2013年03月13日 (水曜日)

【連載】新聞の偽装部数 産経新聞の「押し紙」裁判 4割、5割が偽装部数だったが現在は正常

産経新聞・四条畷販売所の「押し紙」裁判が進行していた同じ時期に、産経新聞の他の店主も「押し紙」裁判を起こしている。

高橋直樹さんの例を取り上げてみよう。高橋さんは、1995年6月に産経新聞・岡町西(大阪府)の経営を始めた。前店主との間で交わされた引継書によると、高橋さんが受け継いだ実配部数は673部(朝刊)だった。しかし、開業初日から産経新聞は1050部を搬入してきた。

差異の377部が「偽装部数」である。率にすると、36%である。

その後、高橋さんは、1997年から岡町東店の経営にも乗り出した。高橋さんが前店主から受け継いだ実配部数は、2064部(朝刊)だった。ところが1年後には3733部に、2年後には4271部になっていた。2年間で1000部以上も搬入部数が増えたのである。

新聞拡張団を動員して、景品やら商品券を洪水のようにばら撒いて、新聞の購読を強引に迫る戦略を取るだけの経済力がない産経の販売店が、2年間で1000部を拡販するのは難しい。

高橋さん経営の2店における「搬入部数」「実配部数」「押し紙」(偽装部数)を比較したのが次の表である。

(産経新聞・岡町東店、岡町西店における部数内訳=ここをクリック)

偽装部数の割合は、1999年が42%、2000年が40%、2001年が42%だった。

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2013年03月12日 (火曜日)

【連載】新聞の偽装部数 「押し紙」の洪水に流された男 月間27トンの新聞紙と格闘

1980年代に繰り広げられた国会を舞台として新聞販売問題の追及が終わったのち、新たに深刻な偽装部数問題が浮上してくるのは、今世紀に入ってからである。1990年代に全国で破棄された新聞や折込広告の量は、おそらく天文学的な数字になる。「押し紙」専門の古紙回収業が一大産業として成立した事実がそれを如実に証拠ずけている。

これだけ異常な実態になっていながら、政府が新聞社の保護をやめなかったのは、彼らを政府の広報部として活用する価値があるとみなした結果だと思われる。「チンチンをする犬」でいる限り、新聞社は敵視する性質のものではなかった。と、言うもの現代の政治は、世論誘導なくして政策実現は難しいからだ。むしろメディアを自分たちの権力構造に引き込みたいというのが本音ではないか。

今世紀に入ったころ、わたしは栃木県の販売店(中央紙)で働いている青年から内部告発を受けた。自分の店では、毎朝、4000部の新聞が搬入されるが、そのうちの偽装部数2000部を捨てているというのだ。もちろんこの2000部にセットになっている折込チラシも、広告主に秘密で破棄している。

最初、事情を聞いたとき、わたしは話に誇張があるように感じた。取材もしなかった。4000部のうち2000部を破棄するような神経は、普通の人間ではもちえないと思ったのだ。カリスマ的な人物から洗脳でもされない限りは、ありえないと思った。

ところがその後、わたしの所へ、「うちの店では偽装部数の比率が4割に達している」とか、「5割に達している」といった情報が次々と入ってきた。このうち産経新聞四条畷販売所の今西龍二さんは、産経本社を相手に提訴に踏み切った。

今西さんに裁判資料を見せてもらったところ、確かに92年から02年の10年間における搬入部数は約5000部で、実配部数は2000部?3000部だった。常識を超える異常な数値だった。

今西さんは、販売店経営をはじめたころ、注文していない新聞がどんどん送られてくるのに戸惑ったという。

「店舗の中もわたしの寝室も、そこら中が新聞だらけになってしまい、たまりかねて産経本社に部数を減らすように電話すると、『小屋を建てろ』と言われました」

安部公房の『砂の女』には、押し寄せてくる砂と戦う男が描かれているが、今西さんは、次々と搬入される新聞の山と格闘するようになったのである。断っても断っても紙の洪水が押しよせてくる。寝室も、店舗も、台所も新聞だらけになってしまったのである。

そして、ブリキ張りの「押し紙」小屋を建築して、ようやく一息ついたのだ。

今西さんから入手した「押し紙」回収業者・ウエダの伝票は、四条畷販売所から回収した偽装部数の量を示している。たとえば2001年8月の場合、回収回数が9回で、総計27トンを回収している。

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2013年03月11日 (月曜日)

【連載】新聞の偽装部数 国会で新聞社の販売政策が追及された6年間

1980年から85年までの間に、共産党、公明党、社会党の3党が計16回にわたって新聞販売に関する「闇」を国会で追及している。これらの質問では、「押し紙」問題は言うまでもなく、景品や恫喝による新聞拡販問題、補助金問題、販売店に対する差別問題などがクローズアップされた。

国会質問を組織した沢田治氏の『新聞幻想論』によると、国会の記者席は常に満員だったが、『潮』を除いて、質問内容を記事化したメディアはなかったという。(政党機関紙は別)。沢田氏は、次のように述べている。

新聞販売問題についての国会質問について奇妙なことに気付いた。6年間という長期にわたっているにもかかわらず、あれほど新聞のスキャンダル報道に熱心な、週刊誌はもちろん総合雑誌も、そしてマスコミ関係の雑誌も、私の知るかぎり一切話題にしていない。これはどういうことなのか。新聞業界紙には国会質問のたびに克明に派手に載せられていたことを考えれば、週刊誌、総合雑誌、それに新聞学者、研究者が知らない筈はない。

80年代前半の国会質問とは何だったのか?。この問題を考えるとき、日本の新聞人や新聞研究者の体質が輪郭を鮮明にしてくる。

国会で批判された事柄に対して、新聞関係者は一言の謝罪もしなかった。もちろん、販売政策を変更することもなかった。平然と同じことを続行したのである。こうした事実から、80年代前半の国会質問とは何だったのかという疑問が生まれてくるのである。

わたしはこれほど国会を馬鹿にした例を他に知らない。

 

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2013年03月07日 (木曜日)

公取委の前委員長・竹島一彦氏が、大手弁護士事務所へ天下り

公正取引委員会の前委員長・竹島一彦氏が退官後、日本の4大法律事務所のひとつである森・濱田松本法律事務所に、顧問として再就職(広義の天下り)していることが分かった。

竹島氏は2006年に公取委が新聞特殊指定の撤廃を打ち出した際に、新聞紙面で激しくバッシングされた。特殊指定撤廃は免れないというのが、大方の予想だったが、自民党の山本一太議員、高市早苗議員らが、特殊指定を扱う権限を公取委から取り上げるための議員立法を提出した結果、撤廃を断念した経緯がある。

実は公取委の関係者が、大手法律事務所へ再就職したケースはほかにもある。たとえば七つ森裁判、清武裁判、黒薮裁判と、次々と裁判を起こしてきた読売(渡邊恒夫会長)の代理人・TMI総合法律事務所へ、公取委の元事務総長・松山隆英氏が、やはり顧問として再就職している。

また、同事務所の顧問弁護士である三谷紘氏も、元公取委の委員である。

森・濱田松本法律事務所やTMI総合法律事務所は、主に企業法務の専門家の集まりである。特にグローバリゼーションの中で、バイリンガルの弁護士をそろえるなど、国際企業法務に力を入れている。

当然、独禁法を考慮に入れて活動しなければならない企業がクライアントになっている可能性が極めて強い。

こうした性質を持つ弁護士事務所が、公的機関の退官者と特別な関係を構築することは、民主主義を後退させる行為にほかならない。癒着の温床になる。ちなみにTMI総合法律事務所には、最高裁の元判事が3名も再就職している。

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2013年03月06日 (水曜日)

【連載】新聞の偽装部数 国会で大問題になった1980年代の読売「北田資料」

新聞の偽装部数の規模はどのように変化してきたのだろうか。日本ではじめて比較的まとまったデータが公になったのは、1982年3月8日のことだった。この日、共産党の瀬崎博儀議員が、衆議院予算委員会で「押し紙」問題を取り上げたのだ。

(「押し紙」の正確な定義=ここをクリック)

瀬崎議員が暴露したのは、北田資料と呼ばれる読売新聞鶴舞直売所(奈良県)における新聞の商取引の記録である。この記録は、同店の残紙(広義の「押し紙」、あるいは偽装部数)の実態を示すものだった。

瀬崎議員は、国会質問の中で鶴舞直売所における偽装部数の実態について次のように述べている。

 これで見てわかりますように、(昭和)51年の1月、本社送り部数791、実際に配っている部数556、残紙235、残紙率29・7%、52年1月送り部数910に増えます。実配数629、残紙数281、残紙率30.9%に上がります。53年1月本社送り部数1030、実配数614、残紙416、残紙率は40・4%になります。(略)平均して大体3割から4割残っていくわけなんです。

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2013年03月05日 (火曜日)

新聞折込チラシ詐欺 大阪地裁が「中抜き」を事実認定、35万枚のうち5万枚を印刷せず料金請求

大阪地裁は2月13日、広告代理店「アルファトレンド」が広告主である医師から受注した産経新聞と毎日新聞に折り込む35万枚のチラシのうち、新聞販売店に搬入される前段階で5万部を「中抜き」していた事実を認定した。この5万部は、印刷の発注もせず経費を浮かせていた。折込チラシの水増しを疑った医師が折込手数料の支払いをペンディングしたのに対抗して、代理店が裁判を起こしたところ、逆に法廷で証拠を突きつけられ、代理店の不正行為が認定された。

代理店側は控訴したが、折り込み広告の偽装配達部数が確定したら、新聞業界全体に決定的なダメージを及ぼしかねない。医師はどうやって証拠を押さえ、偽装部数を暴いたのか。折り込みチラシ中抜きの実態を詳報する。(判決文はPDFダウンロード可)【続きはMNJ】

◇裁判官の優れた理解力 ?

この裁判を傍聴する中で、わたしは幾つかの特徴に気づいた。

まず、第1は判事の構成が「合議」になっていなかった点である。裁判官がひとりだったので、責任を持って公平な判断をしたようだ。

第2に高瀬裁判官の理解力が優れていた点である。これまでの「押し紙」に関連した裁判における最大の壁は、新聞の商取引のカラクリを裁判官にわかりやすく知らせることだった。よく理解できない判事が大半で、結局、新聞社の主張を鵜呑みにするパターンが多かった。それが最も無難であるからだ。

ところが大阪地裁の高瀬裁判官は、新聞の商取引を正しく理解していた。その証拠に判決の中でも、「押し紙」の定義を広義に使っている。

(「押し紙」の正しい定義=ここをクリック)???

山陽新聞の「押し紙」で、販売店を勝訴させた岡山地裁の山口裁判長も、やはり理解力に優れ、判決の中で「押し紙」の定義を正しく使っていた。

 

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2013年03月04日 (月曜日)

YC久留米文化センター前の強制改廃5周年 不自然な判決 警視庁に対しては100万円、黒薮に対しては110万円

3月1日は、YC久留米文化センター前の強制改廃事件の5周年である。2008年のこの日、読売新聞社の3人の社員が事前連絡もせずに同店に足を運び、改廃通告を読み上げてあっさりと平山春夫店主(故人)を首にした。

その後、読売関係者が翌日に折込予定になっていたチラシを店舗から持ち去った。この行為を指してわたしは「新聞販売黒書」で「これは窃盗に該当し、刑事告訴の対象になる」と評価した。平山店主に精神的な強打をあたえた後、チラシを搬出したから、比喩的に「窃盗に該当」と評価したのである。

これに対して読売西部本社と3人の社員は、名誉を毀損されたとして総計2230万円のお金を支払うように要求して裁判を起こした。さらに読売は、改廃に際して、平山氏が店主としての地位を保持していないことを確認する裁判を起こしている。

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