2013年03月07日 (木曜日)

公取委の前委員長・竹島一彦氏が、大手弁護士事務所へ天下り

公正取引委員会の前委員長・竹島一彦氏が退官後、日本の4大法律事務所のひとつである森・濱田松本法律事務所に、顧問として再就職(広義の天下り)していることが分かった。

竹島氏は2006年に公取委が新聞特殊指定の撤廃を打ち出した際に、新聞紙面で激しくバッシングされた。特殊指定撤廃は免れないというのが、大方の予想だったが、自民党の山本一太議員、高市早苗議員らが、特殊指定を扱う権限を公取委から取り上げるための議員立法を提出した結果、撤廃を断念した経緯がある。

実は公取委の関係者が、大手法律事務所へ再就職したケースはほかにもある。たとえば七つ森裁判、清武裁判、黒薮裁判と、次々と裁判を起こしてきた読売(渡邊恒夫会長)の代理人・TMI総合法律事務所へ、公取委の元事務総長・松山隆英氏が、やはり顧問として再就職している。

また、同事務所の顧問弁護士である三谷紘氏も、元公取委の委員である。

森・濱田松本法律事務所やTMI総合法律事務所は、主に企業法務の専門家の集まりである。特にグローバリゼーションの中で、バイリンガルの弁護士をそろえるなど、国際企業法務に力を入れている。

当然、独禁法を考慮に入れて活動しなければならない企業がクライアントになっている可能性が極めて強い。

こうした性質を持つ弁護士事務所が、公的機関の退官者と特別な関係を構築することは、民主主義を後退させる行為にほかならない。癒着の温床になる。ちなみにTMI総合法律事務所には、最高裁の元判事が3名も再就職している。

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2013年03月06日 (水曜日)

【連載】新聞の偽装部数 国会で大問題になった1980年代の読売「北田資料」

新聞の偽装部数の規模はどのように変化してきたのだろうか。日本ではじめて比較的まとまったデータが公になったのは、1982年3月8日のことだった。この日、共産党の瀬崎博儀議員が、衆議院予算委員会で「押し紙」問題を取り上げたのだ。

(「押し紙」の正確な定義=ここをクリック)

瀬崎議員が暴露したのは、北田資料と呼ばれる読売新聞鶴舞直売所(奈良県)における新聞の商取引の記録である。この記録は、同店の残紙(広義の「押し紙」、あるいは偽装部数)の実態を示すものだった。

瀬崎議員は、国会質問の中で鶴舞直売所における偽装部数の実態について次のように述べている。

 これで見てわかりますように、(昭和)51年の1月、本社送り部数791、実際に配っている部数556、残紙235、残紙率29・7%、52年1月送り部数910に増えます。実配数629、残紙数281、残紙率30.9%に上がります。53年1月本社送り部数1030、実配数614、残紙416、残紙率は40・4%になります。(略)平均して大体3割から4割残っていくわけなんです。

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2013年03月05日 (火曜日)

新聞折込チラシ詐欺 大阪地裁が「中抜き」を事実認定、35万枚のうち5万枚を印刷せず料金請求

大阪地裁は2月13日、広告代理店「アルファトレンド」が広告主である医師から受注した産経新聞と毎日新聞に折り込む35万枚のチラシのうち、新聞販売店に搬入される前段階で5万部を「中抜き」していた事実を認定した。この5万部は、印刷の発注もせず経費を浮かせていた。折込チラシの水増しを疑った医師が折込手数料の支払いをペンディングしたのに対抗して、代理店が裁判を起こしたところ、逆に法廷で証拠を突きつけられ、代理店の不正行為が認定された。

代理店側は控訴したが、折り込み広告の偽装配達部数が確定したら、新聞業界全体に決定的なダメージを及ぼしかねない。医師はどうやって証拠を押さえ、偽装部数を暴いたのか。折り込みチラシ中抜きの実態を詳報する。(判決文はPDFダウンロード可)【続きはMNJ】

◇裁判官の優れた理解力 ?

この裁判を傍聴する中で、わたしは幾つかの特徴に気づいた。

まず、第1は判事の構成が「合議」になっていなかった点である。裁判官がひとりだったので、責任を持って公平な判断をしたようだ。

第2に高瀬裁判官の理解力が優れていた点である。これまでの「押し紙」に関連した裁判における最大の壁は、新聞の商取引のカラクリを裁判官にわかりやすく知らせることだった。よく理解できない判事が大半で、結局、新聞社の主張を鵜呑みにするパターンが多かった。それが最も無難であるからだ。

ところが大阪地裁の高瀬裁判官は、新聞の商取引を正しく理解していた。その証拠に判決の中でも、「押し紙」の定義を広義に使っている。

(「押し紙」の正しい定義=ここをクリック)???

山陽新聞の「押し紙」で、販売店を勝訴させた岡山地裁の山口裁判長も、やはり理解力に優れ、判決の中で「押し紙」の定義を正しく使っていた。

 

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2013年03月04日 (月曜日)

YC久留米文化センター前の強制改廃5周年 不自然な判決 警視庁に対しては100万円、黒薮に対しては110万円

3月1日は、YC久留米文化センター前の強制改廃事件の5周年である。2008年のこの日、読売新聞社の3人の社員が事前連絡もせずに同店に足を運び、改廃通告を読み上げてあっさりと平山春夫店主(故人)を首にした。

その後、読売関係者が翌日に折込予定になっていたチラシを店舗から持ち去った。この行為を指してわたしは「新聞販売黒書」で「これは窃盗に該当し、刑事告訴の対象になる」と評価した。平山店主に精神的な強打をあたえた後、チラシを搬出したから、比喩的に「窃盗に該当」と評価したのである。

これに対して読売西部本社と3人の社員は、名誉を毀損されたとして総計2230万円のお金を支払うように要求して裁判を起こした。さらに読売は、改廃に際して、平山氏が店主としての地位を保持していないことを確認する裁判を起こしている。

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