグレーゾーンが浮上、原告が請求根拠を変更
この裁判は、兵庫県阪神地区の毎日新聞元販売店主が、「押し紙」による損害を受けたとして、毎日新聞社に約1億6000万円の損害賠償を求めているものである。
発端は、元店主が販売店を廃業する際、毎日新聞側から「押し紙」により生じた未払い金は、認証金や販売店譲渡代金と相殺するとの説明を受け、納得できずに押し紙弁護団へ相談したことにある。
裁判の中で、重大な事実が浮上した。「押し紙」が原因で未納となった新聞仕入れ代金について、毎日新聞が補助金の未払い金として経理処理していたことが判明したのである。
それは、「押し紙」の仕入れ代金を、折込広告収入と補助金によって相殺される仕組みがあることを意味する。新聞代金の未払いとして処理されていなかった背景には、「押し紙」が独占禁止法の新聞特殊指定で禁止されている事情がある。「押し紙」は存在しないというのが、新聞業界の主張であるから、経理処理もそれに整合させる。その結果、「押し紙」の未払い金を、補助金の未払い金として処理していたのである。
従って、原告は請求内容を変更し、現在は毎日新聞に対して、補助金の未払い金を支払うように求めている。
第12準備書面では、未払い補助金の累積の実態を詳細に分析している。
なお、新聞仕入れ代金の未払いを補助金の未払いとして経理処理する商慣行の存在が、毎日新聞側の具体的な資料によって立証されたのは今回が初めてである。押し紙弁護団は、これによって「押し紙」制度の仕組みが解明されたとしている。
この裁判が新聞業界全体に与える影響は小さくないとみられ、今後の毎日新聞の対応が注目される。
毎日新聞「押し紙」訴訟 補助金処理のグレーゾーンが浮上、原告が請求根拠を変更

兵庫県阪神地区の毎日新聞元販売店主が、「押し紙」による損害を受けたとして毎日新聞社に約1億6000万円の損害賠償を求めている訴訟の口頭弁論(ウェブ会議方式)が、29日に開かれる。この裁判では、毎日新聞社も元店主に対し、新聞代金の未払い分の支払いを求めて反訴している。
口頭弁論に先立ち、元店主側の弁護団(江上武幸弁護士ら)は第11準備書面を提出した。
同準備書面では、原告が損害賠償請求の法的根拠を変更した経緯について言及している。
原告は当初、独占禁止法に基づく新聞特殊指定を根拠として損害賠償を請求していた。新聞特殊指定が「押し紙」を禁止しているとの主張によるものである。
しかし審理の過程で、毎日新聞社が「押し紙」によって販売店に生じた損害について、新聞代金の未払いではなく補助金の未払いとして経理処理していたことが明らかになった。そのために、優越的地位の濫用という一般的な独禁法違反として構成し直した
これら一連の背景については、江上武幸弁護士が次の記事で詳しく解説している。
【参考記事】毎日新聞押し紙訴訟の報告 毎日新聞社、押し紙解消に向けて方針転換か? ― モラル崩壊の元凶「押し紙」―
この記事によると、毎日新聞社には、「押し紙」によって販売店に生じる損害を「折込広告の水増し収入」と補助金によって相殺する仕組みが存在するとされる。
名目上、「押し紙」の存在を認めることができないため、このような経理処理によって新聞特殊指定への抵触を回避してきた可能性がある。
毎日新聞押し紙訴訟の報告、毎日新聞社、押し紙解消に向けて方針転換か?-モラル崩壊の元凶 押し紙-

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)2025年11月25日
「毎日新聞社は押し紙解消に向けて方針転換か?」
毎日新聞社は去る8月21日、「準備書面(3)」を提出しましたが、そこには兵庫県で9年間にわたり販売店を経営してきた原告(K氏)の経営状況を示す数値を記載した一覧表が添付されていました。
押し紙とは廃棄される運命の新聞ですから、その仕入れ代金は販売店が負担せざるを得ません。しかし、最初から売れないと分かっている商品を仕入れる者はいませんので、新聞社は販売店が押し紙を仕入れ続けられるよう、あらかじめ折込広告収入と補助金で仕入れ代金を補填する仕組みを設けています。いわゆる「新聞のビジネスモデル」と呼ばれている方策です。
押し紙販売政策のからくりは外部には絶対知られてはならない新聞業界最大のタブーですから、補助金と折込広告収入の金額を記載した一覧表を毎日新聞社が提出したことは驚きでした。
新型コロナによる経済活動の低迷により折込広告収入は激減しました。折込広告収入が減れば新聞社がその分補助金を増やさなければ、販売店の押し紙の仕入れ代金の赤字は補填できません。
熊本日日新聞社や新潟日報社のように古くから押し紙を排除している新聞社は別として、新聞社本体の経営が押し紙を前提に成り立っている新聞社は、急に押し紙をなくすことはできません。さりとて、新聞購読部数の減少が進んでいる新聞業界にあっては新聞社本体の経営も苦しくなっており、補助金を増やすことができません。
毎日新聞社は「押し紙」をなくすことでこの問題を解決するのではなく、補助金で補填できなかった販売店の仕入れ代金を未納金として計上し、一定金額に達したとき、会社の財政状況をみて未納金額に見合う補助金を支出したように処理して累積した赤字を解消する方策を講じていました。そのような事実が、この一覧表の数字から判明したのです。これまでの押し紙裁判ではありえなかったことで、驚きを通り越して「驚愕」と言った方が正確です。
原告の販売店廃業時点で帳簿上に残っていた8,525万円の数字も、販売店が負担すべき経営に必要な新聞の仕入れ代金の未納金額ではなく、毎月、毎日新聞社が補填すべき補助金の未支給金の累計であることが一目瞭然でした。しかし毎日新聞社は、Kさんの異議申立にもかかわらず、仕入れ代金の未納であると強弁し、Kさんが販売店経営開始時点に予納していた保証金623万円と、販売店譲渡代金1,033万円の支払いを拒否しました。
本件裁判は、毎日新聞社が保証金と販売店譲渡代金をKさんに支払っておけば提訴に至らなかった事案です。無一文の状態で販売店経営を辞めざるを得なかったKさんは、生活のためにも裁判に踏み切らざるを得なかったのです。
毎日新聞社は、そのような裏事情が裁判で明らかになることを覚悟した上で一覧表を作成し、裁判所に提出したことになります。内部告発で表沙汰になることはあり得ても、新聞社が自ら裁判資料として提出することは前代未聞の出来事と言ってよいかと思います。
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その後、9月1日には、毎日新聞社は大阪本社ビル内にある毎日新聞大阪開発株式会社に、原告販売店の9年間分の確定申告書および青色申告書、並びに内訳書その他付属書類一切を裁判所に送付する文書送付申立てをしました。
大阪開発は毎日新聞社の関連会社であり、毎日新聞青色申告会を通じて毎日新聞販売店を経営する所長に対する記帳指導や税務申告をサポートしています。従って、毎日新聞社は販売店の経営状況を正確に把握できます。
他方、販売店主は会計資料をほとんど手元に持っていないのが現実ですから、私どもは裁判所に対し、押し紙の仕入れ代金が販売店経営を悪化させているとの一般的・抽象的主張はできても、具体的数値で経営の実情を示すことはできません。
ところが今回、毎日新聞社は原告の経営状況が分かる会計資料の提出を関連会社の大阪開発に求めました。しかも不思議なことに、毎日新聞社は自ら申請した原告販売店の経営状況を示す確定申告書・青色申告書の証拠提出を行いませんでした。そのため、私ども原告側から証拠に提出することにしました。裁判所も私どもも、原告販売店の経営が押し紙の仕入れ代金の負担のため、いかに苦しい状態だったかを具体的に知ることができました。
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毎日新聞社の本件裁判におけるこのような訴訟方針をどのように理解すべきか。
以下は、あくまでも私の個人的願望に基づく想像です。間違っているかもしれません。
戦後民主主義教育を受けて育った私は、毎日新聞に対しては、同じ中央紙である朝日・読売とはどこか違う好印象を持っていました。おそらく戦後民主主義を育てた著名な学者・文化人らと、優秀かつ著名な記者たちを毎日新聞が大勢抱えていたからだと思います。
(注:読売新聞社はその誕生のいきさつから権力監視の役割は期待できず、朝日新聞社も兵庫県明石支局の赤報隊による白昼テロ事件の恐怖から立ち直ることができなかったように思います。)
押し紙問題に関しては、黒藪さん主宰のこのブログのほかに「広告代理店の未来を考えるブログ」というブログでも知ることができます。その中に「毎日新聞の現状と未来予測!」という毎日新聞をテーマにしたシリーズ記事があります。最近、「毎日新聞は今、何が起きているのか?」という記事を見つけました。一部を紹介します。
「毎日新聞は、2024年下半期からわずか8か月で20万部の読者を失いました。発行部数は150万部を割り込み、2025年2月には130万部台へ。
年間換算20万部ペースの読者離れが、全国紙としての地位を揺るがしています。」
これまで経験したことのない毎日新聞社の本件訴訟の対応をみていると、ひょっとしたら、毎日新聞はこの裁判で「押し紙」の手法をすべて明らかにして、同様の手法をとっている他の新聞社に対しても押し紙をなくすよう働きかけようとしているのではないかという勝手な思いに捕らわれるようになってきています。
報道の自由度ランキングが世界70位という惨憺たる新聞の状態を生んだ押し紙をなくし、ジャーナリズム精神の復活により日本の危機的現状を打開しようという経営陣の決意が固められたのでないかという希望的推測です。
毎日新聞の亡内藤国夫記者も、押し紙は経営陣の覚悟があればいつでもの辞めることができると著書に残しています。熊本日日新聞社と新潟新報社が押し紙をなくしたのも経営陣の決断があったからです。
輝かしい実績を残してきた多くの毎日新聞社の先輩記者達も現役の記者たちも、経営陣に対し、全国紙からの転落を目前にしたいまこそ、毎日新聞社が押し紙をなくす先陣を切ってほしいと念じているのではないでしょうか。
*参考のために、毎日新聞社の準備書面(3)添付の一覧表と、原告の第8・9準備書面を掲載します。
今後、毎日新聞社との裁判がどのように展開していくのか、皆様に見守っていただければ幸いです。
⏩️記事関連の資料
⬇️⬇️取引の詳細(PDFによる全資料の公開は準備中)
2025年2月度のABC部数、読売は前年同月比で-40万部、毎日新聞は-28万部

2025年2月度のABC部数が明らかになった。前年同月比で、最も減部数が多いのは読売新聞で、-40万部だった。毎日新聞は-28万部、さらに朝日新聞は、-18万部となった。
中央紙の部数内訳は次の通りである。
朝日新聞:328万部(-18万部)
毎日新聞:130万部(-28万部)
読売新聞:560万部(-40万部)
日経新聞:133万部(-7万部)
産経新聞:81万部(-6万部)
なお、ABC部数には、「押し紙」(広義の残紙)が含まれており、新聞の実配部数を反映しているわけではない。「押し紙」の実態は、最近の「押し紙」裁判の中でも、次々と浮上している。裁判資料を裏付けに、「押し紙」の実態を紹介しよう。
たとえば読売新聞のA店(大阪地裁・高裁)の2017年度における「押し紙」の規模は、47%から48%の規模で推移していた。つまり販売店に搬入される新聞の約半分が、配達されないまま回収され、廃棄されていたということである。
また毎日新聞のB店(大阪地裁)の2022年度のケースでは、11%から39%の間で推移していた。
朝日新聞330万部、毎日新聞130万部、2024年12月度のABC部数、

2024年12月度のABC部数が明らかになった。各社とも部数減に歯止めがかからない。朝日新聞は、この1年間で約20万部を減らした。読売新聞は、約37万部を減らした。
中央紙のABC部数は次の通りである。
朝日新聞:3,309,247(-200,134)
毎日新聞:1,349,731(-245,738)
読売新聞:5,697,385(-365,748)
日経新聞:1,338,314(-70,833)
産経新聞:822,272(-63,548)
なお、ABC部数には、「押し紙」(偽装部数)が含まれているので、新聞販売店が実際に配達している部数とは異なる。新聞社によって「押し紙」の割合は異なるが、「押し紙」裁判で明らかになっているデータによると、販売店に搬入される新聞の3割から5割程度が「押し紙」である。従って実際の配達部数は、ABC部数よりも遥かに少ないと推測される。
【参考記事】
国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発証数の推移」から不正な販売収入を試算、年間で259億円に
「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、年間932億円の不正な販売収入、公権力によるメディアコントロールの温床に
国策としての「押し紙」問題の放置と黙認、毎日新聞の内部資料「発証数の推移」から不正な販売収入を試算、年間で259億円に

インターネットのポータルサイトにニュースが溢れている。衆院選挙後の政界の動きから大谷翔平選手の活躍まで話題が尽きない。これらのニュースを、メディアリテラシーを知らない人々は、鵜呑みにしている。その情報が脳に蓄積して、個々人の価値観や世界観を形成する。人間の意識は、体内の分泌物ではないので、外かいから入ってくる情報が意識を形成する上で決定的に左右する。
その意味で、メディアを支配することは人間の意識をコントロールすることに外ならない。国家を牛耳っている層が、それを効果的に行う最良の方法は、新聞社(とテレビ局)を権力構造の歯車に組み入れることである。実際、公権力を持つ層は、新聞社に経済的な優遇措置を施すことで、新聞ジャーナリズムを世論誘導の道具に変質させている。
「押し紙」が生み出す不正な販売収入が業界全体で年間に、少なくとも932億円になる試算は、9月27日付けのメディア黒書で報じたとおりである。
■「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、年間932億円の不正な販売収入、公権力によるメディアコントロールの温床に
◆◆
前出の試算と同じ観点から、今回は毎日新聞社のケースをクローズアップしてみよう。幸いにわたしはそのための格好の内部資料を所有している。
毎日新聞社の社長室から外部へ漏れた「朝刊・発証数の推移」と題する内部資料によると、2002年10月の時点における毎日新聞の公式部数は、3,953,466部である。これに対して、新聞販売店が読者に発行した領収書の数(発証数)は、2,509,139枚である。差異にあたる144万(部)が、一日あたりに全国で発生していた毎日新聞の「押し紙」という計算になる。
※厳密に言えば、販売店に搬入される新聞の2%は予備紙で、「押し紙」の定義には入らない。
「押し紙」1部の卸代金を1500円として試算すると、「押し紙」による販売収入は、月額で21億6000万円になる。年間では259億円となる。「押し紙」は独禁法の新聞特殊指定に抵触するので、公正取引委員会が毎日新聞社にメスを入れれば、同社は年間で259億円の販売収入を失うことになる。「押し紙」を買い取るために販売店へ支出する補助金が相当な額にのぼるとしても、不正な販売収入の規模は尋常ではない。
■朝刊 発証数の推移(赤印に着目)■朝刊 発証数の推移(赤印に着目)
◆◆
公権力機関は、新聞社による「押し紙」の汚点を把握することで、新聞社をみずからの「広報部」に組み込め、情報をコントロールすることが可能になる。「押し紙」による収入が少なければ、「押し紙」制度は、メディアコントロールの道具として機能しないが、毎日新聞社の例に見るように金額が莫大なので、公権力は「押し紙」の摘発をほのめかすことで、紙面に介入できるのだ。
恐ろしい制度と言わざるを得ないが、実はこれと類似した構図が戦前にもあった。それは新聞用紙の配給制度である。新聞社が自由に新聞用紙を調達できない状況の下で、政府が新聞社に新聞用紙を配給することで、新聞社を「広報部」へ変質させていのである。
日本の新聞ジャーナリズムが機能しないのは、新聞記者の職能が劣っているからではない。それ以前の問題として、「押し紙」制度と連動したメディアコントロールの政策があると考えるのが妥当である。繰り返しになるが、それが可能なのは、「押し紙」が生み出す販売収入が莫大な額になるからにほかならない。特に中央紙には、このような構図が当てはまる。発行部数が多く、それに連動して「押し紙」
による不正な販売収入の額で尋常ではないからだ。
◆◆
「押し紙」問題は、単に新聞の商取引の問題ではない。ジャーナリズムの問題なのである。この点を度外視すると、いくらジャーナリズムの堕落を嘆き、新聞記者を批判しても、解決策は何も出てこない。
訴状を公開、毎日新聞の「押し紙」裁判、約1億2000万円を請求、前近代的な新聞の発注方法で被害が拡大

福岡・佐賀押し紙弁護団は、10月1日、毎日新聞の元店主Aさんが大阪地裁へ提起した「押し紙」裁判の訴状(9月20日付け)を公開した。
それによると請求額は、1億3823万円。その内訳は、預託金返還請求金が623万円で、販売店経営譲渡代金が1033万円、それに「押し紙」の仕入れ代金が1億2167万円である。
■訴状の全文(PDF)
http://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2024/10/MDK241001-1.pdf
預託金とは、広義の保証金のことである。身近な例としては、不動産賃貸の敷金の類いである。新聞販売店を開業するに際して、新しい店主は新聞社に預託金を預ける。Aさんの場合は623万円だった。
経営譲渡代金というのは、販売店を廃業して後継者に営業権を譲渡する際に、前任店主が受け取ることが出来る営業譲渡金のことである。新聞部数に連動して金額が異なる。Aさんのケースでは、1033万円だった。
しかし、Aさんは預託金も経営譲渡代金も受け取ることが出来なった。毎日新聞社が「押し紙」によるAさんの未払い金額から、これらの金額を相殺したからである。
今回、提起された「押し紙」裁判のひとつの特徴は、販売店に搬入する新聞の部数の決定方法である。訴状によると、「新聞販売店の注文は、FAXやメール等により行われるのが普通であるが」、Aさんの場合は、担当員の訪店時に部数の増減を報告するだけで、販売店に搬入する新聞の部数は毎日新聞社が決定していた。注文方法そのものが、前近代的なものだった。
ちなみに大半の新聞社は、販売店に送付する新聞代金の請求書に、「新聞部数を注文する際は、購読部数に予備紙等を加えたものを超えないでください」という注意書きを記している。毎日新聞社の場合も例外ではなかった。
しかし、逆説的に見ると、この注意書きは新聞社が俗に言う「積み紙」をも禁止していることを意味する。言葉を替えると、販売店に搬入される新聞の部数のうち、販売店経営に真に必要な部数(実配部数+予備紙)を超えた部数は、違法な部数である。独禁法の新聞特殊指定に抵触する。
メディア黒書は、今後、Aさんの「押し紙」裁判を報じていく。
【参考記事】
■モラル崩壊の元凶-押し紙- 毎日新聞押し紙裁判提訴のお知らせ
http://www.kokusyo.jp/oshigami_c/18093/
■「押し紙」問題がジャーナリズムの根源的な問題である理由と構図、年間932億円の不正な販売収入、公権力によるメディアコントロールの温床に
http://www.kokusyo.jp/oshigami_c/18097/
モラル崩壊の元凶-押し紙- 毎日新聞押し紙裁判提訴のお知らせ

福岡・佐賀押し紙弁護団 弁護士 江上武幸(文責)
2024年(令和6年)9月20日
兵庫県で毎日新聞販売店を経営してきたA氏を原告とする1億3823万円の支払いを求める押し紙裁判を大阪地裁に提訴しました。
請求金額の内訳は、預託金返還請求金が623万円、販売店経営譲渡代金が1033万円、押し紙仕入れ代金が1億2167万円です。
この事案の特徴は、Aさんが廃業後の生活に予定していた預託金623万円と販売店譲渡代金1033万円の計1656万円を受け取れないまま、無一文の状態で廃業に追い込まれた点にあります。
これまで、銀行負債を抱えたまま廃業せざるを得なくなった販売店は多数見聞きしてきましたが、信認金(預託金)や販売店譲渡代金を一円も受け取れないまま廃業に追い込まれたケースは初めてです。
販売店経営者は、廃業せざるを得なくなった場合でも、信認金や販売店の譲渡代金があれば、当面の生活費に充てたり、自己破産の弁護士費用に充てることができていました。しかし、Aさんの場合は、蓄えもなく銀行負債を抱えたままで経営が続けられなくされたうえに、信認金や販売店譲渡代金も新聞の仕入代金に充当され、翌日の生活費も残らない状態で廃業させられました。
幸い、Aさんは単身者だったため、経営者仲間の協力でアルバイトをしながら生活を維持することが出来ています。今年の熱い夏、毎日汗水を流しながら新聞配達とオリコミ広告のポスティングをしているAさんには頭が下がります。
しかし、Aさんに奥さんや子供さんがいたとしたら、その生活はどうなっていたでしょうか。考えるだけで恐ろしくなります。
月刊誌「ZAITEN」の5月号に、廃業を申し出た読売新聞の販売店主が本社から廃業を再三慰留されてやむなく経営を続けていたところ、大雪に見舞われ欠配しないように店に泊り込みしたことから体調を崩し、数日、店を休み電話にもでなかったところ、販売店継続意思の放棄であるとして読売から販売店契約を強制解除され、販売店譲渡代金が支払われなくなった記事が掲載されていました。
また、私共が担当した広島県福山市の濱中さんに対しても、読売は補助金の不正受給を理由として大阪高裁が1000万円を超える損害賠償を認めた判決に基づき、浜中さんの預金を差し押さえる状況が生まれています。
共存共栄をうたい文句に販売店経営者に莫大な押し紙仕入代金の支払いを続けさせておきながら、廃業した途端、販売店主に残されたわずかな生活資金まで取り上げてしまう新聞社の非道な仕打ちには言葉も出ません。新聞社のモラル崩壊もついにここに極まれりという感じがしています。
大手新聞社ですら、販売店経営者の最後の命綱ともいうべき営業保証金や販売店経営譲渡金まであてにしなければならないほど危機的な経営状況にあることを示しているのかもしれません。
ABC部数の減少がこのままのペースで進むと、新聞社の経営は10年も持たないのではないかと危惧するむきもあります。
そうなれば、新聞の消滅と共に押し紙もいずれなくなります。長い間、「押し紙」は新聞業界の最大のタブーとして国民の目から隠し続けられてきましたが、ネットの普及によって「押し紙」を検索すればおびただしい情報があふれており、もはやタブーでもなんでもありません。失われた30年を経た現在、日本の現状をみると新聞社のモラルの崩壊がシロアリが巣食うように全国津々浦々にまで及んでおり、もはや日本人の美徳であったモラルの取り戻しは絶望的なようにも感じております。
最後のよりどころというべき裁判所が、この問題にどのような姿勢をしめすのか、これからも押し紙裁判の行方に関心を寄せて頂くようお願いして、毎日新聞押し紙訴訟提起の報告と致します。
* 福岡地裁の西日本新聞の2件の押し紙訴訟の内1件は、来る10月1日に結審予定です。最終準備書面を提出しますので、その内容は次に報告させて頂くことにします。
「受動喫煙症」という病気は公式には存在しない、誤りを認めない毎日新聞の記者

執筆者:藤井敦子
2023年(令和5年)6月17日、毎日新聞の宮城裕也記者は、「『ベランダ喫煙』でトラブル」というタイトルの記事を掲載した。その中で、日本禁煙学会が掲げる受動喫煙症についての記載を無批判に紹介したことに対して、わたしは毎日新聞に意見を送った。
6月30日までに回答を得る予定であったが、30日を過ぎても何も言ってこない。私が送った内容が担当部署にまで上がっていない可能性もある。そこで私は、7月5日、電話で毎日新聞に再度確認を行った。
その結果、担当部署にはきちんとわたしの主旨が伝わっていることをわたしは確認した。また、電話対応に出た担当者も私の意見内容を知っていた。
私は再度、7月7日(金)の夕方5時までに、宮城記者から直接回答するように依頼した。回答がない場は、毎日新聞社としては、受動喫煙症診断書の交付プロセスは何ら問題がないと考えていると理解し、それを前提に今後発信していくとも伝えていた。
7日(金)夕刻5時になっても回答はなかった。
◆毎日新聞社に告げた事実
私は毎日新聞社に、A家3名それぞれに対して書かれた受動喫煙症診断書に「何が問題があるのか」を事前のメールにて詳しく説明していた。下記のとおりである。
・A夫には過去25年の喫煙歴があったこと。
・それにもかかわらず、それを隠していたこと。
・日本禁煙学会理事長・作田医師は25年の喫煙歴があるA夫に受動喫煙症の診断書を書いたこと。
・日本禁煙学会が過去の喫煙を不問にしていること。
・A娘については診断書を作田医師は診察をせずに書いたこと。
・そのことで横浜地裁に医師法20条違反と認定されたこと。
・私が日本赤十字医療センターにその旨を伝えた結果、除籍となったこと。
・A妻の診断書で作田医師は「1階のミュージシャンが「四六時中」喫煙している」と書いたこと。
・2月9日の本人尋問で作田氏はそれが一般論からのコメントであることを認めたこと。
これらの事実はどれをとっても見過ごされるような問題ではないが、毎日新聞社は無視することで問題から逃げた。正面から向き合う姿勢はなかった。
◆ジャーナリズムとしての役割り
「受動喫煙症」という病名は国際基準であるICD10コードが割り当てられておらず、厚労省にも公式には認められていない病名である。従って本来なら、公の場は記事ではこの言葉を使わないのが原則だ。使うのであれば、注釈を付けるのが報道機関のあるべき姿勢である。
にもかかわらず、毎日新聞社は受動喫煙症があたかも「世の中で公式に認められている病気」であるかのように、一切の注釈なく、全国津々浦々まで発信したのだ。
毎日新聞は不正確な記事を書き、それにたいする疑問があがると、ベールをかってしまう。かつて私が問いかけた疑問に対し真摯に回答した日本赤十字医療センターの対応と比べればはるかに劣っている。
毎日新聞社は事実と真摯に向き合い、訂正すべきは箇所は訂正するという謙虚な姿勢が欠落している。自浄作用は全く働いていない。宮城裕也記者の記事は、日本禁煙学会のプロパガンダに完全に成り下がっている。

