1. なぜか判決の日程が決まらない産経新聞「押し紙」裁判、「報告事件に指定されたのでは?」、販売店サイドからは懸念の声も

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2020年07月10日 (金曜日)

なぜか判決の日程が決まらない産経新聞「押し紙」裁判、「報告事件に指定されたのでは?」、販売店サイドからは懸念の声も

千葉県の販売店主が産経新聞社に対して起こした「押し紙」裁判の日程が決まらない。3月10日に4人の関係者の尋問が行われて裁判は結審した。その後、裁判所が和解を勧告したが、産経新聞がこれを拒否した。

裁判所が和解を勧告したということは、産経新聞社に損害賠償を命じることが前提になっている。原告を敗訴させるのであれば、和解勧告はしない。当然、原告が勝訴する可能性が高い。少なくとも裁判官は、原告を勝訴させる方向性である。

しかし、不思議なことに肝心の判決の日程が決まらない。原告を取材したところ裁判所からは何の連絡もないらしい。確かにコロナウィルスの感染拡大で、東京地裁が全法廷を休みにしたこともあるが、緊急事態宣言が解除された後も、判決日について何の連絡もない。「報告事件」に指定された可能性も皆無ではないだろう。

「報告事件」とは、最高裁事務総局の政治的判断で、判決が決まるペテン裁判である。

産経新聞が敗訴した場合、一気に「押し紙」問題にメスが入る可能性があるので、新聞関係者が焦っているという話はあちこちから伝わってくる。裁判所がそれに配慮して、判決内容を決めかねているのかも知れない。

◆◆
「押し紙」問題の裁判は、これまでたびたび起こされてきたが、最近は和解で解決する傾向が現れている。和解であるから、新聞社が損害賠償金を支払うのだ。判決により判例ができると、新聞業界全体へ及ぼす影響が大きいことも、その要因である。

和解で解決した例で、もっとも和解金額が高額だったのは、千葉県の店主に対して毎日新聞が支払った約3500万円である。ただ、この金額は、あくまでわたしの推定である。

この販売店には、大量の「押し紙」があった。新聞折り込みで配布されていた市の広報紙も大量に廃棄されていた。販売店を開業した時点から、「押し紙」があり、不信感をいだいた店主が、取り引きの詳細を記録していたことが、和解勝訴した原因にほかならない。

◆◆◆
産経新聞の「押し紙」裁判でどのような判決が下されるのかは不明だが、結果がどうであれ、新聞業界はすでに「危篤」の状態になっている。折込チラシが激減して、「押し紙」による損害を、折込手数料で相殺できなくなっているのだ。その結果、「押し紙」の整理が行われ、ABC部数が恐ろしい勢いで減っている。

販売店にとっては、「押し紙」裁判を起こす時期である。損害を取り返す時である。販売店が集団で裁判を起こすことが大事だ。裁判所が新聞社に配慮した判決を下す傾向があるとはいえ、集団訴訟になれば、圧倒的に販売店が有利になる。北國新聞、琉球新報、南日本新聞など、販売店が結束したケースでは、すべて和解解決している。