1. 2018年2月度の新聞のABC部数、朝日は年間で31万部減、読売は29万部減、朝日が高いジャーナリズム性を発揮できる背景に「押し紙」政策の廃止

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2018年04月11日 (水曜日)

2018年2月度の新聞のABC部数、朝日は年間で31万部減、読売は29万部減、朝日が高いジャーナリズム性を発揮できる背景に「押し紙」政策の廃止

2018年2月度の新聞のABC部数が明らかになった。ABC部数の低落傾向にはまったく歯止めがかかっていない。この1年間で、朝日新聞は約31万部減、毎日新聞は約17万部減、読売新聞は約29万部減である。さらに日経も、約28万部を減らしている。

詳細は次の通りである。()内は、前年同月比である。

朝日:5,989,345(-308,108)
毎日:2,840,338(-173,444)
読売:8,560,861(-285,287)
日経:2,445,373(-275,347)
産経:1,516,574(-46,299)

2018年2月度の新聞のABC部数(全紙)

◇読者の減というよりも、「押し紙」の減

メディア黒書で新聞のABC部数を紹介するたびに、繰り返し説明していることであるが、ABC部数の減少が必ずしも読者数の減少を意味するものではない。と、いうのもABC部数には、大量の「押し紙」が含まれており、新聞社が自主的に「押し紙」を減らした結果、ABC部数が減少した可能性もあるからだ。

むしろABC部数の減部数は、「押し紙」を減らした結果であると解釈するほうが正しい。新聞社が「押し紙」を減らす理由は、販売店の経営が悪化して、「押し紙」の負担に耐えきれなくなっているからだ。販売網が崩壊すれば、肝心の新聞を宅配できなくなるからだ。

筆者が販売店を取材した限りでは、朝日新聞の販売店では、大幅に「押し紙」が減っている。全店を調査したわけではないが、筆者と接触を持っている店は、全店で「押し紙」がゼロになった。それがABC部数の激減を招いているのだ。

◇朝日が高いジャーナリズム性を発揮している理由

このところ朝日新聞は安倍内閣批判で高いジャーナリズム性を発揮している。その背景には、「押し紙」の排除があると筆者は考えている。「押し紙」は独禁法違反であるから、「押し紙」があれば、公権力はそれを口実に報道内容に暗黙の圧力をかけてくる。それゆえに「押し紙」を排除すれば、ほぼ経営上の大きな汚点はなくなり、正面から政府に対峙する条件が生まれるのだ

逆説的に言えば、政府は「押し紙」を放置することで、メディアコントロールを続けてきたといえる。朝日は、「押し紙」を廃止したことで、ジャーナリズム企業としての条件を整えたのである。