1. 新聞発行本社がABC部数を操作、4月と10月に限って高い数字を設定、折込詐欺に関与している決定的証拠

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2019年12月11日 (水曜日)

新聞発行本社がABC部数を操作、4月と10月に限って高い数字を設定、折込詐欺に関与している決定的証拠

新聞のABC部数が、4月と10月に限って水増しされる傾向があることが分かった。調査対象は2004年から2008年。なぜこのような現象が起こるのかと言えば、4月部数と10月部数が販売店へ搬入する折込広告の定数を決めるための基礎資料として使われるからだ。

この現象は、新聞業界では「4・10」増減と呼ばれ、以前から問題になってきた。そこで筆者は、日経を除く中央紙4紙を対象に過去のABC部数の月別変化を調査した。その結果、4月と10月に増える傾向があることが裏付けられた。ただし、読売については、この傾向は見られない。増え続ける傾向がある。

数字は、たとえば次のように変化する。2008年度の産経の例だ。

3月:2,158,855
4月:2,192,227
5月:2,169,730

上の例では4月に増えて5月になると再び下がる。

9月:2,123,614
10月:2,138,540
11月:2,061,694

上の例では10月に増えて11月になると再び下がる。

◆新聞発行本社が部数を操作

4月と10月のABC部数が、折込定数の基礎資料になるわけだから、年間を通じて折込広告が水増し状態になっている可能性が高い。

従来、折込広告の水増し行為は新聞販売店の責任とされてきたが、ABC部数をABC協会へ報告しているのは新聞発行本社であるから、新聞発行本社も水増し詐欺に荷担しているといえよう。「4・10増減」の確信犯は新聞発行本社にほかならない。

◆対策はスポンサーの公開 

広報紙の折込詐欺の舞台となっている東京都内の販売店を定期的に観察しているAさんが言う。

「黒薮さんが店主に詐欺を指摘した後も、相変わらず折込詐欺が続いています。今もトラック(押し紙と折込広告の回収車)が定期的に来ています」

詐欺を指摘しても水増し行為をやめない理由は、詐欺を中止すれば、販売店の経営が破綻するからである可能性が高い。対策としては、折込広告のスポンサーのリストを作成して、メディアで公開することだ。特に役所は、厳密にABC部数に準じて、広報紙の卸部数を決めているので、実態を公開する必要がある。

果たして、新聞は消費税の軽減税率適用対象に値するのだろうか?

 

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