今も生き続ける2人の死者-アジェンデとネルーダ、チリの軍事クーデターから41年
1973年9月11日、ひとりの大統領がファシストの銃弾に倒れた。
その時、彼は64歳、チリで最も情熱にあふれた青年だった。
「今も生き続ける2人の死者」とは、1982年のノーベル文学賞の受賞者で、『百年の孤独』(新潮社)などの作品で知られるガルシア=マルケスが『チリ潜入記』(邦訳・岩波新書)の中で、使った表現である。
1973年の9月11日から、41年の歳月が流れた。
今回紹介した動画『戒厳令下チリ潜入記』は、73年の軍事クーデターの後、国外へ亡命した映画監督、ミゲル・リィティンが、86年にチリに潜入してピノチエットによる軍事政権下の祖国を撮影したものである。日本語版は「上」「下」に分かれていて、よりインパクトが強い「下」をあえて冒頭で紹介した。
ちなみに潜入取材の方法は、CM撮影を口実にして、ヨーロッパの3つの撮影チームを合法的にチリに送り込む一方で、リィティン監督がパラグアイ籍のビジネスマンに変装し、偽のパスポートを使い、空港から堂々とチリに入国して、撮影を監督するという大胆なものだった。ジャーナリズムにおける「違法行為」の正当性を印象づける典型的な手法である。
『チリの記録』(下)は、おおむね3つの構成部分からなっている。
①故パブロ・ネルーダが詩を書いたイスラネグラの家(0:40~)
②FPMR(マヌエル・ロドリゲス愛国戦線)との会見(3:00~)
③サルバドール・アジェンデの最後の数時間(6:55~)