クローズアップ現代『 あしたが見えない 深刻化する”若年女性”の貧困』にみるNHKの限界
NHKが1月27日に放送したクローズアップ現代「あしたが見えない ?深刻化する"若年女性"の貧困」は、NHKジャーナリズムの限界を露呈している。結論を先に言えば、若い女性の間で極端な貧困が急激に広がっている実態は伝えているが、このような社会現象の原因が、構造改革=新自由主義にあることを隠しているのだ。
番組は、次のようなナレーションで始まる。
「学校を卒業後非正規の不安定な職にしかつけない女性が増加し続けています。」
「今、働く女性の3分の1が年収114万円未満」
「なかでも深刻化しているのが、10代、20代の貧困です」
◇大企業の内部留保は260兆円
かつて海外メディアは日本人を、「働きすぎ」とか、「会社に忠誠すぎる」と評した。実際、上司が帰宅するまで、部下も仕事を続けることが慣行化している会社はめずらしくなかった。昔から日本人は、延々と「働く」ことを強要されてきたのだ。長時間労働は今に始まったことではない。
しかし、現在と過去では、決定的に異なる部分がある。それは賃金である。むかしは働けば、最低限の生活は維持できたが、今はいくら働いても、極貧から抜け出せない人が増えている。
このような変化が生じたのは、構造改革=新自由主義の政策のひとつとして、自民党が派遣労働の規制緩和を進めたからである。勤労者が多様な働き方を自由に選択できる制度というのが、規制を緩和した表向きの理由のようだが、本当の理由は別にあったようだ。
経営者が際限なく高い利益を得られる労働市場へ「構造」を「改革」するのが、派遣の枠を広げた主目的にほかならない。さらに安倍内閣は、3年に定められている派遣の期限を、無期限に「改正」しようとしている。さらに規制を緩和しようとしているのだ。
構造改革=新自由主義の結果、大企業の内部留保は260兆円にも達している。大企業にとっては、不況どころではない。構造改革=新自由主義が大企業に、空前の儲けをもたらす例は、米国でも英国でも、そしてチリでも証明済みである。