検察審査会が「不起訴処分相当」の結論、作田学医師の法廷での発言をめぐる刑事告訴
横浜副流煙事件の法廷で作田学医師(冒頭写真、当時、日本禁煙学会理事長)が行った証言の内容をめぐり、刑事告訴にエスカレートした事件が、検察審査会の議決により、2月27日に終了していたことが分かった。この刑事告訴は既報してきたように、作田医師が横浜副流煙事件の法廷で、数年前に外来を受診した患者を指して、「会計にも行っていないと思います」などと事実無根の証言をしたのが引き金である。
作田医師が言及した患者は、傍聴席で作田医師の証言を聞いた。怒り心頭に達し、その後、作田氏に内容証明で真意を問い合わせた。しかし、回答がなかったので、神奈川県警青葉警察署に刑事告訴したのである。
青葉警察署は告訴を受理して捜査した後、横浜地検に作田医師を書類送検した。しかし、横浜地検は不起訴とした。これに対して男性は、検察審査会に審査を申し立てたが、2月27日付けで、「不起訴処分相当」の結論が下された。
事件の経緯については、次の記事に詳しい
統一教会の霊感商法による被害額は35年間で1237億円、「押し紙」による不正金額は3兆2620億円、公権力が新聞社を保護する理由
東京地裁は25日、統一教会に対して解散を命じた。このカルト集団が不正に集めた資金は、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、35年間で1237億円になる。しかし、それをもってして日本の司法制度が正常に機能しているとまでは言えない。と、いうのもおそらくは最高裁事務総局の指示で意図的に、介入を避けている事件が他にもあるからだ。
その代表格が「押し紙」問題である。霊感商法による1237億円に対して、「押し紙」が生む不正資金は、筆者の試算によると35年換算で3兆2620億円になる。「押し紙」商法は、その規模と悪質性では、統一教会のカルト商法と比較にならない。
32兆6200万円の裏付けについては、『新聞と公権力の暗部』(鹿砦社)に詳しいが、概要は次の通りである。2021年度の全国の朝刊発行部数は約2590万部だった。このうちの20%にあたる518万部が「押し紙」と仮定する。また、新聞1部の卸代金を月額1500円と仮定する。「押し紙」による販売収入は、次の計算式で導きだせる。
518万部×1500円×12カ月=年間932億円
霊感商法による35年間の被害額と比較するために、「押し紙」の不正金額・年間932億円を35倍すると、3.2兆6200万円になる。
ただし、「押し紙」20%の仮定は控え目に設定した数字である。最近の「押し紙」裁判では、多いケースになると40%から50%が「押し紙」になっている。また、新聞の卸価格1500円も過少に見積もっている。さらに「押し紙」によるABC部数のかさ上げにより、上昇する紙面広告の価格は考慮していない。
想像以上に高い日本語の壁、世界標準の公用語が不可欠な時代に
Chatgptに、どの国が日本語教育に力を入れているかを質問したところ、次のような回答があった。他の検索でも、ほぼ同じような結果が出たので、Chatgptの回答はおおむね現実を反映しているのではないか?
1. インドネシア
• アジアで日本語学習者数が最も多い国の一つ。
• 日系企業が多数進出しており、ビジネス上の需要が高い。
• 日本のアニメやJ-POPの人気も影響しています。
【書評】喜田村洋一の『報道しないメディア』、著者の思想の整合性に疑問
『報道しないメディア』(喜田村洋一著、岩波書店)は、英国BBCが点火したジャニー喜多川による性加害問題の背景を探った論考である。著者の喜田村氏は、弁護士で自由人権協会の代表理事の座にある。メディア問題への洞察が深く、出版関係者や大学の研究者からありがたがられる存在だ。
その喜田村弁護士が著した本書は、ジャニーズ問題がほとんど報じられなかった背景に、報道すれば返り血を浴びる構図があったと結論づけている。喜田村氏は、ジャニーズ問題を報じてきたマスコミが『週刊文春』と『週刊現代』の2媒体だけであった事実を指摘した上で、次のように述べている。
ジャニー喜多川氏の性加害だけでなく、マスメディアにジャニーズ事務所の気に入らない記事が掲載されたりすれば、ジャニーズ事務所は、当該メディアを出入り差し止めにしたり、そのメディアの発行会社の雑誌全部にジャニーズ事務所の所属タレントを出演させなかったり、さらにはそのメディアの上層部に直接不満を言いつけるということをやっていた。
報道に踏み切ることで、不利益を被る構図が存在したという説である。改めて言うまでもなく、そのような構図を構築したのは、報道対象であるジャニーズ事務所の側である。
中国レポート②:遼寧省広佑寺、宗教が禁止されているというのは事実か?
日本で定着している中国に関する情報には、誤ったものがかなり含まれている。たとえば宗教が禁止されているという情報である。社会主義の国では唯物論哲学が主流なので、その対極にある観念論哲学の典型である宗教が禁止されているという机上の論理が広がった結果ではないかと思うが、これは事実ではない。
昨年(2024年)の9月、筆者は中国遼寧省の広佑寺を訪れた。広佑寺は、漢代に建立された名刹(めいさつ)で、明の時代に仏教の聖地として繁栄した。
USAID傘下の全米民主主義基金(NED)が、3月5日、行政機関と政府高官を相手に提訴、「予算を違法に保留している」
USAIDとCIAの傘下にあるNED(全米民主主義基金)は、3月5日、米国議会が同基金に割り当てた予算が違法に保留されているとして、3月5日、行政機関と政府高官を相手に、米国連邦地方裁判所に裁判を提起した。ピーター・ロスカム会長によると、NEDの予算は、事前通告なしに凍結されたという。
ENDは、USAIDから資金提供を受け、CIAからは戦略上のノウハウを受けてきた。表向きは、他国の民主化を支援することを活動の柱としているが、実態としては、米国に敵対する国や地域の市民運動やメディアをてこ入れして、親米世論を拡散し、社会を混乱させたうえで、最後にクーデターなどの手段で「反米政権」の転覆をはかることをゴールとしている。
USAIDの活動分野は多岐にわたるが、世論誘導の役割を担っているのがNEDなのである。NEDの活動により混乱を招いた典型的な例としては、香港の「雨傘運動」がある。NEDから資金援助を受けてきたとされる日本の一部のマスコミも、周 庭 ( しゅう てい 、Agnes Chow Ting)を「民主主義の女神」として称え、NEDの方針に追随した。
ラテンアメリカの中でキューバ政府と最も親密な関係にあるニカラグアとベネズエラに対しても、NEDは侵入して、「民主化」の旗を掲げ、大混乱を引き起こした。しかし、ニカラグアでもベネズエラでも、クーデターは失敗した。
NEDの今後については、存続されるのではないかとする見方もある。筆者も存続の可能性が高いとみている。その意味でも、裁判の行方が注目される。
雑誌『創』の新聞社特集、「押し紙」問題の隠蔽と誌面の劣化
『創』の3月号(2025年)が「新聞社の徹底研究」と題する特集を組んでいる。これは、延々と続いてきた企画で定評もあるが、最近は内容の劣化が著しい。新聞社に配慮しているのか、「押し紙」問題へ言及を回避している。肝心の問題を隠蔽すると、誤った新聞業界のイメージが拡散する。世論の形成においては、むしろ有害な企画だ。
「押し紙」は、今や公然の事実になっているわけだから、メディア専門誌である『創』がその実態を把握していないはずがないが、「押し紙」は存在しないという偽りのリアリティーを前提に新聞を論じている。
以前は、消極的ながらも「押し紙」について言及することもあった。たとえば、2011年度の新聞特集(『創』4月号)は、鼎談の中で、共同通信編集主幹の原壽雄氏が「押し紙」に疑問を呈している。次の発言である。
部数の話が出るたびに思うのだけれど、元々、新聞協会が発表しているのは、本当の部数ではないわけですよね。いわゆる「押し紙」といって販売店に必要以上の部数が送られていた。それをなんとかしないといかんと思っている経営者は多いわけで、部数減のデータの中には、押し紙の調整も含まれているわけですね。
この鼎談の2年前、2009年には『創』の篠田博之編集長がわたしに「押し紙」問題についての記事の執筆を依頼してきたこともある。ただ、このときは、弁護士で自由人権協会・代表理事の喜田村洋一らが、読売新聞から委託を受けてメディア黒書に激しい裁判攻撃を加えていた時期で、しかも、3件目の裁判(約5500万円を請求)を起こされた直後だったこともあり、筆者の方から執筆の依頼を断った。
つまり『創』は、かつて「押し紙」問題を認識していたのである。
喫煙撲滅運動と専門医師の関係、客観的な事実が欠落した診断書、横浜副流煙裁判「反訴」
診断書がアクションを起こすための通行証になる現象は昔から続いてきた。たとえば大相撲の力士が本場所を休場するときには、診断書を提出する。労災認定の手続きにも診断書の提出が義務づけられている。医療裁判では、診断書の提出は義務ではないが、判決内容に決定的な影響をおよぼすことが多い。
こうした事情の下で、患者の希望に応じてこころよく診断書を交付してくれる医師は重宝がられている。当然、多くの人々が、診断書は、本当に患者の病状を客観的に検証した記録なのかという疑念を抱いている。不透明なものが付きまとっている。
現在、喫煙撲滅運動と診断書の連動が争点になっている裁判が横浜地裁で進行している。発端は、2017年の晩秋。ミュージシャンの藤井将登さんは、隣人の家族3人(A夫、A妻、A娘)から4518万円を請求する裁判を起こされた。将登さんが吸う煙草の副流煙が自宅に流入して、健康を害したというのが、3人の訴えだった。「受動喫煙症」による被害の救済を求める訴訟である。
この提訴の根拠になったのが、複数の医師が交付した診断書である。そこには、受動喫煙症や化学物質過敏症の病名が付されている。
とりわけ日本禁煙学会の理事長(当時)で禁煙学の権威である作田学博士が交付した診断書は、訴状と一緒に提出されており、3人の訴えを裏付ける有力な根拠となってきた。さらに作田医師は、原告家族のために5通もの意見書や報告書などを裁判所に提出している。
ところが審理が進むうちに、作田医師が作成した3通の診断書に後述する瑕疵(かし)があることが次々と判明したのである。
結論を先に言えば、横浜地裁は家族3人の訴えを棄却した。その後、東京高裁も原告の控訴を棄却し、藤井将登さんの勝訴が確定した。それを受けて、将登さんと妻の敦子さんは、根拠のない事実に基づいて高額訴訟を起こされたとして、逆に3人に対し約1000万円を請求する裁判を起こした。俗にいう反スラップ訴訟である。この裁判は現在は東京高裁で継続している。
中国レポート:好調な経済、破綻はあり得ない、現実の世界と西側メディアが描く空想の世界の乖離
階段を這うように登る4つ足のロボット。荒漠たる大地を矢のように進む時速450キロの新幹線。AI産業に彗星のように現れたDeepSeek-r1。宇宙ステーションから月面基地への構想。学術論文や特許の件数では、すでに米国を超えて世界の頂点に立った。中国の台頭は著しい。2024年度の貿易黒字は、9921億ドル(約155兆円)を記録した。貿易には相手国があるので、数字を偽装することはできない。
筆者は、2024年9月から、2025年1月までの5カ月のあいだ中国の遼寧省に滞在して、この国の日常を凝視した。
この町に住んで最初に筆者が感じたのは、豊饒な食である。日常の中で食生活にまつわる場面が展開している。団地のマンションは、ベランダを台所に割り当てたものが多く、冬には湯気で白く曇ったガラスの向うで動いている人々の姿が浮かび上がる。
市場では、大胆に食材が捌かれる。鮮魚売り場では、エプロンをした店員が、プラスチック製の塵取りで、エビや貝を掬い取って袋に詰める。日本のように少量のパック詰めにはしない。精肉店では店員がナタのような包丁を振り上げて、あばら骨が付いた豚肉を砕き、それをビニール袋に詰めて客に手渡す。大量に購入して、冷凍庫で保存したり、親戚に分けしたりする。少量では販売しない店もある。
果実店売場では、店員が手の平をがんじきのようにして、大きなビニール袋にミカンを掻き入れる。食品を販売するスケールが、日本に比べてはるかに大きい。
市場近辺の路地には、露天商らが店を設置している。屋台を構えた店だけではなく、歩道に段ボールや板を敷いて、その上に果実などを並べている所もある。街路樹と街路樹の間にロープを張って、そこに衣類をかけて露店販売をしている店もある。
露天商といえば日本では貧しいイメージがあるが、中国では一概にそうとも言えない。「農家ですから、われわれよりも金持ちですよ」と言う人もいる。露店で販売されている果実は、マーケットで販売されているものよりも品質が高い傾向がある。実際、味覚にほとんど外れがない。露店商が成り立つゆえんである。
インターネットを駆使した販売は露店でも定着している。電子マネーの決済はいうまでもなく、メールマガジンで客に、商品情報を送る店もある。外見は質素に見えても、路地裏にまで近代化の波が押し寄せている。もはやひと昔まえの中国ではない。
ちなみに現金も流通している。電磁マネーしか使えないという情報は正確ではない。
患者が退出して3分後に煙草臭、偽証の疑い、作田学医師の証言、横浜副流煙裁判「反訴」
喫煙者の呼気が孕んでいる煙草臭が持続する時間はどの程度なのか?東京地裁で、ある著名な医師が興味深い証言をした。患者が診察室を去ってから3分後に、突然、煙草の臭いが漂ってきたというのだ。とはいえ、患者が診察室で煙草を吸ったわけではない。診察に割いた約20分の間にも、この医師は匂いを感じなかった。患者が退室して3分後に初めて臭いを感じたのである。普通に考えると医師の発言は、偽証の疑いがある。
医師は患者のカルテに、「受動喫煙症」という病名を記したばかりだったが、煙草臭を知覚し、診断を誤ったと判断した。そこで事務職員の女性を呼び、念のために煙草臭の有無を問い、臭いの存在を確認してもらった上で、患者の後を追わせた。構内放送でこの患者に診察室へ戻るようにアナウンスしたという。
医師の尋問調書にも、このような筋書きで経緯が記録されており、後日、裁判所は判決文(後日、多発する裁判のうち2件目の裁判)の中で、これら一連の証言を事実として認定した。偽証とは判断しなかったのである。