1. 朝日新聞が400万部の時代に突入、折込広告の減少がボディーブローに 

「押し紙」の実態に関連する記事

2020年09月21日 (月曜日)

朝日新聞が400万部の時代に突入、折込広告の減少がボディーブローに 

FACTAが、『朝日新聞が遂に500万部割れ 実売は「350万部以下」か』と題する記事を掲載している。新聞の衰退が加速していることが改めてクローズアップされた。

朝日新聞のABC部数が、500万部を割った。かつて新聞の発行部数の序列といえば、「読売1000万部」、「朝日800万部」と言われていた。しかし、8月のABC部数で朝日新聞は、「400万部」の時代に入った。今後も、右肩下がりの傾向が続く可能背が極めて高い。

数カ月前から朝日の500万部割れは秒読み段階に入っており、9月にそれが現実となった。最新のABC部数表は、近々に入手して、メディア黒書で公開する。

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ただ、500万部割れの決定的な原因は、読者数の減少というよりも、むしろ朝日新聞社が残紙を減らした結果である可能性が高い。日本の新聞社の伝統的なビジネスモデルは、「押し紙」によって生じる販売店の損害を折込広告の水増しで相殺するものだ。しかし、肝心の折込広告が激減しているので、「押し紙」で発生する販売店の損害が相殺できなくなっているのだ。

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『新聞情報』(8月15日付け)は、日本新聞販売協会(日販協)が全国の新聞販売店に対して実施した経営状態に関するアンケート調査の結果を紹介している。

それによると3月から5月にかけての折込広告の売り上げは、5割以上減少したと答えた販売店が全体の半数を占めた。しかし、この割合について、日販協の理事のひとりは、「東京区部、多摩地区では、7割から8割減っていた」とコメントしたという。

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このような状況の下では、残紙を減らさない限り販売店の経営は成り立たない。販売店が倒産するということは、新聞社の屋台骨である新聞販売網の弱体化を招くことを意味する。今後、折込広告の需要が回復しない限り新聞産業は衰退の一途をたどる。

巨大部数を構成している読者を電子新聞に再登録することも不可能に違い。というのも、「紙」の新聞を購読している読者層が高齢者中心になっているからだ。

延々と続いてきた新聞のビジネスモデルが、危篤状態に入ったのである。

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ちなみに2008年から1年ほどの間に、雑誌が繰り返し「新聞没落」の特集を組んだことがある。しかし、新聞社は没落しなかった。なぜか? 答えは簡単で、実配部数の右肩下がりの傾向が顕著になったとはいえ、折込広告の需要に関しては、ある程度まで維持していたからだ。その結果、従来のビジネスモデルが一気に崩壊することはなかった。

が、今は折込広告そのものが激減している。販売店の経営悪化に歯止めはかからない。

「新聞崩壊」は時間の問題となった。販売店は、泣き寝入りしない方がいい。