1. 基地局の周辺ほど癌が多いことを示すブラジルの疫学調査、癌による死亡7191例と基地局の距離の関係を検証 疫学調査①

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2020年07月03日 (金曜日)

基地局の周辺ほど癌が多いことを示すブラジルの疫学調査、癌による死亡7191例と基地局の距離の関係を検証 疫学調査①

通信基地局と発癌の関係を調査した疫学調査を紹介しよう。2011年にブラジルのミナス・メソディスト大学のドーテ教授らが実施したものである。

この調査は1996年から2006年まで、ベロオリゾンテ市において癌で死亡した7191人の居住地点と基地局の関係などを調査したものである。基礎資料として使われたのは、次の3点である。

1、市当局が管理している癌による死亡データ
2、国の電波局が保管している携帯基地局のデータ
3、国政調査のデータ

対象の基地局数は856基である。電力密度は、40.78μW/㎠~0.04μW/㎠である。

結論を先に言えば、基地局に近いほど癌の死亡率が高い。また、基地局の設置数が多い地区ほど癌による死亡率が高った。

◆◆
下記のデータは、各ゾーンごとの癌による死亡率である。

距離 100mまで:43.42%
距離 200 mまで:40.22 %
距離 300 mまで:37.12 %

距離 400 mまで:35.80 %
距離 500 mまで:34.76 %
距離 600 mまで:33.83 %
距離 700 mまで:33.80 %
距離 800 mまで:33.49 %
距離 900 mまで:33.21%
距離 1000mまで: 32.78%
全市        :32.12 %

記事冒頭の図は、基地局からの距離と癌による死亡者7191人を分類したものだ。図には含まれていないが、1000メートルより外側のエリアにおける死亡者数は、147人である。総計で7191人になる。

◆◆◆
また、癌による死亡率(累積)が最も高かったのは、中央南区である。この地区には市全体の基地局の39・6%(2006年の時点)が集中していた。逆に最も低かったのはベレイロ区で、基地局の設置割合は全体の5.37%だった。

■出典・Science of the Total Environment