「YAHOO!百科事典」は、メディアリテラシーを次のように説明している。

  新聞やテレビなどの内容をきちんと読みとりマスメディアの本質や影響について幅広い知識を身につけ、批判的な見方を養い、メディアそのものを創造できる能力のこと。イギリスやオーストラリアなどの英語圏では、内容を読み解き、制作も手がけるメディア教育がさかんである。

日本でもメディアリテラシーの重要性が教育界で叫ばれるようになり、新聞を使った授業などが行われている。メディアリテラシーが充実すると、メディアの実情がわかる消費者がふえ、マスメディア側の立場を危うくするが、マルチメディア時代には不可欠なものである。

 要するにメディアの本質を見抜く作業のことである。巷には情報が氾濫している。が、そのすべてが事実ではない。

 たとえ事実であっても、情報を公にする行為の背後に、世論誘導の意図が見え隠れする。

◇権力構造の力学
 最近、小沢バッシングとそれに対する批判が渦巻いている。主に新聞が小沢バッシングの先陣を切っているわけだが、これに対峙する側は、小沢バッシングそのもを批判して、その背景にあるものを見落としているように感じる。

  わたしは小沢バッシングそのものが新聞報道の第1目的ではないと思う。それよりも民主党のイメージダウンをはかることで、急激に斜陽してきた自民党の勢力挽回を助けたいという意図があるように感じられる。

 もちろん新聞が意図的に世論誘導のイニシアチブを取っているのか、それとも国家権力(検察)の策に新聞がはまったのかは不明だが、客観的に見たとき、小沢バッシングにより、自民と民主のバランスを回復する力が働いていることだけは疑いない。

 このような権力構造の力学は過去にも働いたことがある。ここ数年を振り返ると、まず、小泉劇場(自民の応援)があった。次に政権交代(民主の応援)。さらに小沢バッシング(自民の応援)というふうに。

◇メディアリテラシーと下部構造を把握
 わたしはメディア(新聞)を読み解くためには、その下部構造を把握することが不可欠だと考えている。新聞の紙面だけを読んも、その背景にあるものは見えてこない。このあたりの認識が弱いのが日本のメディアリテラシーの弱点かも知れない。

  新聞批評といえば、紙面だけをその他の事柄から切り離して行う作業であると勘違いしている人も少なくない。実際、新聞研究者は新聞社の下部構造を重点的に検証する作業に積極的とはいえない。(1600/2800文字、◇新聞紙面の約50%は広告、財界(広告主)の要望とメディア)

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 2月7付け読売新聞の1面に、戦闘服姿の2人の父親が子供を腕に抱き抱え、別れを告げている写真が掲載されている。カリブ海のハイチにPKO活動に向かう自衛隊員の姿である。キャプションは大文字で、「行ってきます」。

  同日の社説は、「自衛隊の活動の幅を広げたい」。

  読売は改憲論で知られている。彼らがPKOを論じるとき、欠落している重大な視点がある。それは海外派兵の究極の目的にはふれずに、建前論を展開していることである。

◇真実は多国籍企業の防衛
  自衛隊の海外派兵の問題は、わたしが記憶する限り、1990年代になってから取りざたされるようになった。当時、日本企業が盛んに生産の拠点を日本から海外の発展途上国へ移していた。わたし自身もメキシコでそのお手伝いをしたことがある。

 海外派兵の真の目的は、海外へ進出した多国籍企業を政変から防衛することである。読売の社説は、このあたりの視点が抜け落ちているのだ。

 発展途上国では、欧米並の民主主義が確立されていないところが多い。そのために政情が不安定な場合がままある。多国籍企業にとって、最も大きな懸念材料は、予期せぬ政変である。せっかく人件費や材料費が安い海外へ生産の拠点を移したのに政変が起きて、新政府により最低賃金が底上げされたら、海外進出のもくろみが狂ってしまう。

 このような状況になったときに、国際貢献を口実として、自衛隊を現地に派兵して、「治安を回復する」のが海外派兵の真の目的である。そのためにPKO活動で派兵の既成事実を重ねているのだ。

◇ラテンアメリカに見る米軍の介入
 海外派兵と多国籍企業の関係を考える場合、ラテンアメリカにおける米国の軍事介入に焦点をあてると分かりやすい。派兵の本質が見えてくる。年代順に米軍による軍事介入(軍事訓練の指導も含む)とCIAによる介入を追ってみよう。

■1954年 グアテマラ

■1961年 キューバ

■1964年 ブラジル

■1965年 ドミニカ共和国

■1971年 ボリビア

■1973年 チリ

■1979年~ニカラグア内戦

■1980年~エルサルバドル内戦

■1983年 グレナダ

■1989年 パナマ

■2002年 コロンビア

 現在も米軍によるコロンビア介入の兆しがあるが、今世紀に入ってからは、かつてのように露骨な軍事介入は出来なくなっている。民主主義が成熟してきたからである。非軍事の世界的な流れが顕著になってきたのだ。

◇防衛するものは多国籍企業の権益
  なぜ、米軍やCIAがラテンアメリカ投入されてきたのだろうか。個々のケースで事情は異なるにしても、基本的な考え方として、多国籍企業がラテンアメリカを自国の裏庭にしてきた事情がる。その裏庭で「政変」が起きると米軍やCIAが出動して、それを鎮圧する構図があった。

  たとえば1954年にCIAが起こしたグアテマラのクーデター。当時のグアテマラは、民主的なかたちで資本主義を発展させることを基調とした政権だった。しかし、政府が農地改革の中で、米国のUFC(ユナイテッド・フルーツ・カンパニー)の農地に手をつけたとたんに、クーデターで倒された。

 その後、グアテマラは反政府ゲリラとの間で30年を超える内戦に突入する。クーデターの直後、ニクソン(後に大統領)は、「グアテマラに民主主義が戻った」と発言している。

  1973年のチリの軍事クーデターも、多国籍企業の権益と深くかかわっている。チリは銅の産出国である。その銅山を所有すのは、米国の多国籍企業だった。70年に社会党と共産党を中心とする人民連合が成立すると、アジェンデ政権は、銅山を国有化した。

  CIAが関与した軍事クーデターが起こったのは73年の9月11日である。人民連合の支援者は殺害されり、亡命を余儀なくされた。アジェンデ大統領は自殺した。その後に成立したのは、ピノチェト将軍による軍事政権だった。(ちなみにピノチェトは、晩年になってから、人権侵害などで裁判攻めにされた。妥当な対抗策といえよう)

  80年代のニカラグアへの軍事介入は、直接多国籍企業の権益とは関係ないが、(ただ、運河の建設を巡る米国利権説はある)構図としては同じである。ニカラグアは、独裁者ソモサ一家の独壇場だった。ソモサは米国を後ろ盾として、ニカラグアの政治から、経済・軍事に至るまで約40年に渡って私物化していた。その見返りに安価なコーヒーなどがニカラグアから米国へ輸出された。

  さらに米国がニカラグア革命に介入したのは、民族自決運動の波が中米全体に広がって米国のフルーツ会社などの権益を侵すことを懸念した事情もあったようだ。

 いずれにしても自国の権益を守るために米軍の投入が行われてきたのである。これが歴史の事実である。米軍と日本の自衛隊の関係について考察するとき、これらの事実を無視することはできない。

◇読売社説は低レベル
  新聞が海外派兵を国際協力であると「宣伝」すると、国民は異論を唱えにくい。国際協力そのものを否定する理由はどこにもないからだ。こうして日本の自衛隊は、海外派兵の既成事実を積み重ねていく。そして日本企業の進出先で政変が起こったときは、米軍と一緒に「治安維持」のために現地に赴くのだ。

 このあたりの危険性を指摘するのが、新聞ジャーナリズムの役割だと思うのだが、読売にその資質はないようだ。(3800/3800、全文公開

 『読売新聞』(12月4日)の社説は、葛飾ビラ配布事件の最高裁判決を取り上げている。この社説は、論理に破たんが生じている。書かれた内容を評価する以前に、論理そのものに矛盾があるのだ。

◇葛飾ビラ配布事件
  葛飾ビラ配布事件というのは、東京・葛飾区の僧侶で共産党員の荒川庸生さんが、「ビラ・チラシ禁止」の張り紙があるマンションに立ち入って、共産党のビラをポスティングしていたところ、住民が警察に通報し、駆けつけてきた警官が荒川さんを逮捕した事件である。東京地裁は荒川さんに無罪を言い渡したが、高裁で罰金5万円の有罪。最高裁も高裁判決を支持した。

 この最高裁の判断について読売は、「過去の判例に沿った妥当な判断といえる」と主張する。ところがこの文脈に続いて、突如として先行する文章を頭から否定する一文が来る。

 ただ、「ビラ・チラシ禁止」などと表示した集合住宅での配布行為に、広く刑事罰を科すというのは、現実的ではない。

 「広く刑事罰を科すというのは、現実的ではない」のであれば、罰金5万円の刑罰をかした最高裁の判断は誤っているということにならないだろうか。それよりほかの意味に解釈することはできない。これでは、最高裁の判断を支持しているのか、批判しているのかさっぱり分からない。

◇『君命も受けざる所あり』
  新聞文化賞の受賞者で読売の主筆である渡邉恒雄氏の『君命も受けざる所あり』(日経新聞)にも、意味がよく通じない文脈が見受けられる。

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