1. 新聞社が直営する販売店に「押し紙」が集中する理由

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2018年10月03日 (水曜日)

新聞社が直営する販売店に「押し紙」が集中する理由

新聞販売店の経営悪化に伴い、新聞社は各販売店に割り当てる「押し紙」を減らさざるを得ない状況に追い込まれているが、例外的に「押し紙」が増えている販売店もあるようだ。それは新聞社が直営している販売店である。地方紙の店主さんらと懇談して、そんな証言があった。

新聞販売店は大別して2種類ある。個人か経営する販売店と新聞社が直営する販売店である。個人経営の販売店が廃業して、後継者がいないと新聞社の直営になる。また、政策として、販売店を新聞社の直営(販売会社化)に再編する流れもある。

なぜ、新聞社の直営店に「押し紙」が増えるのだろうか。答えは簡単で、新聞社と販売店が実質的には同じだから、「押し紙」代金を直営店から販売会社へ移動させるだけで、痛くもかゆくもないからだ。「押し紙」は負担にならない。

何のメリットもないようにも思えるが、「押し紙」によりABC部数を増や(あるいは維持し)すことで、それに準じた折込広告も水増しすることができる。また、紙面広告の媒体価値を高めることができる。

しかも、新聞社と販売店が一体なので、こうした犯罪めいた連携プレーを内部告発されるリスクもない。

 同じ手口を10年ほど前に山陽新聞の店主さんも言っていた。

販売店の販売会社化は、全国規模でますます進んでいる。従って、現在は新聞社の販売会社の店舗に、大量の「押し紙」と水増しされた折込広告がある可能性が極めて高い。

「押し紙」には、次にあげる諸問題がある。

①新聞の商取引が「押し売り」になっていること。

②「押し紙」にも折込広告がセットになっているケースがあること。その結果、新聞折り込みの形で配布される地方自治体の広報紙も廃棄されていること。

③「押し紙」が20%を超えると第三種郵便の認可基準を満たさないこと。従って、毎日新聞を筆頭に多くの新聞社がこれに該当する。

④環境破壊(資源の無駄づかい)の大きな要因になっていること。

メディア業界の水面下は真っ黒である。