1. 新世代公害-あなのそばの携帯基地局、国民を欺く総務省の規制値のトリックを暴く

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2014年08月26日 (火曜日)

新世代公害-あなのそばの携帯基地局、国民を欺く総務省の規制値のトリックを暴く

Conrad_Tokyo

携帯電話の通信には、マイクロ波と呼ばれる電磁波(電波)が使われる。次に示すのは、マイクロ波の規制値の国際比較である。「μW/c㎡」の部分にこだわらずに、数値の違いに注目してほしい。数字が大きいほど、電磁波の密度が高い。つまり人体影響が大きい。

日本:1000μW/c㎡

スイス:9.5μW/c㎡

イタリア:9.5μW/c㎡

ロシア:2.0μW/c㎡

中国:10.0μW/c㎡

EU:0.1μW/c㎡(提言値)

ザルツブルグ市:0.0001μW/c㎡(目標値)

日本の基準値が、諸学国に比べて、箸にも棒にもかからない恐ろしい値であることが分かる。

しかし、EUの数値でさえも安全とはいえないとする専門家の報告もある。世界の著名な研究者がまとめた「バイオイニシアチブ報告・2012年度版」は、次のようにマイクロ波の危険性を指摘している。

2007年以降、携帯電話基地局レベルのRFR(無線周波数電磁波)に関する5つの新しい研究が、0.001μW/c㎡から0.05μW/c㎡よりも低い強度範囲で、子どもや若者の頭痛、集中困難、行動問題、成人の睡眠障害、頭痛、集中困難を報告している 。(監修:荻野晃也、訳:加藤やすこ)

2007年にも「バイオイニシアチブ報告」が公表されており、それ以後に、「0.001μW/c㎡から0.05μW/c㎡よりも低い強度範囲」で人体影響があるとことが分かったというのである。

なにが天と地のように著しい規制値の違いを生むのだろうか。結論を先に言えば、マイクロ波に遺伝子毒性が「ある」とする立場で規制値を決めるのか、それとも、「ない」とする立場で規制値を決めるのかで、数値に違いが生じる。

◇熱作用

マイクロ波が人体に及ぼす影響には、大別して熱作用と非熱作用がある。熱作用というのは、文字通り加熱による人体影響である。マイクロ波が電子レンジに利用される事実からも明らかなように、マイクロ波には熱作用がある。

これが人体に有害であることは、定説になっている。議論の余地がない。熱が火傷を引き起こすからだ。

かつてわたしは携帯基地局の電波を管理している総務省の関東総合通信局に基地局からどの程度の距離を置けば安全なのかを問い合わせたことがある。

その時に職員から返ってきた回答は、「1メートル」という数値だった。つまり基地局から1メートル離れれば、熱作用による人体影響は回避できるという見解だった。

◇非熱作用

一方、非熱作用とは、マイクロ波による熱作用以外の影響を指す。これにはさまざまなものがあるが、特に問題視されているのは、遺伝子に対する毒性である。発癌性だ。ほかにも非熱作用としてまさつ作用などもあるが、現在、最も問題になっているのは遺伝子毒性である。

非熱作用については、肯定する説と否定する説がある。

否定するか、肯定するかで「安全」の目安を示す基準値は大きく変わる。遺伝子毒性がないという前提に立てば、基準値の設定に際して考慮しなければならない主要な要素は、熱作用による影響だけということになる。熱作用による人体影響だけを防げば、ほぼ「安全」ということになる。

逆に遺伝子毒性があるという前提に立てば、熱作用だけではなくて、遺伝子毒性も考慮した上で、規制値を設定しなければならない。当然、ハードルが2つになるわけだから、厳しい数値になる。熱作用というハードルは、軽々と跳び越えても、遺伝子毒性のハードルは相当に高い。

日本の総務省は、マイクロ波には熱作用はあるが、遺伝子に対する毒性はないとする説を根拠として、電波の防護指針(規制値)を設定している。その結果、1000μW/c㎡というとてつもなく大きな数値になっているのだ。

これに対してEUやザルツブルグ市は、遺伝子毒性も考慮して規制値を設定している。その結果、遺伝子に影響を及ぼさないと推測される数値、すなわち0.1μW/c㎡、あるいは0.0001μW/c㎡といった低い基準値になっているのだ。

改めていうまでもなく、マイクロ波に遺伝子毒性があれば、今後、基地局の周辺で癌患者が多発する可能性が高い。海外では、すでにそれを立証する疫学調査の結果も出ている。

◇数字のトリック

ただ、総務省が1000μW/c㎡という規制値を設置しているとはいえ、実際に携帯基地局の周辺でマイクロ波の測定を実施しても、これほど高い数値になることはまずありえない。顕著な健康被害の原因になっている基地局の周辺でも、1~20μW/c㎡程度である。

それにもかかわらずなぜ総務省は、1000μW/c㎡という桁外れに高い数値を設定しているのだろうか。

答えは簡単で、数字のトリックにより携帯基地局の「安全性」をPRするためである。たとえば基地局周辺に住む住民たちがマイクロ波の危険性を危惧して、電話会社に測定を依頼したとする。そして測定の結果、1μW/c㎡という数値が観測されたとする。EUやザルツブルグ市の基準値を基にすれば、基準値を超える危険な数値だが、日本の基準値である1000μW/c㎡を基にすれば、1μW/c㎡であっても低い値ということになる。そこで電話会社は、住民に対して次のように言い訳できる。

「測定された数値は1μW/c㎡ですから、われわれは総務省が定めた基準値の1000分の1の数値で基地局を稼働させています。危険はありません。安心してください」

このような数字のトリックを知らない住民は、携帯基地局が本当に安全だと思い込んでしまう。その結果、「安心して」マイクロ波を浴び続けることになるのだ。もちろん、10年後、20年後のリスクについて考えることもない。

◇誰が電磁波問題を放置しているのか?

MEDIA KOKUSYOで繰り返し報じてきたように、基地局問題を放置しているのは、電話会社の労組から多額の政治献金を受けている政治家であり、多量の広告やCMを受注しているマスコミである。

※写真:ソフトバンクの本社。出典はウィキペディア。