1. 恐るべき新聞ビジネスの実態、電通から最高裁へ公共広告の料金請求6億5400万円、内部資料が示す02年度の毎日の「押し紙」率36%

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2014年06月05日 (木曜日)

恐るべき新聞ビジネスの実態、電通から最高裁へ公共広告の料金請求6億5400万円、内部資料が示す02年度の毎日の「押し紙」率36%

新聞の発行部数が不透明な問題は、昔から取り沙汰されてきた。新聞販売店へ搬入される新聞に、「押し紙」(偽装部数)が含まれているために、実際に配達されている新聞部数は、外部からでは分からない。

読売には「押し紙」が1部も存在しないことを裁判所が認定した判例(東京地裁・村上正敏裁判長)もあり、日本にあるすべての新聞社が「押し紙」政策を続けてきたとはあえて断言しないが、新聞業界の慣行になってきたことは、紛れもない事実である。

さもなければ「押し紙」専門の回収業が産業として成立するはずがない。

不透明な新聞の発行部数により不利益をこうむるのはだれなのか?それはほかならぬ広告主である。公共広告の場合は、納税者が間接的な広告主ということになる。

紙面広告の掲載価格は、新聞の発行部数により決定する原則がある。特に公共広告の場合は、この原理が厳密に守られている。次のデータは、最高裁が2010年に広告代理店・電通から受け取った裁判員制度の新聞広告の請求書である。これを見ると発行部数と価格の関係がよくわかる。広告のサイズは、15段(全面)である。掲載回数は各紙とも2回。

読売新聞:1億510万円

朝日新聞:  8962万円

毎日新聞:  6274万円

産経新聞:  3090万円

■オリジナル資料PDF=ここをクリック?

業務を請け負った広告代理店は、すでに述べたように電通である。同社からの最高裁に対する請求の総額は、地方紙を含む他メディアを総計する約6億5400万円である。

◇「押し紙」率36%を示す決定的証拠 ?

「押し紙」の決定的な証拠を示そう。次に紹介する資料のタイトルは、「朝刊 発証数の推移」。資料上にわたしが記した赤と青のマークに注目してほしい。

■朝刊 発証数の推移

赤:全国の毎日新聞販売店へ搬入される新聞部数を示している。約395万部である。

青:「発証」とは、販売店が読者に発行する新聞購読料の領収書である。約251万枚である。

つまり395万部が販売店に搬入されているのに、領収書は251万枚しか発行されていないのだ。両者の差異にあたる144万(部)が、「押し紙」である。率にすると36%である。 この数字は2002年10月のものである。12年前のデータであるから、新聞離れが急速に進んでいる現在の時点では、さらに「押し紙」が増えている可能性が高い。

このように疑問点が多い公称部数をベースにして、公共広告の代金が支出されているのである。

これでは日本の政治を本気で批判できるはずがない。「政府広報」に徹せざるを得ないのである。