1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2015年09月17日 (木曜日)

「押し紙」70年⑩、「押し紙」隠しの手口を暴いた真村裁判・福岡高裁判決

【サマリー】真村裁判の意義は、「押し紙」隠しの手口を暴いたことである。この裁判は新聞販売店主が起こした地位保全の裁判であるにもかかわらず、なぜ、「押し紙」問題が争点になったのかを解説する。

福岡高裁判決は読売の体質を、「しかしながら、新聞販売店が虚偽報告をする背景には、ひたすら増紙を求め、減紙を極端に嫌う一審被告の方針があり、それは一審被告の体質にさえなっているといっても過言ではない程である」と認定した。

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2015年09月15日 (火曜日)

「押し紙」70年⑨、人権問題としての読売の真村事件と真村裁判、裁判所は読売による「押し紙」を認定したが・・・

【サマリー】 「押し紙」問題を考えるうえで、無視する事ができないのが、真村裁判である。判決の中で裁判所は、新聞社による「押し紙」行為をはじめて認定した。実質的に読売による優越的地位の濫用を認定したのである。

この真村裁判から派生した裁判は、少なくとも7件起きている。これらの裁判に読売の代理人として常にかかわってきたのが、喜田村洋一・自由人権協会代表理事である。

真村裁判の全容を伝える連載(1) ・・・。

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2015年09月14日 (月曜日)

常総市の水害報道の裏で進む安保関連法案の報道自粛

【サマリー】茨城県常総市の水害にマスコミ報道が集中している裏側で、安保関連法案の成立が刻々と近づいている。連日、国会議事堂前をはじめ全国で安保関連法案に反対する活動が展開されているが、マスコミはそれをほとんど報じない。

その原因を突き詰めていくと、メディア企業の経営上の汚点が要因になっているようだ。新聞に対する軽減税率適用問題。「押し紙」問題。再版制度を巡る問題。粉飾決算の問題・・・・。

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2015年08月25日 (火曜日)

「押し紙」70年⑧、日露戦争の時代から「押し紙」があった、読売・宮本友丘元専務は自社の「押し紙」を全面的に否定

【サマリー】日本新聞販売協会が編集した『新聞販売百年史』によると、日露戦争の当時から「責任紙」と呼ばれる「押し紙」が存在した。しかし、それは表向きは契約によって取り決められたノルマにあたるために、「押し紙」には該当しないという論理の根拠でもあった。

問題は、こうしたゆがんだ論理が現在にまで受け継がれ、新聞販売店に配達されない新聞が多量に残っている事実があるにもかかわらず、「押し紙」とは見なされていないことだ。弁護士の中にも、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士のように読売には「押し紙」が存在しないという見解の者がいる。

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2015年08月21日 (金曜日)

「押し紙」70年⑦ 今世紀に入って激増した「押し紙」、搬入される新聞の70%が「押し紙」のケースも

【サマリー】今世紀に入って急激に「押し紙」率が上昇して、50%に達するケースも珍しくなくなった。2005年に、「押し紙」の実態を立証する毎日新聞の内部資料が外部へ流出する事件もあった。それによると搬入される新聞の36%が広義の「押し紙」だった。2007年には、70%という信じがたいケースも発覚した。

読売の「押し紙」も問題になったが、裁判所は「押し紙」とは認定しなかった。押し売りで生じた「押し紙」ではなく、「残紙」、あるいは「積紙」ということになった。

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2015年08月13日 (木曜日)

「押し紙」70年⑥ 1980年代の国会における新聞販売問題の追及、読売「北田資料」も暴露

【サマリー】1980年代に入ると国会質問の場で共産・公明・社会の3党が超党派で、景品を使った違法な新聞拡販や「押し紙」問題などを追及した。質問回数は、1980年3月5日から1985年4月13日までの期間、総計で16回である。

当然、「押し紙」問題も取り上げられた。共産党の瀬崎博義議員は、読売新聞・鶴舞直配所の内部資料を暴露した「北田資料」を根拠に、「押し紙」(広義の残紙)を取り上げた。

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2015年08月07日 (金曜日)

1年半で朝日は67万部、読売は72万部の減部数、2015年6月のABC部数

【サマリー】2014年1月から2015年6月の1年半における新聞のABC 部数の推移を調べたところ、朝日が約67万部、読売が約72万部の部数を減らしていることが分かった。これに対して産経は約1万部増やしている。

しかし、新聞のABC部数には「押し紙」が含まれている場合があるので、実際にどの程度の新聞が配達されているのかは不透明のままだ。「押し紙」は独禁法に抵触し、公権力がこれを逆手に取れば、暗黙のうちに新聞紙面をコントロールできる。

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2015年08月04日 (火曜日)

「押し紙」70年⑤、1977年の日販協による「押し紙」調査、搬入される新聞の約1割が「押し紙」に、粉飾決算の疑惑も

【サマリー】「押し紙」を排除する最初の全国的な動きは1977年に始まった。日販協(日本新聞販売協会)が全国の新聞販売店を対象に、「残紙」の実態調査を実施したのである。その結果、販売店へ搬入される新聞の8.3%(全国平均)が「残紙」になっていることが判明した。

 この数字を基に部数を試算すれば1日に380万部にもなる。これらの新聞は販売されていないにもかかわらず、販売されたものとして経理処理されている可能性が高く、粉飾決算の疑惑も免れない。

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2015年07月24日 (金曜日)

毎日新聞, 年間で250億円超の「押し紙」収入の試算、「押し紙」による自作自演の販売収入は粉飾に該当するか?

【サマリー】「押し紙」による販売収入の中身は、実は折込広告の水増し収入と新聞社が販売店へ支給する補助金である。つまり純粋な販売収入ではない。このような性質の収入を販売収入として処理する行為は、粉飾決算に該当しないか?

毎日新聞の「押し紙」144万部から生じるいわくつきの販売収入の額を試算したところ、実に年間で259億円にもなった。新聞社経営に汚点がある事実を公権力が把握したとき、ジャーナリズムは成立しなくなる。日本の新聞社が抱えている「押し紙」問題とは、ジャーナリズムの問題でもあるのだ。

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2015年07月22日 (水曜日)

「押し紙」70年④、「押し紙」の経理処理のプロセスで販売収入の「粉飾」が必然に、東芝の比ではない

【サマリー】1960年代に続いて70年代も「押し紙」が大問題になっていた。関係者は、「押売や包紙は文化国家の恥である」とまで発言している。

この「押し紙」問題を経理の観点からみると、「粉飾」の問題が浮上してくる。実際には読者に届いていない新聞から販売収入が発生したことにして経理処理するのであるから、当然、粉飾が必然的になる。東芝の比ではない。

当然、経営の好調さをPRしている新聞社が「押し紙」の経理処理のプロセスで販売収入を粉飾していないかどうかも検証する必要がある。

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2015年07月08日 (水曜日)

読売の広告収入、ピーク時の1700億円から800億円へ半減、自民・大西議員の発言がプレシャーになる理由

【サマリー】2015年1月に開かれた読売新聞社の新春所長会議で、渡邉恒雄グループ本社会長・主筆は、読売の広告収入が、ピーク時の1700億円から800億円までに落ち込んでいることを明かした。広告収入は新聞社の大きな収入源である。それが落ち込んでいる事実は、新聞社の広告を柱としたビジネスモデルの危機でもある。

 が、この点を逆手に取れば、メディアコントロールも可能になる。自民党・大西英男議員の「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」という発言は、こうした状況下で飛び出した。

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2015年07月02日 (木曜日)

「押し紙」70年③ ABC部数と実配部数の乖離を生む「押し紙」、政府・公取委・警察が70年も「押し紙」を放置している本当の理由

日本ABC協会という新聞や雑誌の部数公査(監査)を実施している団体がある。新聞の発行部数という場合、通常はABC部数を意味する。そしてこのABC部数を基準に、新聞に掲載される政府広報など、公共広告の掲載価格が決められる。

日本ABC協会は、日本で最も信頼のおける部数公査機関としての定評があるが、同時に新聞業界の内幕を知る人々のあいだでは負の評価もある。特に新聞販売店主の間では、「まったく信用できない」という評価が定着している。ABC部数が、新聞の実配部数と著しく乖離(かいり)しているからだ。

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2015年07月01日 (水曜日)

自民党・大西英男議員のマスコミ批判が露呈した広告依存型ビジネスモデルの限界と「押し紙」問題

6月25日に開かれた自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、マスコミをつぶせと言わんばかりの発言が相次いだことが問題になっている。

このうち自民党の大西英男議員は、「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」と発言したが、これは大西議員が現在のメディア企業のどこに決定的な弱点があるかを見抜いていることを物語っている。

広告依存型のビジネスモデル--それは広告収入を主要な財源として、ジャーナリズム活動を展開するスタイルである。現在、「公共放送」を除く、世界の大半のメディア企業が広告依存型のビジネスモデルを採用している。インターネット・メディアも例外ではない。そこでは常に広告主に対する「自粛」が起きている。

しかし、この問題を考える時にややもすると一般論が先行して、盲点になりがちな領域がある。広告という場合、企業が出稿する広告やCMのイメージが強いが、政府や官庁、それに地方公共団体などがメディア企業に出稿する公共広告についても、ジャーナリズム活動にとって負の要素となる側面がある事実である。

公共広告を通じて、想像以上に巨額の金がメディア企業に流れ込んでいるのだ。それが新聞を、「政府広報」に近いものにしている要因のひとつである。

わたしは2012年12月、情報公開請求により、内閣府から2700枚を超える公共広告の請求書(2007年~2010年分)を入手して、朝日、読売、毎日、日経、産経の紙面広告に対して請求された金額を算出したことがある

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