元博報堂・作家の本間龍氏がアスカの「15億円訴訟」を分析する、得意先の企業を欺く愚行の連続②
元博報堂の社員で作家の本間龍氏に、2016年5月にアスカコーポレーションが博報堂に対して起こした「15億円訴訟」の訴状を分析・評論してもらった。広告の専門家による連載の2回目である。1回については、12月5日付けの記事。
執筆者:本間龍(作家)
引き続き、アスカの博報堂に対する15億円訴訟の項目を検証してみよう。再掲するが、アスカが博報堂に起こした訴状の詳細は以下の通り。
1 情報誌制作費 7億7900万の過剰請求
2 撮影費 2億6400万 〃
3 タレント出演料 1億6600万 〃
4 アフィリエイト 1億8700万 〃
5 通販番組制作費・編集費 1億4700万 〃
6 PR活動費 895万 〃
7 企画・メディアプランニング費 3000万 〃
8 TVCM費 5300万 〃
9 新聞広告費 1100万円 〃
10 雑誌広告費 1700万 〃
11 ラジオ広告制作費 60万 〃
12 イベント費 2400万 〃
13 テレビ放映休止後の放映料 9700万 〃
14 ホームページ制作費 1300万 〃
15 通販番組受付業務費 4200万 〃
前回は8のTVCM費までを解説したが、その他で非常にいい加減さが目立つのが、12の「イベント費」だ。アスカは08年から12年まで年一回、メディア関係取引先を招いて「互礼会」というイベントを開催していて、その実施を博報堂に任せていた。
博報堂は、その請求金額総計に対し「博報堂営業管理費」10%を請求していたにも関わらず、アスカ側の了解のないまま「企画制作進行費」なる別項目を立てて二重請求がなされていた、とアスカ側に指摘されている。
「黒薮哲哉」名義で多量のなりすましメール、武富士による盗聴レベルの犯罪、宛先は九州の弁護士ら
メディア黒書に対する攻撃なのか、このところ「黒薮哲哉」を名乗った「なりすまし」メールが、おもに出版関係者に送られている。また、わたしが住んでいるマンションの管理会社の管理人のメールにも送られた。
管理人のPCメールアドレスなど、わたしが知るよしもなく、わたしに関する情報を収集していることを誇示するのが目的ではないかと思う。
メディア黒書は、さまざまな事件を扱うので、どの事件の関係者が「なりすまし」メールを発信しているのかは不明だが、PCに侵入して他人のメールアドレスを盗み出すか、あらかじめスパイが集めたメールアドレスを共有しなければ、このような「ネット犯罪」はできない。
かつて武富士がやった盗聴と同じレベルの悪質さだ。
東京中野区のKDDI基地局問題、人体影響の評価は動物実験よりも疫学調査の優先を
東京中野区2丁目にあるマンション、「ライオンズシティ中野ファースト」にKDDIが携帯電話の基地局を設置する計画をめぐり、近隣の住民から反対の声があがっている。
6日はKDDIが住民を対象にした説明会を行う予定だという。これに対して住民側も区議に支援を求めるなど、反対運動を展開している。
マンションの屋上に基地局を設置した場合、電波の発信源となるマンションに住む住民だけではなく、電波が網羅する範囲に住む住民も電磁波の人体影響を受ける。それゆえに基地局問題は、地域社会全体の問題なのである。
最近の基地局問題の傾向として、電話会社が以前ほど強硬な姿勢を取らなくなっていることである。基地局の設置計画が中止になったり、すでに設置された場合であれば、撤去に応じるケースも増えている。
その背景には、電磁波による人体影響が否定できなくなって来た事情がある。
取材を要する奇妙な博報堂の見積書と、CMコードの非表示・代筆放送確認書の関係
博報堂とアスカコーポレーションの裁判の中で、次々と疑惑が浮上している。その中でもとりわけ放送倫理の観点から問われているのは、視聴率の偽装とCMコードが無表示になった放送確認書、それに通販番組の「休止→料金の請求→番組枠の転売」である。
放送に関係したこれら一連の問題をアスカが本格的に調査するようになった引き金は、わたしが取材したところ、博報堂の遠藤常二郎弁護士らが執筆した原告準備書面(2)だった。
湯河原の老女殺人事件、元新聞拡張団の男に容疑か?
神奈川県湯河原町に住む老婦人が殺害され、自宅が放火された事件から1年が過ぎた。この湯河原事件は、2015年4月21日の早朝に発生した。
新聞販売店から得た情報によると、この事件の容疑者に元新聞拡張団の男が浮上しているらしい。販売店の店主が次のように話す。
「警察が公開捜査に踏み切ったところ、新聞セールス団の団員のひとりが警察に通報したという話です。セールス団の飲み会があり、容疑者の男が事件のことをもらし、それを聞いていた他の団員が警察に通報したようです。わたしの店にも警察が来ました」
老婦人は額に包丁が刺さった状態で発見された。66歳だった。
8年前の記事の削除を求めて毎日育英会・寺島哲弁護士から通告書、毎日が経営する企業とは?
8年前にウェブサイト「MyNewsJapan」に筆者(黒薮)が書いた記事に対し、毎日育英会(新聞奨学生制度を運営)の寺島哲弁護士から、記事の削除を求める通告書が届いたことを読者はご存じだろうか。
寺島哲弁護士が削除を要求している記事は、毎日新聞販売店(東京板橋区)で働いていた新聞奨学生が、ほとんど無報酬で集金業務に従事している実態、弁当代のピンハネ、それに重労働などを内部告発した次の記事である。
言論の抑圧行為に対して筆者は、徹底して反撃するのが方針なので、その第1段として、まず寺島弁護士の通告書を公開しておこう。MyNewsJapanでもすでに公開されているが、繰り返し報じるのがメディア黒書の方針なので、再度、掲載しておこう。
経営陣は権力監視の緊張感を保て、部数大幅減での朝日株主総会
◆吉竹幸則(フリージャーナリスト・元朝日新聞記者、秘密保護法違憲訴訟原告)
部数減に歯止めがかからないまま6月24日、大阪・中之島のホテルで朝日新聞社の株主総会が開かれた。朝日批判の急先鋒である「週刊文春」のスクープばかりが目立つなか、「ジャーナリズムの使命は権力監視」を標榜する朝日に意地はないのか。
だが、総会に出席してみて、経営陣の危機感の乏しさ、とりわけ「対権力」への緊張感の欠如に失望するしかなかったのだ。
朝日は2014年8月の従軍慰安婦報道の検証記事以降、部数を大幅に減らしている。日本ABC協会調査では同年6月に740万部があったのが、社長謝罪会見後の10月に700万部と40万部急減。今年4月には660万部となっている。
「1000万部」の発行部数を誇って来たライバルの読売も、4月部数は900万部を僅かに切るまでに減っている。しかし、やはり朝日の部数減が目立っている。
その影響は広告費にも及んで、今期の朝日決算は総営業収入の2748億円で、前期比138億円減。しかし、社員の給与改革などの経費削減で営業利益は78億円、前期比40億円増を確保した。「減収」ながら「増益」決算を渡辺雅隆社長は誇らしげに報告した。
メディア界の2大病魔、新聞の偽装部数からテレビの視聴率偽装へ
新聞・テレビの没落に歯止めがかからない。
NHKが2015年7月に実施した世論調査の結果が、それを物語っている。
ふだんの日にテレビを見る時間*(ビデオやDVDの再生は除く)は、1985年から2010年までは“長時間化”の傾向が続いていたが、この5年で「ほとんど、まったく見ない」人と「短時間」(30分~2時間)視聴の人が増加、「長時間」(4時間以上)視聴の人が減少し、全体の視聴時間は初めて“短時間化”する傾向に転じた。
テレビ離れの背景に、インターネットの台頭があることは論を待たない。たとえテレビの愛好者であっても、番組を録画して、自分が見たいときにそれを視聴する行動パターンが定着してきた。このような視聴者は、CMは、「早送り」でスキップしてしまうことが多い。
こうした状況の下で大きな影響を受けていると推測されるのがテレビ局と大手広告代理店である。クライアントのPR戦略がテレビから、他媒体、たとえばインターネットやイベントに移行する傾向が顕著になっているなか、広告代理店も同じ方向へ連動し始めているが、新分野でも問題を起こしているようだ。これについては、後述する機会があるかも知れない。
最近、メディア黒書に視聴率の「偽装」に関する情報が寄せられている。「視聴率」を偽装してCM営業を展開するケースが増えているというのだ。筆者は、長いあいだ新聞部数の偽装を問題視して取材にしてきたが、テレビ業界でも「偽装」が起こっているようだ。
「慰安婦」問題に関する日韓外相会談に対して弁護士有志が批判の声明
旧日本軍が朝鮮半島で引き起こした戦争犯罪-「慰安婦」問題の解決を求める弁護士の有志36名が、昨年の12月30日に声明を発表した。これは慰安婦問題の日韓合意を受けて開かれた両国の外相による共同記者会見に反応したもので、合意内容を厳しく批判する内容になっている。
ABC部数の実態とは何か、黒書への情報提供、「新聞社の販売予算で自由に操作できる『あくまで予算部数』」
ABC部数の実態とは何かを指摘する新聞販売現場からの声が「黒書」に寄せられた。「黒書」は、定期的に新聞のABC部数の変化を紹介しているが、これらのデータは欺瞞(ぎまん)だという指摘である。
声を寄せたのは、新聞販売店の元店主と思われる人である。次のような指摘だ。(ただし、赤字は黒薮が印した。)
「新党憲法9条」、評論家の天木直人氏がインターネット上の政党をスタート
元レバノン日本国特命全権大使で評論家の天木直人氏が、インターネット上の新しい政党「新党憲法9条」を立ち上げた。活動の舞台になるウエブサイトは29日に公開された。
これはイデオロギーを離れて憲法9条の尊重を前提に、インターネットを通じて政治のあり方を考える構想に基づいたものである。既存政党のように、選挙の時だけ自分の主張を展開するのではなく、インターネットを通じて双方向で日常的に議論を深めながら、最終的に議員を国会へ送り込むことを目指す。
現在の政党助成金や政務調査費などは、廃止を求める方針。既存の政党の反対でそれが実現しない場合は、党の活動基金という形で「ファンド」にして、納税者である国民に還元するとしている。
また、メディアのあり方については、真実を伝える努力をするメディアやジャーナリストを支援するとしている。
「新党憲法9条」の公式ウエブサイトは次の通りである。
遺伝子毒性が指摘されている携帯電話の電磁波(2)、基地局周辺の住民を「モルモット」にしていいのか?
電磁波について語ると、白装束集団を連想する人々が少なくないが、これはマスコミによって仕掛けられた世論誘導の影響である。電磁波の危険性を指摘する人々と白装束集団を混同させることで、電磁波をめぐる科学にダメージを与えることを意図したものである。
「その言葉、単価でXX万円」、名誉毀損裁判と言論・人権を考える(1)武富士裁判から13年
裁判を提起することによって言論や行動を抑圧する「戦術」が、いつの時代から始まったのかを正確に線引きすることはできない。
たとえば1990年代に、携帯電話の基地局設置を阻止するために座り込みを行った住民に対して、電話会社が工事妨害で裁判所に仮処分を申し立てる事件が起きた。が、これが裁判の悪用に該当するかどうかは厳密には分からない。
言論抑圧という観点から裁判の在り方が本格的に検証させるようになったのは、今世紀に入ってからである。司法制度改革による賠償金の高額化の流れの中で、負の側面として、「戦術」としての裁判が浮上してきたのである。
◇武富士裁判
有名な例としては、サラ金の武富士がフリージャーナリストらに対して起こした武富士裁判がある。この裁判では、ロス疑惑事件の三浦和義被告や薬害エイズ裁判の安部英被告を無罪にした弘中惇一郎弁護士が、武富士の代理人を務めたことも話題になった。
その後、ジャーナリストの西岡研介氏が著した『マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)に対して、JR総連とJR東日本労組が、総計50件の裁判を起こす事件が発生する。
私自身も読売新聞社から、わずか1年半の間に3件(請求額は約8000万円)の裁判を起こされたことがある。この裁判では、言論の自由を守るという観点から、多く出版関係者や弁護士の支援を得た。
さらに直近では、作曲家の穂口雄右氏がレコード会社31社から、2億3000万円の損害賠償を求められる裁判を提起された。
もちろんこれら一連の裁判の原告は、裁判提起の目的が言論抑圧にあるとは言っていないが、結果として、裁判によって被告側の言論や行動が萎縮させられたことは否定できない。
最近になって言論抑圧につながる裁判に新しい傾向が現れてきた。それは裁判を起こす相手が報道関係者や有名人ではなく、一般市民にまで広がってきたことである。名誉毀損裁判は、裁判を提起した側が、圧倒的に有利な法理になっているので、弁護士にとっても収入源になりやすい事情がある。客観的にみると、それが名誉毀損裁判が多発する要因とも考え得る。
◇金銭請求方法に疑問
2013年4月5日、ある一通の訴状が東京地裁に提出された。原告は、山崎貴子さん(仮名)という著書もあり、雑誌にも写真入りで登場するなど比較的著名な女性である。訴えられたのは、小川紅子(仮名)さん、小川五郎(仮名)さんという夫婦である。請求額は、約3200万円。
わたしが最初この裁判に注目したのは、山崎貴子さんの代理人が弘中淳一郎弁護士らになっていたからである。実際にこの裁判を担当しているのは弘中絵里弁護士であるが、訴状に名を連ねている弘中淳一郎弁護士は、かつて武富士裁判で武富士の代理人を務めて、フリージャーナリストの間で批判の的になった。『無罪請負人』と題する本を出版するなど、「人権派」の弁護士としても知られている。
その弘中弁護士の事務所が、武富士裁判から10年が過ぎて、名誉毀損裁判の原告代理人としてどのような弁護活動をするのかを知りたいと思ったのである。
事件の概要は、血縁関係にはないが遠い親戚関係にあった山崎さんと小川紅子さんがウェブサイトでコメントやメールのやりとりをしているうちに、感情のもつれから、山崎さんが名誉毀損を理由に突然、小川さん夫婦を提訴したというものである。