裁判官の人事異動と不可解な判決 第2次真村裁判と木村元昭裁判官
これまでわたしが取材した裁判で、判決だけではなく進行プロセスに疑問がある裁判の典型は、第2次真村裁判である。判決の内容そのものに検証しなければならない疑問点が多数見うけられるだけではなくて、裁判所当局が担当裁判官を決定したり異動させた背景がよく分からない。疑問の種になっている。
真村裁判は、1次裁判と2次裁判に大別できる。1次裁判は真村さんの完全勝訴だった。2007年12月に最高裁で判決が確定した。
訴因は、読売が真村さん経営のYC広川を強制改廃しようとして、「飼い殺し」などのハラスメントに及んだことである。裁判の過程で、偽装部数や虚偽報告など、日本の新聞社がかかえる大問題が暴露された。最高裁は、読売の販売政策の下では、反省すべきは読売であり、真村さんが販売店を廃業しなくてはならない正当な理由はなにもないと判断したのである。
ところが最高裁で判決が確定した半年後の2008年7月、読売は一方的にYC広川との取引を打ち切った。そこで真村さんは、地位保全の仮処分を申し立てると同時に、再び本裁判を起こした。これが第2次真村裁判である。
第2次裁判の結果は次の通りである。舞台は福岡地裁である。
1、仮処分 真村勝訴
2、仮処分(異議審)? 真村勝訴
3、仮処分(抗告?高裁)真村勝訴
4、仮処分(特別抗告)? 真村勝訴
1、地裁本訴 読売勝訴
2、高裁本訴 読売勝訴
3、最高裁 読売勝訴
仮処分と本訴が同時に進行していたのである。仮処分の審尋には、約2年の歳月を要した。