新聞の発行部数、部数至上主義についての記事。

 YC小笹の「押し紙」裁判の判決が、26日(火)の13時、福岡高裁で言い渡される。「押し紙」が社会問題になる状況下での判決だけに、裁判所の判断が注目される。

  「押し紙」とは、販売店で過剰になっている新聞を意味する。残紙とも言われる。「押し紙」は販売店サイドの語彙で、新聞社の側は「積み紙」という言葉を使うことがある。

 しかし、一般の読者に両者の区別はなく、「押し紙」が一般的になっている。


  改めて言うまでもなく、「押し紙」という言葉は、不要な新聞を販売店が好んで買い取るはずがないという評論に基づいた表現である。

◇1970年代の「押し紙」
 日本で初めて「押し紙」問題が浮上したのは、1970年代の中盤である。77年に日本新聞販売協会が全国の販売店を対象に残紙の調査を行った。その結果、1店あたり搬入部数の8・3%が「押し紙」であることが判明した。

  1980年代になって、北田資料が発掘された。これは読売新聞・鶴舞直売所の北田敬一さんが、自店の内部資料を公開したものである。その中に「押し紙」のデータも含まれていた。たとえば、1980年1月のデータは次のようになっている。

 搬入部数:1100部
 実配部数: 608部
「押し紙」:  492部

  1981年から85年にかけて、共産党、公明党、社会党が新聞販売問題についての質問を計15回行った。北田資料も国会に持ち込まれ、大問題になった。(950/3600文字、◇沈黙の90年代、◇「押し紙」が50%、◇毎日の140万部水増し、◇読売3店、約40%~50%

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 日本の新聞に見られるように巨大部数を持つメディアは、純粋なジャーナリズムとして機能し、国民にとって本当に有益なのだろうか? われわれはある環境の中に埋没してしまうと、「異常」を「異常」と感じなくなる。外界に順応してしまい、物事の客観的な実態が見えなくなることがままある。

 次に示すのは、世界新聞協会(World Association of Newspapers)が発表した2008年度の新聞発行部数ランキングである。

1、読売新聞           1406万部
2、朝日新聞                  1212
3、毎日新聞                   558
4、日経新聞                   463
5、中日新聞                   451
6、Bild                      354
7、Rederence News             318
8、The Times of Indeia        314
9、The Sun                    298
10、People's Daily             280

 日本の新聞社の場合、夕刊部数を含んでいるとはいえ、圧倒的に多い部数を記録している。「押し紙」が3割から4割あるとしても、上位独占の状態は不動だ。   

  しかも、日本には新聞社の社数が少ない。基本的に1道府県に1紙と、中央紙だけである。これに対して、たとえば全米には約1400社の新聞社がある。

  こうした状況下で生じるのが情報の寡占化である。記者クラブで発表された情報が、中央紙と共同通信を通じて、全国の津々浦々まで浸透する。地方紙に独自性があるとはいえ、中央の情報は共同により配信されているわけだから、全国民が記者クラブで発表された情報に接して、それを物事の判断材料のひとつにしていることになる。

 しかも、新聞を通じて得る情報は、信憑性が高いという先入観がある。

◇正力氏、CAIに「協働・協力」
 このような「異常」が生まれたのは、戦時体制下で新聞社の1県1紙制が定着した後である。大本営発表をそのまま新聞各紙で報じるのが「ジャーナリズム」の役目になった。その結果、大半の日本人は、大本営の情報にほんろうされ、日本軍の優勢を信じて疑わなかったのである。

  敗戦により新聞もGHQの指導下に置かれる。GHQの指導方針について、東京経済大学の有山輝雄教授は次のように言う。

・・・・アメリカが、日本を民主化しようとしたといっても、一面では自分たちの国益を優先したわけです。考え方によっては、日本の新聞社の戦争責任を追及して、新聞社を全部つぶすことも選択としてはもっていたわけです。

  しかし、アメリカは、国益を守るためには今ある新聞社を利用する方が都合がいいと考え、新聞の制度それ自体はいじらなかった。(拙著『新聞ジャーナリズムの正義を問う』(リム出版新社)

 実際、読売の正力松太郎(暗号名:ポダム)氏がCAIと「協働・協力」していた事実が、最近になって研究者の手で発掘された。米国は正力氏が発行する読売を通じて、日本の世論を新米へ誘導しようとしたのである。このあたりの事情については、『原発・正力・CIA』(有馬哲夫著・新潮新書)に詳しい。
 
◇「俺には幸か不幸か1千万部がある」
 巨大メディアによって、世論を誘導する「策略」は、戦後、日本が民主化される中で解消したわけではない。今、現在も健在といっても過言ではないだろう。

 ジャーナリストの魚住昭氏は、『メディアと権力』(講談社)の中で、渡邉恒雄氏の次のような発言を引用している。新聞というメディアの危険性が読み取れる。

 世の中を自分の思う方向に持っていこうと思っても力がなきゃできないんだ。俺には幸か不幸か1千万部ある。1千万部の力で総理を動かせる。小渕総理とは毎週のように電話で話すし、小沢一郎ともやっている。

  政党勢力だって、自自連立だって思うままだし、所得税や法人税の引き下げだって、読売新聞が一年前に書いた通りになる。こんなうれしいことはないわね。これで不満足だなんて言ったらバチが当たるわ。

◇対抗言論の不在は日本の悲劇
 巨大メディアの危険性は、端的に言えば、同じ規模の対抗言論が存在しないことに尽きる。「中央紙+共同」の情報に、対等な立場で反論なり評論できるメディアがないために、世論誘導が簡単にできる状況があることである。しかも、世論誘導を実施する新聞社は、渡邉氏の例でも明らかなように、政界と癒着している。

 1000万部のメディアに対しては、1000万部の対抗言論があって初めて対等な論戦の舞台が整うのではないだろうか。こんなふうに考えると、日本の場合、巨大メディアの存在そのものが重大な社会問題と言えるだろう。社会進歩を妨げる壁になっている。従って、このようなメディアは一旦解体し、部数至上主義を検証した後、再編するのが望ましい。

◇権力構造に組み込まれた新聞社
 大半の人々は、日本の民主主義は成熟しているものと勘違いしている。(2700/3200文字

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 『クーリエ・ジャポン』(7月号)に、米国紙の発行部数ランキングが掲載されている。1位から10位は、次の通りである。

 

 

1位 USAテゥデイ       234万部
2位 ウォール・ストリート・J   201万部

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