1. 岡山県下における読売のABC部数の調査、瀬戸内市では5年に渡って1040部でロック 

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2022年08月02日 (火曜日)

岡山県下における読売のABC部数の調査、瀬戸内市では5年に渡って1040部でロック 

日本ABC協会が定期的に公表しているABC部数は、新聞社が販売店へ搬入した部数を示すデータである。残紙(広義の「押し紙」)も、ABC部数に含まれている。従って第三者からみれば、ABC部数は、「押し紙」を隠した自称部数である。実配部数との間に乖離があり、広告営業の基礎データとはなりえない。

筆者は、都府県を対象に各新聞社のABC部数の長期的変化を調査している。今回は、岡山県における読売新聞のABC部数を調べてみた。その結果、ABC部数が1年、あるいはそれ以上の期間、固定されるロック現象を頻繁に確認することができた。新聞社が販売店へ搬入する部数が、一定期間に渡って増減しないわけだから、読者数が減れば、それに反比例して「押し紙」が増えることになる。

たとえば次に示すのは、瀬戸内市のABC部数である。

2016年4月 :1040部
2016年10月:1040部
2017年4月 :1040部
2017年10月:1040部
2018年4月 :1040部
2018年10月:1040部
2019年4月 :1040部
2019年10月:1040部
2020年4月 :1040部
2020年10月:1040部

瀬戸内市の読売新聞の場合、5年にわたってABC部数が1040部でロックされている。しかし、この期間に瀬戸内市の読売新聞の購読者が1人の増減もない事態は通常はありえない。販売店に配達する予定がない新聞が搬入されていた可能性が高い。

同じような部数の動きを、ABC部数の規模がより大きな自治体を対象に検証してみよう。例として取り上げるのは、浅口市である。

2016年4月 :3537部
2016年10月:3537部
2017年4月 :3537部
2017年10月:3537部
2018年4月 :3537部

浅口市の場合は、2年半にわたってABC部数が3537部でロックされていた。読者数の増減とはかかわりなく、同じ部数の新聞が販売店に搬入されている。

さらに中国地方の大都市である岡山市のデータを示そう。

2016年4月 :24557部
2016年10月:24557部

岡山市の場合は、1年にわたってABC部数が2万4557部でロックされている。ロックの規模は極めて大きい。繰り返しになるが、岡山市の読売新聞の読者数に1部の増減も発生していないのは不自然極まりない。何者かが販売店に対して、新聞の「注文部数」を指示した可能性が高い。もし、それが事実であれば、独禁法に抵触する。

次に示す表は、岡山県全域の調査結果である。

 

【初出、デジタル鹿砦社通信】