1. 携帯基地局の設置、一定の規制へ東京・調布市議会が全会一致で住民の陳情を採択

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2014年07月04日 (金曜日)

携帯基地局の設置、一定の規制へ東京・調布市議会が全会一致で住民の陳情を採択

東京都調布市の調布市議会は、6月18日、携帯電話の基地局の設置に関する陳情を全会一致で採択した。陳情の内容は、携帯基地局の設置をめぐって電話会社と住民の間にトラブルが多発している状況を踏まえて、事前にトラブルを回避するために電話会社に住民の理解を得ることを義務づけたものである。

基地局の設置を禁止するものではないが、電話会社の戦略に一定の影響を及ぼしそうだ。

■参考:写真で見るさまざまな形の携帯基地局

調布市には、「町づくり条例」があり、陳情は、この「町づくり条例」の施行規則に明記する対象項目に、「その他、携帯電話基地局等で景観や周辺環境に影響を与えるもの」という項目を付け加えるよう検討を求めたものである。陳情が採択されたことで基地局設置に際して、電話会社は事前に住民の理解を得なければならなくなった。

しかも、電磁波による人体影響について理解を得るだけではなくて、景観問題にも配慮しなければならなくなった。

基地局設置をめぐるトラブル回避のための条例は、鎌倉市などにもあるが、調布市のように、極めて短期間のうちに、全会一致で採択された例はめずらしい。その背景に携帯基地局の設置をめぐるトラブルが全国に広がっている事情がある。基地局設置を規制する流れが本格化すると、これまで右肩あがりだった電話会社のビジネスにも、大きな影響を及ぼしそうだ。

◇ソフトバンク、1月から住民とトラブル  

条例の採択に至った事件の発端は、今年1月、ソフトバンクが調布市柴崎2丁目にある3階建マンションの屋上に、携帯基地局を設置したことだった。設置場所が低層ビルの屋上なので、通りを挟んだ向かいのマンションの3階~5階に住む住民は、ベランダのすぐ目の前に基地局を見ることになった。

■基地局とマンションの位置関係を示す図=PDF

住民は人体影響を懸念するだけではなくて、精神的な重圧を受け続けることになる。当然、「撤去してほしい」との声が上がった。

反対の声はマンション全体に広がり、住民たちは、「携帯基地局を考える会」を結成。今回の陳情提出と採択に至った。幸いに現在のところ電波は発信されていない。

「考える会」の世話人を務める田村良夫(仮名)氏は、陳情内容について次のように話す。

「私達には、急に電波が発射されるかもしれないという不安があります。採択された『陳情』は、電磁波による健康被害を前面に押し立てていません。極めてゆるい内容の陳情です。こうせざるを得ない理由は、電磁波による健康被害についての理解は、とても社会に行き渡っている状態とは言えないからです。むしろ安全神話が根強く、スマホの普及など高速通信のニーズが強い状態が背景にあります」

携帯基地局の問題は、地方議員が超党派で解決にあたるケースが増えている。昨年の秋には、東京目黒区でも自民党から共産党まで超党派の議員が住民と連帯して、NTTドコモに基地局設置の計画を撤回させた。その背景には、中央よりも、地方議会の方が住民の声により耳を傾けざるを得ない事情があるようだ。

■採択された陳情 

■調布市議会・建設委員会への申入れ書