没落寸前の新聞、2019年3月度のABC部数、年間で朝日が-38万部、毎日が-38万部、読売が-39万部
2019年3月度のABC部数が明らかになった。それよると前年同月比で、朝日は約-38万部、毎日は約-38万部、読売は約-39万部だった。新聞の没落傾向には、まったく歯止めがかかっていない。
朝日:5,603,778(-376,719)
毎日:2,452,028(-383,712)
読売:8,114,816(-388,825)
日経:2,347,442(-102,477)
産経:1,392,080(-125,786)
統一地方選挙の選挙公報を大量に廃棄、公報の印刷枚数が戸数を大幅に上回る可能性
統一地方選挙が終わった。
読者からの情報提供により、一部の地域で選挙公報が配達されないまま廃棄されているらしいことが判明した。実は、この問題はかなり以前からあった。筆者の記憶では、2005年ごろに山陽新聞の元店主から、情報提供があったのが最初だ。
その後も断続的に同じ手口の「組織犯罪」が続いている。
「腐った金」とジャーナリズムの精神とは両立するのか、依然として新聞人による「押し紙」政策は止まず
メディア黒書に対して「押し紙」の内部告発が増えている。その大半は匿名で、裏付け資料が添付されていないので、事実確認ができずに放置するが、実名による内部告発で、連絡先が記されているものについては、弁護士を紹介して対処をお願いしている。今年中に、何件かの「押し紙」裁判が起こされるのではないかと思う。
筆者が「押し紙」の取材をはじめた1997年ごろ、日本新聞協会は「押し紙」の存在を全面的に否定していた。そのために「押し紙」という言葉も禁句になっていた。筆者が日本新聞協会の職員に、
「『押し紙』についてお尋ねしたいことがあります」
と、質問したところ、
「残紙のことですか?」
2018年12月度のABC部数、前年同月比で朝日が約36万部の減、読売は38万部の減
2018年12月度のABC部数が明らかになった。それによると、この1年間で、朝日は約36万部の減、読売は38万部の減、毎日は約33万部の減部数となった。
ABC部数の急落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。減部数の原因は、読者数の減数よりも、「押し紙」の減数が影響した可能性が高い。
中央紙の部数明細は次の通りである。
ABC部数はこうして改ざんされる、改ざん作業を行ったデュプロの社員が語った恐るべき手口、全録音記録を公開
新聞のABC部数が、実配部数を反映していなことは、かなり前から新聞販売店主らの証言で明らかになっていた。ABC公査の直前に、販売店が保管している帳簿類(現在は、PC上のデータ)の改ざんが行われるというのだ。ただ、改ざんの現場を撮影するとか、改ざんした当事者が具体的な手口を明かすことはなかった。その結果、改ざん作業は、断罪されることなく新聞業界の慣行と化した。罪悪感もなくなったようだ。
が、筆者はこの10月、帳簿類(PC上のデータ)の偽装にかかわった人物が、その手口を語った録音テープを入手した(次ページのyoutube)。手口を録音したのは、兵庫県の西宮市で毎日新聞販売店を経営していた板見英樹さんである。(現在は廃業)
世界新聞発行ランキング、読売・朝日が1位と2位を独占するも、「注釈」で「押し紙」に言及、NYTの著しい台頭
英語版のウィキペディアに掲載されている新聞発行部数(2016年度)ランキングに、日本の新聞社が慣行化してきた「押し紙」についての注釈があることが分かった。ランキングは、世界新聞協会(WAN-World Association of Newspaper)が発表したデータを転載したもの。日本の新聞社がこれまでどおりに上位を占めているが、次のような注釈がついている。
【注1】
幾つかのデータについては議論の余地がある;日本の新聞の発行部数は、「押し紙」、取引先に過剰な新聞を供給することによる(数字の)誇張の影響下にあるとの主張もある。■出典(Notes 1)
海外でも、日本の新聞社の「押し紙」が問題視されはじめているのだ。
「押し紙」問題最前線、活発化する「押し紙」報道、増える「押し紙」裁判
「押し紙」問題の近況を報告しておこう。新しい動きがいくつか現われている。
11月1日に、国会の衆議院議員会館で「押し紙を考える勉強会」を開催した。この集会には、報道関係者を含めて50人あまりが集まった。「押し紙」をテーマとした集会を国会内で開催したのは初めてだ。1980年度の前半に、新聞販売の諸問題が国会質問の場で繰り返し取り上げられたことはあるが、集会を開いたことはなかった。
この集会の報道を含めて、その後、「押し紙」報道は活発化している。【続きはここをクリック】
「紙」新聞が崩壊へのカウントダウン、年間で読売41万部減、朝日は36万部減、毎日は31万部減、中央紙だけで京都新聞社3社分の部数が消えた、最新のABC部数
新聞の没落傾向に歯止めがかからない。新聞の発行部数を示すABC部数(2018年10月度)によると、朝日新聞は前年同月比で約36万部減、読売新聞は約41万部、日経新聞は約30万部減、毎日新聞は約31万部減、産経新聞は約11万部減となった。
中央紙5紙のABC部数は次の通りである。()は前年同月比である。
朝日 5,763,923(-357,682)
毎日 2,646,202(-314,076)
読売 8,328,646(-406,279)
日経 2,398,162(-297,093)
産経 1,465,842(-112,190)
合計 20,602,775(-1,487,320)
これら5紙で、総計約149万部が減ったことになる。これは京都新聞(発行部数約43万部)クラスの地方紙が、3社消えたに等しい。新聞業界の深刻な内情が改めて浮彫になった。
◇「押し紙」と折込広告の水増し
ちなみにABC部数には、「押し紙」が含まれている。「押し紙」とは、新聞社がノルマとして新聞販売店に買い取りを強要する新聞のことで、昔から業界内で大きな問題になってきた。新聞ばなれが進み、販売店の経営が悪化してくると、「押し紙」の負担が重くなる。そこで新聞社は、販売網を維持するためにやむなく「押し紙」を減らすことがある。その結果、ABC部数も減る。
このところの極端な部数減の背景には、単に新聞ばなれだけではなく、新聞社が「押し紙」を減らさざるを得なくなっている事情もあるようだ。それだけ経営悪化が深刻になっているのだ。
なお、折込広告の販売店への割り当て枚数は、ABC部数に準じる基本原則がある。従ってABC部数の中に「押し紙」が含まれていれば、それとセットになっている折込広告も、配達されないまま「押し紙」と一緒に廃棄されている可能性が高い。
東京都足立区でも「押し紙」が発覚、ABC部数が約270万部の毎日新聞、実配部数は推定で135万部
毎日新聞の元販売店主を取材した。この人は東京都足立区で2店舗を経営していたが、数年前に「押し紙」の負担に耐えられなくなって廃業した。当時の商取引の記録を見せてもらった。
それによると2店に対して総計で約3000部の新聞が搬入されている。このうち読者に対して発行された領収書は約1500枚(発証数)。差異にあたるおおよそ50%が「押し紙」になっていたことになる。
新聞「ABC部数」はこうして改ざんされる――実行者が手口を証言、本社販売局の指示でデュプロ(株)が偽の領収書を発行、入金一覧表なども偽造し数字を整合させる
新聞の発行部数を公式に示す「ABC部数」。ABC協会は2年に1度、「公査」を実施し、販売店の現場を調査している。ところがこの公査の直前に、新聞の購読者数を証拠づけるデジタル書類を改ざんしていることが分かった。
この問題を告発したのは、毎日新聞の元販売店主・板見英樹氏。板見氏は、現役販売店主だった2016年9月、改ざんの「実行者」である折込チラシ丁合機メーカー・デュプロ(株)社員から一部始終を聞き出した。
その録音によると、手口は、新聞拡販の対象者として販売店が保存している「過去の新聞購読者データ」を、現在の読者に改ざんして領収書を発行、そのバーコードを読み込み、入金一覧表なども自動的に改ざんすることで全体を整合させる、というもの。
改ざん現場には、毎日新聞の販売局員が立ち会い、指示を出していたという。(※文尾で、全音声9分21秒を公開)
「押し紙を考える学習会」の動画が完成、11月1日、衆議院第2議員会館で収録
11月1日に衆議院第2議員開会で、「NO残紙キャンペーン」が開催した「押し紙を考える勉強会」の動画が完成した。「NO残紙キャンペーン」は、新聞販売店から「押し紙」をなくす運動を展開している集まりで、弁護士、議員、それにジャーナリストなどから構成されている。思想的・信条は異なるが、販売予定のない新聞を買い取らせる新聞社のビジネスモデルに異議を申し立てるという点で合意を形成している。
発言は次の順番。
①黒薮哲哉(フリーランスライター)
②幸田泉(作家)
③寺崎昭博(佐賀新聞「押し紙」裁判原告)
④木原稔(衆院議員)
⑤小坪慎也(行橋市議)
⑥会場からの発言
どの発言も内容が濃いが、個人的には、木原稔衆院議員の発言に強い印象を感銘けた。折込広告の水増し行為が刑法上の詐欺にあたることを国会議員が、国会での集まりの中で指摘したのは初めてではないか。
水面下で広がっている「押し紙」をめぐる裁判、筆者も網羅できない規模か?
「押し紙」をめぐる訴訟が、筆者だけでは網羅できない規模で広がっているようだ。かつては販売店が新聞社を相手に裁判を起こしても、まず勝てないというのが常識だった。新聞社の担当員は、「押し紙」をめぐるトラブルが起きると、自信満々に、
「あなたがたが裁判を起こしても、絶対に勝てないですよ」
と、断言していた。残念ながら、それは事実だった。帳簿上では、新聞販売店が自分で希望する部数を注文したことになっているので、裁判所は残紙を「押し紙」とは認定しなかったのだ。帳簿上の事実関係だけで判断していたのである。
裁判所の見解に変化の兆しが現れはじめたのは、2005年だった。岐阜新聞の元店主が起こした「押し紙」裁判の控訴審判決で、名古屋高裁が残紙を「押し紙」と認定したのである。損害賠償は認めなかったが、残紙を「押し紙」 と判断した。
人件費のカットで新聞配達員に大きな負担、投函ミスが急増し、購読中止を招くケースが続出
新聞販売店からの情報によると、新聞の実配部数が大幅に減っている背景に、紙媒体からインターネットへの移行が進んでいる事情だけではなく、販売店の経営そのものが困難に追い込まれている事情があるようだ。
「人件費をカットせざるを得ない状況になり、その結果、ひとりの従業員の負担が大きくなったり、士気が低下して、配達が大幅に遅れたり、投函ミスが増えているのです」(都内店主)
投函ミスというのは、新聞を届けるポストを間違えたり、「不着」といって、投函そのものを忘れる事故を意味する。店によっては、1日に4件から7件ぐらいの投函ミスが発生するという。