1. 「押し紙」の実態

「押し紙」の実態に関連する記事

2016年06月06日 (月曜日)

佐賀新聞の元店主が「押し紙」裁判を提起、約7100万円の損害賠償を請求、法廷で審理されるABC部数「偽装」の手口、読売・真村訴訟の弁護団が代理人に

「押し紙」で損害を受けたとして、佐賀新聞の元販売店主が6月3日、佐賀新聞社を相手どって約7100 万円の損害賠償を請求する裁判を佐賀地裁で起こした。元店主は、「押し紙」の負担で販売店経営が悪化し、佐賀新聞に対して執拗に「押し紙」の中止を求めていた。新聞社の「押し売り」問題が法廷で審理されることになった。

「押し紙」の実態と損害は次のPDFに示した通りである。

■佐賀新聞の「押し紙」の実態と損害一覧

「押し紙」率は、原告が店主になった2009年4月の段階では、10%だったが、ピーク時の2012年6月には19%に増えている。原告が年間に被った損害は、年度によって異なるが年間に、約460万円から約1000万円だった。多額の借金を背負わされて、昨年12月に廃業に追い込まれていた。

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2016年05月27日 (金曜日)

旭化成、日産、ジャスコ、マクドナルド・・数字で示す「折り込め詐欺」の被害実態

旭化成、日産、ジャスコ、マクドナルド・・・騙されていた広告主の数は際限がない。「折り込め詐欺」の闇は深い。

「押し紙」により広告主はどのような被害を受けているのか、具体的な例を
紹介しよう。

折込広告の搬入枚数は、新聞販売店に搬入される新聞の部数に一致させる基本原則があることは、メディア黒書で繰り返し説明してきた。搬入部数には、「押し紙」が含まれているわけだから、当然、「押し紙」にも折込広告が割り当てられる。

ところが最近、広告主がこのような新聞社のビジネスモデルを知るようになり、自主的に折込広告の発注枚数を減らす傾向が生まれている。

次に示す表は、折込広告がどの程度、過剰になっているかを示したものである。資料の提供元は、山陽新聞岡輝販売センターの元所長で、「押し紙」裁判で勝訴した廣田(仮名)さんである。

当時、岡輝販売センターの実配部数は、1702部だった。しかし、それを遥かに超える折込広告が搬入されていた。次に示すのが、その詳細である。

なお、廣田(仮名)さんが内部告発したのは、「詐欺」「偽装」 に加担させられていたからである。責任は、新聞発行本社にあるからだ。

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2016年05月26日 (木曜日)

本日発売の『月刊Hanada』が「押し紙」と折込広告の「水増し問題」を報道、消費税の軽減税率と「押し紙」の関係にも言及

新聞に対する軽減税率の適用が確実視されているなか、公正取引委員会が朝日新聞に対して「押し紙」問題で警告を発した。本日発売の『月刊Hanada』に、「朝日『押し紙』注意は蟻の一穴」と題する黒薮の記事が掲載された。

「押し紙」問題は、朝日新聞に限らず日本の新聞業界に普遍的な問題である。新聞社のビジネスモデルと言っても過言ではない。「メディア黒書」が当初から追及してきた問題である。

本記事では、朝日の問題を皮切りに、読売の「押し紙」政策を認定した福岡高裁判決や、毎日新聞の凄まじい「押し紙」の実態にも言及している。また、おそらく全国規模の雑誌では初めて、折込広告の「水増し問題」と「中抜き問題」について具体な数字を示して例証した。さらに、公共広告の価格設定に見る税金の「ぼったくり」の実態も数字で示した。これは広告代理店の関係者に注意を促す意味で必読だ。

もちろん、「押し紙」に消費税が課せられるメカニズムにも言及している。実は、それが新聞人が軽減税率を求めている理由なのだが。

以下、参考までに「押し紙」回収場面と「水増しチラシ(広告)」の回収場面を動画で紹介しておこう。

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2016年05月25日 (水曜日)

第3種郵便物の認可基準を満たしていない毎日新聞、「押し紙」率20%を超えると基準外

「押し紙」問題を考える上て、意外に盲点になっている視点を紹介しよう。

読者は第3種郵便物制度をご存じだろうか。この制度は、定期刊行物の郵送料を安くして、購入者の負担を減らす制度である。この制度を使うと、50gまでの刊行物であれば62円で郵送できる。

しかし、認可を得るためにはいくつかの条件が必要だ。

「押し紙」と第3種郵便物制度の関係を考えるとき、次に示す認可条件のうち「7」に注目してほしい。毎日新聞社が認可条件を満たしていなことが判明する。

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2016年05月12日 (木曜日)

販売店が集団で琉球新報社を提訴、「押し紙」問題で

沖縄県の地方紙・琉球新報社に対して、8つの新聞販売店が「押し紙」の集団訴訟を提起していることが分かった。

5月5日付けの「ビューポイント」によると、原告は19名。「押し紙」による損害賠償を求めている模様。同紙の全文は、次の通りである。

■販売店への「押し紙」19人が琉球新報を提訴

筆者が知る限り、販売店による集団訴訟は、北國新聞に続いて2件目である。このケースでは、5店が提訴に踏み切ったが、結局、和解で解決した。

沖縄県内での新聞販売店訴訟といえば、1998年に沖縄タイムスの元販売店主・金城初子氏が起こした地位保全裁判がある。訴因は、保証金(新聞販売店を開業する際に本社に預ける)の利子をタイムス社が一方的に切り下げようとして、金城氏が承諾を保留にしたことだった。が、金城氏の訴えは棄却された。

しかし、この事件を通じて、新聞ジャーナリズムの評価が高い沖縄タイムスといえども、販売局の実態は中央紙とあまり変わらないことが判明したのだ。

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2016年05月10日 (火曜日)

「押し紙」の決定的証拠、西日本新聞の内部資料を公開、佐賀県下の販売店ごとの「押し紙」部数が判明

次に紹介(エクセルにリンク)する一覧表は、西日本新聞の販売店主から提供された内部資料である。西日本新聞の佐賀県下における新聞の部数内訳を、販売店ごとに示したものである。

■西日本新聞の「押し紙」を示す内部資料

この内部資料は、西日本新聞社では、「押し紙」政策が行われていることを示している。念のために筆者は、同社の販売局に、「これは貴社の資料か?」と問い合わせてみたが、回答はなかった。

内部資料の提供者によると、この表は次のように読み解く。

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2016年04月21日 (木曜日)

『週刊ポスト』と『週刊新潮』が「押し紙」報道、背景に新聞記者による内部告発、大手広告代理店による折込広告の水増し-「折り込め詐欺」も急浮上

今週発売された週刊誌2誌が「押し紙」問題を取り上げている。『週刊ポスト』(月曜日発売)と『週刊新潮』(木曜日発売)である。タイトルは、前者が「朝日新聞危機?! 『押し紙問題』怪事件」(ポスト)で、後者は「『朝日新聞』部数水増しで『大新聞』の明日」(新潮)。

このうち『週刊新潮』の記事では、黒薮もコメントしている。

2つの記事が扱っているのは、朝日新聞社が「押し紙」問題で公正取引委員会から注意された事件である。

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2016年04月15日 (金曜日)

「押し紙」問題の公取委査察について、朝日新聞をターゲットにした理由、「朝日バッシング」で部数が減ったわけではない

このところ朝日新聞の販売店に公正取引委員会が「押し紙」問題で査察に入っているという情報がソーシャルメディアで流れている。これについて私の見解を求める問い合わせも来た。

たとえばツイッターによる次のような問い合わせである。

押し紙に詳しい黒薮哲哉さん@kuroyabuにわかったら教えてもらいたい。
 @haigujin なぜ安倍政権になって朝日だけ公取が?読売も産経も指摘なし。この論は販売店が被害者とみなすが単純ではない。折込収入を加味すると販売店が要求している面もあり本社との共同正犯だ。また雑誌・・

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2016年04月13日 (水曜日)

「押し紙」の存在を示す西日本新聞の内部資料を入手、崩壊へ向かう新聞販売店経営

「これからどんどん店主の自殺が増えるでしょう」

こんな訴えが、新聞販売店の店主からあった。新聞の没落が止まらないなか、販売店主らの間に絶望感が拡がっている。元凶は、「押し紙」である。

折込広告の需要が好調だった時代には、販売店は「押し紙」があっても、折込広告の水増しで「押し紙」の損害を相殺できたので、なんとか経営を維持できた。

たとえば1000部の「押し紙」があっても、折込広告を(一種類につき)1000枚水増しすれば、「押し紙」の損害を相殺できていた。ところがその折込広告の需要が低迷して、新聞販売店の経営基盤そのものが揺らいでいる。

しかし、新聞代金の納金を怠るわけにはいかない。怠れば、たちまち新聞社から担当員がやってきて、しつこく入金を迫る。期限までに入金しなければ、容赦なく新聞の供給を止めてしまう。

新聞は「味覚期限」が1日であるから、在庫品を配達するわけにはいかない。その結果、新聞販売店は入金を履行するために、借金まみれになったあげく、一方的に廃業に追い込まれる。自殺者もでる。

実態は昔からなにひとつ変わっていないが、最近は店主の方から「こんなばからしい仕事はできない」と言って、みずから廃業するケースが増えている。

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2016年04月01日 (金曜日)

折込広告の水増し問題、新聞社の直営販売店に要注意

メディア黒書に折込詐欺に関する問いあわせが相次いでいる。この種の情報を伝えてくるのは、かつては新聞販売店の従業員だった。それから新聞販売店の店主になった。そして最近は広告主からの情報提供も増えている。

なぜ、新聞販売店の店主が折込広告が水増しされている実態を告発するようになったのだろうか?答えは簡単で、折込広告の水増し分が特定の販売店(証言によると新聞社の直営店)に割り当てられ、販売店にとってはあまりメリットがなくなってきたからである。

折込広告の搬入枚数を店別に決めているのは、広告代理店である。新聞社系の広告代理店が、新聞社の直営販売店に対して多量の水増し広告を不正に割り当てても不思議はない。

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2016年03月23日 (水曜日)

「押し紙」問題と折込広告の水増し問題が再燃、情報提供求む

2009年7月、読売新聞社が新潮社とわたしに対して「押し紙」報道をめぐって5500万円の損害賠償を求める裁判を起こした後、「押し紙」報道が急激に下火になった。そしていつのまにか「押し紙」問題が消えてしまった。

ところがこのところ再びこの問題が再燃している。メディア黒書に情報が寄せられるようになっているのだ。

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2016年03月09日 (水曜日)

毎日新聞の新資料、搬入される新聞の74%が「押し紙」、千葉県の販売店がメディア黒書に情報提供

千葉県内の毎日新聞販売店から「押し紙」に関する新資料を入手した。

「押し紙」とは、広義には新聞社が新聞販売店に対して供給する過剰な新聞部数を意味する。残紙ともいう。たとえば2000部しか配達していない販売店に対して3000部を搬入すれば、差異の1000部が「押し紙」である。この1000部に対しても、新聞社は卸代金を徴収する。普通の新聞とまったく同じ扱いにしているのだ。消費税もかかる。

新資料について説明しよう。資料のタイトルは「毎日新聞 増減報告書」。新聞販売店の経営者が、新聞の搬入部数を毎日新聞社に通知するためのものである。日付けは2015年8月7日。

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2016年01月21日 (木曜日)

【試算】毎日新聞、1日に144万部の「押し紙」を回収、「朝刊 発証数の推移」(2002年のデータ)に基づく試算

1月中に「押し紙」回収の現場を撮影した動画を紹介したところ、どの程度の頻度で、どの程度の数量が回収されているのかという問いあわせがあった。質問者によると、確かに動画を見る限りでは、1回の回収で凄まじい量の「押し紙」が回収されているが、回収の頻度が、たとえば2週間に一度であれば、1日の量に換算すると少なくなるのではないかという疑問である。

当然の疑問である。この疑問に答えるためには、1日に回収される「押し紙」(残紙)の数量を示す証拠が必要になる。

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