1. 新聞・テレビ報道のタイミングが極端に遅れるテーマ、被害額は「押し紙」が霊感商法をはるかに上回る

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2022年07月21日 (木曜日)

新聞・テレビ報道のタイミングが極端に遅れるテーマ、被害額は「押し紙」が霊感商法をはるかに上回る

新聞・テレビがタブー視しているテーマ、あるいは事件が爆発するまで報じないテーマについて検証してみよう。次のようなものがある。

① 宗教団体に対する批判
② 天皇制廃止論
③ 各種の反差別運動に対する批判
⑤ 新聞社の「押し紙」問題
⑥ 電磁波や化学物質などの新世代公害
⑦ 医療制度の批判

これらのテーマは聖域とされ、ジャーナリズムのメスが入らない。

原発問題はかつてタブーだったが、2011年3月の福島第1原発の事故を機に比較的自由に報じられるようになった。

◆宗教問題

統一教会の問題は、安倍元首相の銃殺死によって、報道が「解禁」された。新聞・テレビは一応、このカルト集団に対して厳しい目をむけはじめた。
ただし国際勝共連合の活動など、肝心な部分はお茶をにごしている。

本来は、統一教会=国際勝共連合が日本での活動を本格化させ、活動資金を韓国へ送りはじめた1970年代に報道を開始すべきだった。報道のタイミングが半世紀ほど遅れている。

統一教会=国際勝共連合が1960年代から日本の保守政治にかかわってきたことは、彼ら自身がウエブサイトで認めている。

【引用】その創立の経緯は次の通りだ。67年6月、日韓両国の反共首脳会談が実現し、韓国側文鮮明師、劉孝元氏、日本側は笹川良一氏、児玉誉士夫氏代理・白井為雄氏、市倉徳三郎民らが出席して、山梨県本栖湖畔で「第1回アジア反共連盟結成準備会議」が開催され、勝共運動日本受け入れの合意が成立。同年11月、久保木修己氏が中心となり国際勝共連合の前身、「勝共啓蒙団」が結成された。
 
翌68年4月、本栖湖会談の精神に基づき笹川良一氏を名誉会長に迎え、久保木修己氏を会長とし国際勝共連合を結成した。李相憲著「新しい共産主義批判」を翻訳・出版し、共産革命の惨禍から祖国を救う残された唯一の道は、共産主義の理論的矛盾と、革命の実態を誠実に国民に説得する以外にないという結論に達し、理論啓蒙団体として、研究を積み重ねた。初期は勝共遊説隊の街頭活動が中心であった。

 勝共連合創立時の1968年、アジア情勢は未曾有の危機下にあった。英国はスエズ運河以東からの撤退を発表、アジアでのプレゼンスを放棄。これに代わるべき米国も同年、ベトコンのテト攻勢に遭い泥沼のベトナム戦争に疲弊し、国内の反戦運動がピークに達してジョンソン大統領は再選を諦め、朝野ともに著しく自信を喪失していた。■出典

統一教会の運動が保守政治や日本の右翼と深くかかわってきたから、新聞・テレビは、なるべくこの問題を避けてきたのだ。

◆「押し紙」問題
「押し紙」問題も報道のタイミングが、半世紀ほど遅れている。この問題をめぐっては、最近も販売店主の自殺が起きているが、新聞・テレビは依然としてかかわらない。自分の足もとの問題であるからだ。「押し紙」による被害額は、統一教会の献金のレベルではない。被害額の試算については、「デジタル鹿砦社通信」(7月19日付)に掲載した記事からの抜粋した次の記述で確認してほしい。

結論を言えば、毎日新聞の場合2002年の時点で約250億円の不正収入があった試算になる。「押し紙」問題がいかに根深かが分かる。

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新聞社が「押し紙」によりいかに莫大な利益を上げているかを、試算してみよう。それにより「押し紙」問題がメディアコントロールの温床になっている高い可能性を推測できる。

試算に使用するのは、毎日新聞社の社長室から外部へ漏れた内部資料「朝刊 発証数の推移」である。この資料によると2002年10月の段階で、新聞販売店に搬入される毎日新聞の部数は約395万部だった。これに対して発証数(読者に対して発行される領収書の数)は、251万部だった。差異の144万部が「押し紙」である。

シミュレーションは、2002年10月の段階におけるものだが、暴利をむさぼる構図そのものは半世紀に渡って変わっていない。

■裏付け資料「朝刊 発証数の推移」

【シミュレーションの根拠】
試算に先立って、まず「押し紙」144万部のうち何部が「朝・夕セット版」で、何部が「朝刊単独」なのかを把握する必要がある。と、いうのも両者は、購読料が異なっているからだ。

残念ながら「朝刊 発証数の推移」に示されたデータには、「朝・夕セット版」と「朝刊単独」の区別がない。常識的に考えれば、少なくとも7割ぐらいは「朝・夕セット版」と推測できるが、この点についても誇張を避けるために、144万部のすべてが「朝刊単独」という前提で試算する。

「朝刊単独」の購読料は、ひと月3007円である。その50%にあたる1503円が原価という前提で試算するが、便宜上、端数にして1500円に設定する。144万部の「押し紙」に対して、1500円の卸代金を徴収した場合の収入は、次の式で計算できる。

1500円×144万部=21億6000万円(月額)

毎日新聞社全体で「押し紙」から月に21億6000万円の収益が上がっていた計算だ。これが1年になれば、1ヶ月分の収益の12倍であるから、21億6000万円×12ヶ月=259億2000万円
と、なる。

◆経営上の汚点がメディアコントロールの温床

毎日新聞だけで年間に259億2000万円(2002年)の不正収入を得た試算になる。統一教会による献金被害よりも、規模がはるかに大きい。広告媒体(紙面、折込)の水増しによる不正収入を加算すると、さらに被害額は増える。

金額が莫大なので、この汚点を黙認すれば、公権力(政府・裁判所・公取委・警察)は暗黙のうちにジャーナリズムの内容をコントロールすることできる。【続く】