1. ITコンサル で著述家の谷本真由美氏がXに投稿した中国人による犬殺しの動画について

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2025年05月11日 (日曜日)

ITコンサル で著述家の谷本真由美氏がXに投稿した中国人による犬殺しの動画について

SNSを含む広義のジャーナリズムで使われる動画や写真にAIによる加工がほどこされているケースが後を絶たない。どの画像がそれに該当するかを見分けるのは容易ではないが、時々、あきらかに不自然な画像に遭遇することがある。

ITコンサル で著述家の谷本真由美氏がXに、「チャイナ怖すぎる」という言葉と共に投稿した動画も不自然さを免れない。動画の
URLは、「https://x.com/xinwendiaocha/status/1921008967091655073」となっているが、現在、わたしのPCではアクセスできなくなっている。

わたしが疑問視した動画は、中国人のイメージダウンを意図して作成されたと思われる。中国人の男性が、路上で犬を捕まえ、ブロックを上段から斧のように振り下ろして、犬の頭を打ち砕く。ぐったりとした犬を掴んで、すぐわきにある熱湯の鍋に犬を放り込む。熱に反応した犬が鍋から飛び出そうとするが、男性が無理やりに蓋をかぶせて、犬を調理するという構成だ。

何が不自然かといえば、まず頭を砕かれたはずの犬から出血していないことである。しかも、意識があるらしく鍋から逃げようとする。さらに路上に、沸騰している鍋があることだ。

 谷本氏は、シリーズで出版されている『世界のニュースを日本人は何も知らない』(ワニブックスPLUS新書)の著書なので、わたしなどが知りえない中国の事情を細かに取材したうえで、情報を発信されていると思っていたので、Xのダイレクトメールで本人に撮影場所を問い合わせてみた。しかし、回答はなかった。

これらの経緯を検討すると、谷本氏が投稿した動画は、嘘(フェイクニュース)の可能性が高い。

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俗にいうネットウヨ(ネットを舞台とした極右)の投稿には、中国と韓国・朝鮮を誹謗中傷したものが目に付く。投稿者は、なぜか中国と韓国・朝鮮に尋常ではないライバル意識(裏返すと劣等感)を持ち、彼らの言動の枝葉末節を捉えては、罵倒を繰り返す。このような事情について、出版業界に詳しい知り合いのジャーナリストが次のように言う。

「中国や韓国・朝鮮をこきおろす本は、売れ行きが良好という事情があります。つまりお金になります。その結果、フリーランスとして独立したジャーナリストが、反中国・反朝鮮の路線へ走る傾向があるようです。左翼くずれが、極右に鞍替えするのがその典型です」

AIによる人工画像は、フェイクニュースを制作するための道具となってしまった。その結果、今やネット上の画像は、事実の裏付けとはいえなくなってしまった。ジャーナリズムの破壊はこうして進んでいる。

が、幸いにして、日本語で情報を発信しても、日本を離れるとほとんど誰も読んでいない。「回覧板」と同じ。谷本氏も、批判の対象者にメッセージを送るためにも、英語か中国語で「世界のニュース」を発信すべきだろう。