1. 東京・豊島区の広報紙3万部の水増し問題、朝日オリコミの折込定数でも「詐欺」の裏付けが成立

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東京・豊島区の広報紙3万部の水増し問題、朝日オリコミの折込定数でも「詐欺」の裏付けが成立

4月22日付けのメディア黒書で、「新聞人が東京・豊島区の広報紙を大量廃棄、水増し率が43%、折込定数がABC部数を大幅に超過」と題する記事を掲載した。

これはタイトルのとおり、東京都豊島区が発行する『広報としま』の水増し問題を取り上げたものである。『広報としま』は、新聞折り込み(朝日、読売、毎日、産経、日経、東京)のかたちで配布されている。 ところがこれら6紙のABC部数の総合計が43,722部しかないのに、76、500部の『広報としま』を販売店へ卸していることが判明したのである。水増し率:43%である。

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水増しと断定できる根拠になっているのは、新聞の発行部数を示すABC部数と『広報としま』の卸部数の間に大きな乖離があるからだ。

わたしは、裏付けを強化するために複数の広告代理店が公表している折込定数(適正な折込部数を示す数値)を調べてみた。

たとえば広告代理店・朝日オリコミである。朝日オリコミが提示している豊島区の折込定数は45,800部である。前出のABC部数の集計時期とは1年のタイムラグがあるが、やはり『広報としま』の卸部数76,500との差異が、30,000部を超えている。

大幅に水増しされていることが裏付けられる。次に示すのが裏付け資料である。

■朝日オリコミ

物流交流センター(株)が定めた折込定数でも、豊島区は45,250部である。やはり30,000部以上の乖離がある。

■物流交流センター(株)の折込定数

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新聞販売店の経営が悪化して、より多くの折込媒体を受注したい心情は分かるが、このような手口が明るみになると、広告主が折込媒体をPR戦略に組み込むことを控えるようになるのではないか。破滅を招く。

新聞販売店が折込媒体の水増し行為に走らざるを得ない背景に、新聞社の「押し紙」を前提としたビジネスモデルがあることは明白だが、区の広報紙を廃棄して手数料を徴収している事実は重い。