1. 佐賀新聞の原正則販売局員がABC公査の対策を店主らに講義、「押し紙」隠しが目的か、裏付け資料の存在も判明

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2019年11月14日 (木曜日)

佐賀新聞の原正則販売局員がABC公査の対策を店主らに講義、「押し紙」隠しが目的か、裏付け資料の存在も判明

佐賀新聞社の原正則販売局員(当時)が、2015年2月、新聞販売店主の集まりで、「ABC公査対策」について講義していたことが分かった。

ABC公査というのは、新聞の発行部数を調査している日本ABC協会が、新聞販売店に対して抜き打ち的に行う部数調査のことである。新聞発行本社は、定期的に日本ABC協会へ新聞の発行部数を申告するのだが、その申告部数と販売店に実際に搬入している部数に乖離がないか、あるいは申告部数と販売店が実際に配達している部数(実配部数)に乖離がないかを調査するのが目的だ。

ABC公査が正しく行われていれば、新聞販売店の「押し紙」の実態が明らかになる。ところが多くの新聞社が、「押し紙」を隠すために、「ABC公査対策」を取ってきた。佐賀新聞社もその例外ではないことが、今回、判明したのである。

原販売局員は、講義の際に「ABCの公査にあたり」と題する文書を店主らに配布していた。

◆架空の読者をPC上に設定

資料「ABCの公査にあたり」 によると、「押し紙」を隠す方法として、次の段取りが教示されている。

【1】客観的に残紙(広義の「押し紙」)の実態を把握する。この作業は、原則として新聞の搬入部数から実配部数を差し引けば、導きだすことができる。ただし、 資料「ABCの公査にあたり」では、「押し紙」という言葉の代わりに「予備紙」という言葉を使っている。佐賀新聞社が、残紙はすべて予備紙という「詭弁」で理論武装しているからにほかならない。

【2】予備紙が多ければ、それを実配部数に偽る対策が必要悪として浮上する。これについて、資料は次のように述べている。

 予備紙率が高ければ実配部数に調整が必要かと思われます。調整の理由としては、ABC部数は透明性の高さが問われ、佐賀新聞部数の信頼度に繋がるからです。

予備紙(押し紙)が多ければ、佐賀新聞の信頼度が落ちるので、「押し紙」を隠すことで、信頼度を高める必要があると言っているのだ。

【3】「押し紙」隠しの具体的な方法は、まず最初に、実際に使っている帳簿類をコピーすることである。

なお、念のための注釈しておくが、ここで説明している一連の作業は、販売店の帳簿を管理しているコンピューター上の作業を意味している可能性が極めて高い。佐賀新聞の店主がそれを証言しているうえに、新聞業界はコンピュータによる管理の時代に入っているからだ。

従って、帳簿類のコピーとは、コンピュータ上のデータのバックアップという意味である。

なぜ、バックアップを取る作業が不可欠なのだろうか。答えは簡単で、ABC協会に提示する改ざんした帳簿類が完成した後、帳簿を通常の状態へ戻す必要があるからだ。実際、これについて資料は次のように述べている。

 (略)帳票をコピーすることが大切です。コピーした帳票が、自店の通常使用している帳票にします。(ママ)

 通常使用している帳票に、(黒薮注:架空の読者の意味)調整部数(読者)を挿入し、(略)実際の部数(動き)の増減(読者)を記入することで、設定した自然な予備紙率の帳票になります。

架空の読者を帳簿に挿入するように指示しているのである。架空の読者とは、たとえば過去の読者である。あるいは全く架空の人物である。「安倍栄作」とか、「星野哲治」とか、「冬柴大作」とか・・・。昔は、ABC公査を受ける販売店が判明すると、総出でこうした改ざん作業をやっていたのである。

◆デュプロ(株)と同じ手口

「ABC公査対策」対策は昔からあった。最近、毎日新聞の元店主が、同店のコンピューターの管理をしていたデュプロ(株)の社員から、その手口の詳細を聞き出し、それを録音することに成功している。次の記事を参考にしてほしい。佐賀新聞の「ABC公査対策」とほぼ同じ手口であることが判明する。

【参考記事】新聞「ABC部数」はこうして改ざんされる――実行者が手口を証言、本社販売局の指示でcが偽の領収書を発行、入金一覧表なども偽造し数字を整合させる

◆「チラシの水増し詐欺」

周知のようにABC部数は、紙面広告の価格を決めたり、折込広告の発注枚数を決める際の参考資料になる。特に公共機関が発行する広報紙を新聞折込のかたちで配布する場合、ABC部数に準じて発注枚数が決定される。

その結果、ABC部数に「押し紙」が混じっていると、広報紙が水増しの状態になる。従って「チラシの水増し詐欺」になる。

「チラシの水増し詐欺」がなくなって最も困るのは、新聞発行本社である。販売店から受け取る詐欺の「上納金」(形式上は、新聞の卸代金)が受け取れなくなるからだ。

◆「何も答えません」

念のために佐賀新聞の販売局に繰り返し取材を申し入れたが、「係争中に付き、何も答えません」とのことだった。