真村裁判(平成21年[ワ]第1083号販売店地位確認等請求事件)の読売側の準備書面(8)は、ジャーナリズム企業とはとても思えない内容だ。日本国憲法が保障した言論の自由に対する挑戦状のような印象を受けた。

 この裁判は真村さんが読売新聞社に「死に店」扱いなどを受けたことが原因で生じた被害の賠償を求めて、2007年12月に最高裁が真村さんの地位を保全したのちに提起したものである。

 その後、読売が真村さん経営のYCを一方的に改廃したために、すでに進行していた損害賠償裁判に地位保全裁判が統合されたものである。

 読売は真村さんを解任する理由として、信頼関係の破壊などをあげている。実は、信頼関係を破壊したのは、真村さんではなくて、読売の側なのだが。

 驚くべきことに、読売はその具体例として日本国憲法が保障した言論の自由にかかわる項目を上げている。たとえば、

1、真村さんが読売批判のビラ・パンフを配布したことである。

2、真村さんが江上武幸弁護士と一緒に『新聞販売の闇と闘う』を出版したことである。

3、真村さんが支援者と一緒に裁判所前などで、読売批判の街宣活動を展開したことである。

4、真村さんが「自称フリージャーナリスト黒薮」に情報を提供したり、黒薮がコーディネーターを務めたシンポジウムや報告会で読売を攻撃する発言をしたことである。

 これらのことを読売の喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)らは、真村さんが提起した地位保全の仮処分申請の審尋でも主張していたが、「本裁判」でも同じような主張を持ち出している。
 
◇真村さんを失職させて何になる
 しかし、係争中の人間が法廷の内外で自分の主張を展開するのは当然の権利ではないだろうか。それを読売の喜田村弁護士らは、真村さんを失職へ追い込む正当な理由として主張しているのだ。

 そこには日本国憲法で謳われた言論の自由を保障しようという姿勢はまったく感じ取れない。(1400/2000文字、◇極端なエリート意識の裏返し、◇読売が個人攻撃を続けるのであれば・・)

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 2001年に、配達部数6百部弱に過ぎない1店主である真村久三さんが、自称1千万部を発行する読売新聞との裁判に巻き込まれてから10年近い歳月が流れた。

 これまでの判決は、真村さんの6勝0敗。そして2月初旬、読売が判決を不服として保全抗告の申立て手続きを行い、裁判の舞台を福岡地裁から福岡高裁に移しての「第7戦」が決まった。

  集会を写真撮影、裁判所に提出。「押し紙」パンフにいちゃもん。出版活動も批判・・・・(続きはマイニュースジャパン
 

 真村裁判で読売の渡邉恒雄主筆兼会長の尋問が実現するかどうかが福岡でも話題になっている。読売新聞販売店訴訟を支援する会(準備会)が、このところ県内のあちこちで配布しているビラでも、この話題が取り上げられている。

  ビラは、まず次のように真村事件の概要を説明する。
 
 1月15日、福岡地裁は、真村久三さんがYC広川店主としての地位確認をもとめた仮処分の異議審決定で、「(読売新聞社の)販売店契約更新拒絶は無効である」「債務者(読売新聞社)は、本件新聞販売店契約に基づき、債権者(真村さん)に本件販売区域における新聞販売店としての地位を回復させる義務を負っている。」として、真村さん勝利の決定をだしました。

 真村さんは、01年7月の1回目の「契約更新拒絶」で、地裁の仮処分、本訴で地裁、高裁、最高裁、08年7月の2回目の「契約更新拒絶」で、地裁の仮処分、それに今回、それぞれ販売店としての地位が認められ6連勝しました。

 渡邉氏の尋問が不可欠な理由として、ビラは次のように述べている。

 しかし、読売新聞社は判決や決定を守ろうとする姿勢をみせていません。2月2日に、真村さんと弁護団は、判決に対する認識を聞くために渡邉恒雄主筆を証人申請しました。

 読売が司法判断に従わない事情を問うために、真村さんの弁護団は渡邉氏の証人申請をしたという。まさに正当な理由である。

 逆説的に言えば、もし、読売が司法判断に従っていれば、渡邉氏が尋問の対象にされることはなかっただろう。

 住民が司法判断を無視すれば、大問題になるのであるから、新聞社による司法無視はさらに重大だ。裁判所は、証人申請を認めるべきだろう。却下する理由はなにもない。

  渡邉氏は、法廷で読売が司法命令に従わない理由を説明すべきだろう。

◇渡邊氏の批判はタブーなのか?
 わたしは真村裁判の当事者ではないが、取材者として渡邉氏の言動について確認したい点がたくさんある。たとえば、新聞社のトップが政界工作に関与することについて、どのように考えているのかという点である。

 また、警察と新聞社の「協働」をどのように考えているのかという点である。さらには裁判を悪用した言論弾圧についての見解も聞きたい。まさかこれらの事実を把握していなかったとは言えないだろう。

 わたしがかねてから不思議に思っているのは、渡邉氏の言動が新聞業界で受け入れられ、ほとんど批判の対象にはなっていないことである。批判があっても、単発的な「ガス抜き」程度で終わってしまう。

 しかも、業績を讃えて、2007年には渡邉氏に新聞文化賞が贈られているのだ。受賞理由は次のようになっている。

 渡邉恒雄氏は、半世紀余りにわたって新聞記者、新聞経営者として社業に尽くし、新聞界の発展および安定に力を注いだ。

 卓越した経営手腕によって、読売新聞の発展に尽力し、社論の確立に強力なリーダーシップを発揮したほか、日本の文化水準の維持・向上のため活字文化の振興に積極的に取り組み、民主主義社会における新聞の役割を広く社会に浸透させた。

 日本新聞協会長としては、新聞経営の根幹にかかわる再販制度の存続を果たすとともに、21世紀に向け新聞倫理水準の一層の向上をはかるため、新たな新聞倫理綱領を制定した。

 これらの功績は新聞人として高く評価される。
 
 読売が司法判断を無視している事実が明らかになったり、渡邉氏自身の政界工作が発覚した現在、新聞協会は渡邉氏の評価をどう定めるのだろうか。

  渡邉氏の尋問が実現すれば、読売の体質が鮮明に見えてくるかも知れない。(全文公開)

 真村事件を「人権問題」として認識する人々が増えている。この事件は、新聞販売黒書でも繰り返し報じてきたように、2001年に読売がYC広川の店主・真村久三さんに対して、営業・配達地域の一部返上を申し入れたことに端を発している。

 真村久三さんは、当然、読売の申し入れを断った。その後、読売は真村さんに改廃を通知。両者の間で本格的な裁判が始まった。原告と被告は次の通りである。

原告:真村久三
被告:読売新聞西部本社

◇真村事件の概要
  福岡地裁小倉支部が真村さんの地位を仮に保全した後、地裁判決は2006年に、高裁判決は2007年に下され、いずれも真村さんが完全勝訴した。さらに2007年の12月には、最高裁が高裁判決を認定して、真村さんの勝訴が確定する。店主としての地位が保全されたのだ。

  本来であれば、司法判断が下されたこの時点で事件は解決していたはずだ。

 ところが、その約半年後に読売はYC広川への新聞の供給を一方的に止めた。最高裁が真村さんの地位を認定しているにもかかわらず、読売は真村さんを失職に追い込んだのである。

 当然、真村さんは再び地位保全を求めて仮処分命令を申し立てた。これ以外にどんな選択肢もなかった。福岡地裁も真村さんの訴えを認めて、読売に地位保全と新聞の供給再開を命じた。ところが読売はこの命令を踏み倒したのである。

 そこで裁判所は読売に対して1日につき3万円の間接強制金(制裁金)を真村さんに支払うように命じる。(間接強制金については、命令に従っている)

  その後、読売の申し立てに従って異議審が行われたが、裁判所は再び読売に対して、真村さんを復職させ、YC広川へ新聞の供給を再開するように命令を下した。が、読売はこの命令も無視。さらに保全抗告を申し立てたのである。

 従って真村さんは、現在も地位保全をめぐる係争の渦中にある。

 こんなふうに読売は敗訴しても、次々と司法手続きを踏んで真村さんに対抗してきた。裁判は2001年から続いており、これまで真村さんの6連勝、読売の6連敗である。

◇大新聞社VS1個人
 弁護団を除いてなんの後ろ盾もない1個人に対して、世界最大の新聞社が延々(2001~)と攻勢をかけている事実は重大だ。ある意味では地位保全の是非よりも、こちらの方が憂慮すべき事態である。

 もし、攻撃を仕掛けているのが一般の企業、たとえばサラ金業者であれば、まだ、うなずける。「あの企業であればやりかねない」という評価があるからだ。

  しかし、ジャーナリズムの旗を掲げた大新聞社が何年にも渡って1個人と「がっぷりよつ」に組み合って、相手を失職させようとしているとなれば、日本の新聞ジャーナリズムの信用問題に発展する。渡邉恒雄主筆の新聞文化賞受賞はなんであったのかという疑問すらも生じてくるのだ。

 ちなみに真村さんに対する読売の方針は、裁判の持続だけではない。YC広川を「死に店」扱いにしたり、販売店への補助金を差別的に部分カットするなどの策も取っていた。さらに販売店にとって不可欠なセールス団の派遣も店主会により中止された。

 つまり読売は真村さんを失職させるためならば、司法判断の無視をも厭わず、公然とした差別まで容認してきたのである。

  ちなみに最高裁が真村さんの地位を保全する決定を下した後の2度目の解任理由として、真村さんがわたしに情報を提供したという内容も含まれている。読売が言及したのは、最高裁で判決が確定した後、真村さんが読売に対して起こした損害賠償裁判である。読売の準備書面は、わたしへの情報提供について次のように述べている。

提訴日に「My News Japan」に原告の訴状が公開され、原告本人のコメントや写真までも掲載されていたことからすると、原告が用意周到に、記事を執筆した自称フリージャーナリスト・黒薮哲哉(以下「黒薮」という)と共働し、事前に公表の準備をしていたこと、原告が被告を攻撃する意思を有していたことは明らかである。

 報道を重視するメディア企業とは思えない記述である。

◇読売の方針を誰がサポートか?
 参考までに読売の方針をサポートしている代理人弁護士の名前も明記しておこう。

喜田村洋一弁護士自由人権協会代表理事)
近藤真弁護士
その他2名

 自由人権協会に対しては、近々に公開質問状を提出する予定。

◇真村事件における3つの異常
 さて、真村事件に対して、最近、人権問題ではないかとの声が上がっている。4日、わたしはTwitterで次の情報を発信した。

YC広川の真村裁判:読売が保全抗告。真村さんに対する攻勢は、2001年から続いている。裁判で負けても負けても、読売は裁判で対抗してくる。真村さんの支援者からは、「人権問題では」との声も。現在、読売の6連敗。

 これを受け、司法関係者も含めて数人の方が、「リツイート」して下さった。なぜ、人権問題なのだろうか?

 わたしの意見になるが、まず、第1にそれは長期に渡る個人攻撃であるからだ。2001年に始まった係争であるから、実質、8年から9年の長期間に渡る。

 しかも、裁判によって、真村さんはかなり生活を破壊されている。特に経済的な損害が大きいようだ。

  第2に攻撃している者が、世界最大の新聞社という点である。極めて異例といわなければならない。たとえば『ニューヨーク・タイムズ』では、絶対に起こり得ない事態だ。

 読売はジャーナリズム企業であるから、「真村憎し」であれば、ペンの力で真村さんを社会から排除すればいいわけだが、読売は裁判という方針を取ってきた。事件が公になるのを嫌ったのが原因かも知れない。

  第3に読売が司法命令に従っていない事実である。裁判所は繰り返し、YC広川への新聞の供給再開を命じているのに、読売はそれに従っていない。

◇新聞社のレベルを露呈した真村事件
 わたしが不思議に感じるのは、真村事件に対して、なぜ、新聞人は沈黙を守っているのかという点である。読売の新聞記者に対して、ジャーナリズムの精神を発揮しろというのは酷だが、他社の記者であれば、取材して告発することもできるはずだ。

 まさか事件を知らないということはないだろう。週刊新潮やマイニュースジャパンはこの事件を繰り返し報じている。

 新聞ジャーナリズムが機能しなくなったとよく言われるが、真村事件を黙殺するところに、日本の新聞社のレベルがよく現れているのではないだろうか。ジャーナリズム企業でありながら、自分たちの足元の問題に対して、何の声も上がらないのは異常だ。

 ちなみにネット上、特にTwitterでは、新聞社に対する批判が高まっている。

◇すべてを記録・保管・公開
 読売が真村さんに対する攻撃を止めないのであれば、広告主や住民、人権擁護団体、政党に協力を求めるよりほかに選択肢がなくなる。それでもかわまないというのであれば、同じ方針を貫けばいい。新聞販売黒書は、裁判資料も含め、すべてを記録・保管していく。当然、資料の公開も前提になる。(4600文字、全文公開)

 真村裁判は、尋問へ向けた手続きに入った。この裁判は、2001年から読売との係争に巻き込まれて、自店を「死に店」にされたり、新聞セールス団の派遣をストップするなどの嫌がらせなどで、経済的にも精神的にも損害を受けた真村久三さんが、2008年に読売新聞社などを相手に、約9200万円の損害賠償を求めたものである。

 これに先立つ地位保全裁判は、2007年12月、最高裁で真村さんの地位が認定された。しかし、半年後に読売は真村さんの店を一方的に改廃した。

 現在、真村さんは第2次の地位保全裁判と損賠賠償裁判(2つの裁判は統合されている)を戦っている。

◇渡邉恒雄主筆・会長への尋問は実現するか?

  2月2日、福岡地裁で行われた口頭弁論で、真村さんの弁護団は、次の4人の尋問を裁判所に申請した。

①杉山力氏

②渡邉恒雄氏

③真村直美氏

④真村久三氏

 このうち最も注目されるのは、渡邉恒雄氏が法廷に立つことになるかどうかである。改めて言うまでもなく、渡邉氏は、読売の主筆・会長で、実質的に読売の最高実力者である。さらに新聞文化賞の受賞者で、日本の新聞業界の手綱を執ってきた人物である。

 原告側がなぜ渡邉氏の尋問を申請したのかは、わたしの推測の域を出ないが、真村事件の背景にある読売新聞社の経営理念を検証することが主目的ではないか。

 たとえば渡邉氏は1991年7月に「販売第一主義」を宣言した張本人である。この「販売第一主義」が、真村さんら読売の意にそぐわない店主を一方的に切り捨てる結果を生んだ可能性はないのか?あるいは「販売第一主義」が販売店に過剰な新聞を搬入する思想的な根拠になっていないか?

 さらに最高裁が真村さんの地位を保全したにもかかわらず、半年後に新聞の供給を一方的に止めた事実と、読売の経営方針がどうかかわっているのかも解明されなければならない。

  新聞販売黒書で繰り返し述べてきたように、裁判所が読売に対して、真村さん経営のYC広川へ新聞を供給するように司法命令を下しているにもかかわらず、読売はそれに従っていない。こうした読売の方針に、同社の最高責任者である渡邉氏が、どのような形の指示を出していたのかも解明されなければならない。

 わたしは個人的に渡邉氏が司法についてどのように考えているのかを知りたい。興味がある。と、言うのも読売はわたしに対しても、3件の裁判を提起しているからだ。

◇司法命令拒否に関する質問状
 読売が司法命令に従わない問題は、わたし自身の取材テーマでもある。読売にもこの点について書面で質問してみたが、「係争中」を理由に返答はできないとのことだった。

 以下、参考までにわたしが読売西部本社の広報宣伝部へFAXした質問状を紹介したい。(2000/2600文字事件番号は「平成20年(ワ)第3139号 損害賠償請求事件」、福岡地裁で裁判資料の閲覧可能

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  福岡地裁がYC広川へ新聞の供給を再開するように命じた仮処分命令を、読売が無視していることに批判が広がっている。ジャーナリズム企業による司法蹂躙(じゅうりん)が憂慮すべき事態であることは言うまでもない。一般企業に、司法命令を無視した前例はあるのだろうか?

  新聞各紙が厳しく批判した司法無視の有名な例としては、プリンスホテルのケースがある。

◇プリンスホテルの事件
 これは、日教組がプリンスホテルで教研集会を開催する段取りを取っていたところ、右翼からの圧力に屈してホテル側が、07年11月、一方的に契約を解約した事件。日教組は仮処分申請を申したて、東京地裁も東京高裁もプリンスホテルに対して施設を使用させるように命じた。しかし、プリンスホテルは司法命令に従わなかった。

  その後、日教組はプリンスホテルなどを相手取って、約2億9000万円の損害賠償を求める訴訟を提起した。東京地裁は、09年7月にプリンスホテルに対して請求額の全額支払いと全国紙への謝罪広告掲載を命じた。

 司法命令に従わない代わりに、間接強制金(制裁金)を支払えば、それですむのであれば、資産家は自分の独断で何をやってもいいことになりかねない。読売は、まずYC広川への新聞供給を再開すべきではないだろうか。その上で裁判を続けるのが社会通念である。 

◇延べ3度の司法無視
 最初に福岡地裁が読売に対して、YC広川へ新聞の供給を再開するように命じたのは、08年の11月だった。しかし、読売はこれに従わなかった。2度目の命令は、10年の1月だった。読売はこの時も命令に従わなかった。

 さらに2008年3月のYC久留米文化センター前の改廃事件でも、裁判所が新聞の供給を命じる仮処分命令を出したが、読売はそれに従わなかった。もっとも異議審では、命令が取り下げられているが、本来であれば、一旦、新聞供給を再開した上で、裁判を続けなければならなかった。

  ジャーナリズム企業がなぜ、司法のルールを守らないのかま理解に苦しむ。


 「自分たちは選ばれた特別な存在」という意識がどこかにあるのか?プリンスホテルの司法判断無視を批判した新聞各社は、読売の方針については、批判どころか、何も書かない。ろくに報道もしない。

 さらにわたしが疑問に思うのは、読売の代理人弁護士が、読売の法務関係者にどのようなアドバイスを行ったのかという点である。(1300/2200文字、◇教育現場に読売新聞は不適切)

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 新聞販売黒書で既報したように読売は、真村さんの地位を保全した福岡地裁の決定を不服として、福岡高裁へ保全抗告を申し立てる手続きに入ったようだ。
 

 ごく普通の法的手段のようにも思えるが、一連の真村裁判(地位保全)には見過ごせないもうひとつの側面がある。

 しかし、この点に言及する前に、手短に真村裁判の足跡を振り返ってみよう。

◇真村さんの地位保全裁判の経緯
 真村さんが読売から改廃通告を受けて、地位保全の本裁判を提起したのは2001年である。福岡地裁久留米支部で地位が保全されたのは、2006年9月。その後、福岡高裁でも勝訴。さらに2007年の12月に最高裁が、福岡高裁の判決を認定するかたちで係争に終止符を打った。

 重大問題はそれから発生した。最高裁の決定から、わずか半年後の7月31日、読売は真村さんとの商契約を一方的に破棄。YC広川への新聞の供給をストップしたのである。

  そこで真村さんは再び地位保全の裁判を起こさざるを得なくなった。まず、緊急措置として、YC広川への新聞の供給を再開するように仮処分命令を福岡地裁に申し立てた。福岡地裁は、これを認めて、2008年11月に読売に対して新聞の供給命令を出した。

 ところが読売はこれを無視。そこで裁判所は読売に対して、1日に3万円の間接強制金(制裁金)を課した。

  読売は裁判所に異議を申し立てた。異議審は約1年を要して、2010年の1月15日に判決が下された。それはYC広川への新聞の供給を再開するように厳命する内容だった。これにより裁判所は2度も読売に対して、新聞の供給再開を命じたことになる。

 ところが読売は再び司法命令を無視。1月末になって、内容証明郵便で真村さんの弁護団に福岡高裁で保全抗告の手続きを取る旨を伝えてきた。もちろんYC広川への新聞の供給を再開するつもりはないことも紙面に明記されていた。

◇司法を踏みにじる
 読売が司法命令に従わないことに対して、批判が広がっている。読売の方針の何が問題なのか?原告弁護団の江上武幸弁護士は、次のように話す。

「読売は、裁判所から2度にわたり真村さんの販売店に新聞の供給を再開するよう命じられたにもかかわらず、それに従うことを拒否する旨の回答をしてきました。読売の論法は、高裁に不服申立を行うので、真村さんに新聞の供給を命じた仮処分命令には従わないというものです。

しかし、これは読売の身勝手な屁理屈といわざるを得ません。例え、裁判所の仮処分決定に不服があっても、決定が出た以上それに従うのは当然の義務です。読売は、先頃、東京地裁が日教組にホテルの会場の使用を認めるよう命じた件で、ホテル側がその命令に従わなかった問題について、そのホテルの取った行動を法治国家にあるまじき身勝手な行動であると厳しく批判しました。

外部に対しては厳しく批判したのと同じ問題でも、自分の場合は許されるとでもいうのでしょうか。

間接強制金を払いさえすれば、裁判所の仮処分命令には従わなくともかまわないといった読売の身勝手な行動は、裁判所の権威をおとしめ法治国家の基盤を危うくするものです。法治国家の最低のルールさえ守ろうとしない読売には、国民からの厳しい批判が避けられないでしょう」(2000/2900、◇まず新聞の供給再開を、◇新聞協会は問題を放置)

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   真村裁判の仮処分申請異議審で先月15日に敗訴した読売が、福岡高裁に保全抗告を申し立てることが分かった。これで真村裁判は継続になる見込み。

  先の判決で福岡地裁は、読売に対して真村さん経営のYC広川への新聞供給を再開するように命じていた。

 YC小笹の「押し紙」の損害賠償裁判控訴審で、福岡高裁は26日、元店主の訴えを棄却した。

 詳細は、後日。

 読売新聞とYC広川の店主・真村久三さんとの間で延々と続いてきた係争に、6度目の司法判断が下った。福岡地裁は1月15日、真村さんの新聞販売店主としての地位を認定した。驚くべきことに6度目の認定で、裁判をすること自体が目的と思われても仕方がない。読売は8年にわたって、負けても負けても、これでもかと言わんばかりに異議審や控訴審などを繰り返し、真村さんを失職させようとしてきた。(続きはマイニュースジャパン
 

 YC小笹(福岡市)が提起した「押し紙」裁判の判決(福岡高裁)が、今月26日に福岡高裁で下される。この裁判は、2006年10月に同店の元店主が、「押し紙」で損害を被ったとして、読売に対して3457万円の支払いを請求したものである。地裁では読売が勝訴した。

  元店主は1998年5月から2003年4月までの5年間、YC小笹を経営したあと、自主的に廃業した。驚くべきことに、前任者から経営を引き継いだ時点で、すでに「押し紙」があった。つまり「押し紙」も前任者から引き継いだのである。

  開業の時点で、読売は2330部をYC小笹に搬入したが、このうちの約1000部が「押し紙」だった。このような異常は、同年の11月まで続いた。

  読売もこの事実を認めている。ただし、次のような主張をしている。

 (略)本件において、原告によるYC小笹店の営業継続後、約6ヶ月に渡って必要最小限度を超えた部数の予備紙が供給されていた事については、原告と被告との間の合意に基づくものであり、そこには強要なり権利の濫用という要素はない。

 広告主が激怒しかねない論理である。

 読売の主張に対して、原告の元店主は、次のような主張する。前任者が残した「押し紙」を読売が整理することを前提に、YC小笹の経営を引き受けたにもかかわらず、約束が守られなかった。

 この裁判でも、自由人権協会の代表理事・喜田村洋一弁護士が読売の販売政策をサポートしている。もちろん「押し紙」も否定している。 

◇真村裁判の高裁判例の影響は?
 この裁判で注目すべき点は、読売による優越的地位の濫用を認定した真村裁判の高裁判例が、どのような影響を及ぼすのかという点である。高裁判例は、たとえば、読売の販売政策について、次のように述べている。

 読売は、一方では定数と実配数が異なることを知りながら、あえて定数と実配数を一致させることをせず、定数だけをABC協会に報告して広告料計算の基礎としているという態度が見られるのであり、これは、自らの利益のためには定数と実配数の齟齬をある程度容認するかのような姿勢であると評されても仕方がないところである。

 新聞販売店が虚偽報告をする背景には、ひたすら増紙をもとめ減紙を極端に嫌う読売の方針があり、それは読売の体質にさえなっているといっても過言ではない程である。

 真村の虚偽報告を一方的に厳しく非難することは、読売の利益優先の態度と比較して身勝手のそしりを免れないというべきである。

◇YC小笹が勝訴すれば・・・・
 原告の店主が勝訴した場合は、「押し紙」訴訟が全国に広がる可能性がある。現在の新聞販売業界には、集団訴訟にも発展しかねない客観的な条件がそろっているからだ。

  最近、販売店主とコンタクトを取る機会が増えているが、大半の店主が「押し紙」の負担に苦しんでいる。借金をして、新聞社に新聞代金を支払っている店主もいる。

 異常な実態に比較して、訴訟の件数が少ないのはなぜか?わたしが聞き出した範囲では、次のような事情があるようだ。

1、勝訴の確率が低い

2、時間を要し、資金が必要

3、強制改廃に対する警戒

 わたしは裁判を無条件に奨励する者ではないが、次の点も考える必要があるのではないか。このまま何もしなければ、結局、借金まみれになって、廃業に追い込まれる可能性があるのでは?(2200/2200文字、全文公開

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 新聞販売黒書やブログなどでたびたび登場する真村事件とは何か?体系だった記述が少ないためか、時々、わたしのところに問い合わせがある。

 真村事件とは、概略すれば、読売新聞社によるYC広川の強制改廃の通告に端を発した一連の係争のことである。YC広川の元店主・真村久三さんは、読売からの改廃通告に抗して、地位保全裁判を提起して、地裁、高裁、最高裁と勝ち進んだ。

 2007年12月に、最高裁が真村さんの地位保全を認めたことで、事件は落着したかに思えた。ところがその半年後に読売は、YC広川への新聞の供給を一方的にストップ。真村さんは、廃業に追い込まれた。

 同時に真村さんは、再び地位保全の裁判(仮裁判と本裁判)を提起せざるを得ない立場に追い込まれた。最初の提訴が2001年であるから、真村さんが裁判に巻き込まれてからすでに8年の歳月が流れている。

  この事件は、単なる新聞販売店に対する理不尽な攻撃という定義では十分とはいえない。なんの後ろ盾も持たないひとりの店主を、ジャーナリズム企業が延々と攻撃し続けたという観点からすると、メディア史上でもまれな人権侵害事件である。新聞人の汚点である。

 読売の代理人弁護士を務めてきたのは、自由人権協会の代表理事を務める喜田村洋一弁護士らである。本来であれば、人権擁護団体である自由人権協会が真村事件のような人権問題に取り組むべきはずだが。

(写真参照:『新聞販売の闇と闘う』(真村久三、江上武幸著、花伝社刊)

◇真村さんの前歴
 真村さんは、もともと自動車学校の教官として生計を立てていた。しかし、自宅を新築したことや、かねてから個人事業を営みたいという希望を持っていたこともあって、40歳を過ぎたころ、新聞業界に転職した。

 YC店で「研修」を受けた後、YC広川の経営権を買い取り、新聞販売業に船出したのである。業界の慣行にあまりこだわらない経営が効をそうしたのか、営業成績は抜群で、「残紙」もほとんどなかった。

 当初は、読売新聞社も、真村さんの手腕を高く評価していたらしい。実際、真村さんが中心になって、新しいタイプの新聞セールス団を結成する計画もあったようだ。

◇第1次真村裁判
 問題の発端になったのは、筑後地区で勢力を持つ、ある大物店主の野望だった。この人物は、筑後地区にあるYCの経営権を次々と自分のものにしていった。読売もそれを支援した。

 こうした状況の中で、真村さんのYCもターゲットになった。最初、読売から営業地域の部分返上を要請された。真村さんはこれを拒否。この時点から読売と真村さんの関係は悪化していく。

 2001年の10月、真村さんは、自分と同じようにターゲットにされたYC店主2人と一緒に、読売新聞社に対して、地位保全の裁判を提起した。当時の販売店訴訟は、販売店側が勝訴する判例は皆無に近かった。

 ところが真村さんが、読売との商取引に関する資料をほとんど保管していたこと、弁護団が極めて優秀だったこと、インターネットにより事件を公にできたことが重なって、
地裁での勝訴を皮切りに、最高裁でも勝訴した。

 特に福岡高裁の判決は、真村さん側の主張をほぼそのまま認めるという画期的なものだった。とうとう司法が、新聞販売問題を解決する道を切り開いのである。

◇第2次真村裁判
 最高裁が真村さんの地位を保全した約半年後、2008年の7月、すでに述べたように読売はYC広川に対して、新聞の供給を一方的にストップした。最高裁が真村さんの地位を保全しているのに、それを無視するかのようなやり方が、販売店主の間に大きな反発を呼び起こしたことはいうまでもない。

 YC広川を強引につぶした理由として、読売が持ち出してきた理由は、いずれも説得力に乏しいものだった。たとえば、真村さんの営業成績が悪いという理由。たしかに裁判が始まった後、真村さんが、実配部数をかなり減らしたことは事実である。

 しかし、読売は係争を機にYC広川を「死に店」扱いにして、ほとんどの販売店支援を打ち切ったのである。もちろん、販売店にとって必要不可欠な、セールス団の派遣も受けられないままだった。

 最高裁の決定の後、読売に対して、損害賠償の訴訟を提起したというのも改廃理由のひとつである。この裁判の被告には、渡邉恒雄氏も含まれている。改めて言うまでもなく、係争により失われた時間と経済的な損失の賠償を求めるのは、当然の権利である。

 さらに笑い話になるが、わたしに情報提供をしていたからという理由もあった。日本国憲法を理解している者では、まず、ありえない発想である。メディア関係者からは、「自分の首を絞める行為」との声も上がっている。

◇1月中にも判決
 新聞の供給をストップされた後、真村さんは、ただちに地位保全の仮処分申請を裁判所に申請した。これが第2次真村裁判の開始である。

 地裁では、真村さんが勝訴した。裁判所は読売に対して、YC広川に新聞の供給を再開するように命じた。ところが読売は、これを無視。その結果、1日につき3万円の間接強制金(制裁金)を支払うように裁判所から命じられた。

 これに対して読売は、裁判所に異議を申し立てた。その(仮裁判)異議審の判決は、1月中にも下される見通しだ。 (3200/3200全文公開)

 読売新聞西部本社と極めて親密な関係にあり、2001年頃から福岡県の久留米市を中心とするエリアで発生した一連の“販売店係争”で読売販売局と「協働・協力」関係にあった杉山繁喜店主が、2日、傷害容疑で逮捕された。産経新聞のネット版などが報じた

  福岡の販売店係争については、『新聞販売の闇と戦う』(江上武幸・真村久三著、花伝社)に詳しい。

  このところ読売新聞社に関係した不祥事が増えているようだ。産経新聞のネット版で報じられたものだけでも、次のような事件がある。

読売子会社の元課長を1000万円詐欺容疑で逮捕 大阪地検特捜部

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 読売の準備書面[4]で述べられた問題箇所を指摘すると際限がない。いずれ全文を紹介する機会があるかも知れない。興味がある読者は、福岡地裁で閲覧されることを勧める。事件番号と事件名は、「平成21年(ワ)第1083号 販売店地位確認等請求事件」である。準備書面の作成者は、自由人権協会理事の喜田村洋一弁護士ら4名。

◇事件の経緯
 さて、真村さんと読売の係争が始まったのは、2001年の5月である。真村さんは読売から、配達地区の一部返上を求められた。これを断った事に端を発して係争になり、2009年12月現在も解決に至っていない。

 この事件は、時系列的に2つの時期に区分することができる。1期は最高裁で真村さんの地位保全が決定する2007年12月までの時期である。

 第2期は、最高裁の決定が出た後の時期である。とはいえこれで係争が終わったわけではなかった。最高裁が地位保全を決定した7ヶ月後、読売は真村さんの経営するYCを強制改廃した。2008年7月の事だった。

 これにより係争の舞台は、再び裁判所に逆戻りする。

 真村さんに対する読売の主張は、膨大なページにのぼる読売側の準備書面に記録されている。その中には、誹謗・中傷とも受け取れる内容のものがかなり含まれている。本サイトで昨日と一昨日、2回に渡って紹介したのは、ほんの一部にすぎない。

 最高裁の決定が出る前の時期に、読売が行った真村さんに対する攻撃は、見方によっては許容範囲かも知れない。裁判所が最終的な判断を下すまでは、自分の考えを主張する権利があるからだ。

 ところが読売は最高裁で決着がついた後も、問題を蒸し返して、真村さんを攻撃しているのだ。新聞人らしく言論で攻撃するのであれば、まだしも司法の場で攻撃を繰り返している。

◇延々と個人攻撃
 わたしは真村事件というのは、重大な人権侵害事件だと考えている。前代未聞の事件である。なにが前代未聞かといえば、大新聞社がなんの後ろ盾もない個人を、8年間に渡って攻撃し続けていることである。しかも、攻撃の中身は、わたしから見ると誹謗・中傷である。

 8年間も個人攻撃を繰り返されたら、普通の神経の持ち主であれば、うつ病になりかねない。

  わたしは真村事件は、日本新聞協会や新聞労連で重大視すべき事件だと思う。介入すべきではないか。人権問題ではないかと思う。

  故斉藤茂男氏が、よく「社会病理」という言葉を使われていたが、エリート集団が一個人を執拗に追いつめている状況の裏に、わたしは社会病理が潜んでいるように感じる。その正体が何であるかを短絡的に決めつけることはできないが、わたしは受験体制や新自由主義が何らかの影響を及ぼしている可能性があると思う。

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 引き続き読売側の準備書面[4](作成は、自由人権協会理事の喜田村洋一弁護士ら4名)を紹介しょう。読者は次の記述を読んで何を感じるだろうか。司法制度そのものを否定する思想が読みとれないだろうか。

◇「被告に対する攻撃」

(略)
 原告(真村さん)は、本件訴訟及び別件訴訟で、多数の傍聴人を動員し、法廷を被告を攻撃する運動の場に利用している。原告は、別件訴訟において、審理の開始にあたり、裁判所が当事者又は訴訟代理人の意見を聞き、その後の審理・進行を考える上で参考にするという趣旨で行われる「意見陳述」を、その趣旨に明らかに反する形で行った。

  すなわち、原告は、別件訴訟の第1回口頭弁論期日で、原告本人とその訴訟代理人の計3名による合計約30分間もの意見陳述を要請し、さらに、第2回口頭弁論期日においても意見陳述を求めている。

 第2回口頭弁論期日で原告が求めた意見陳述はなされていないが、原告代理人が提出した「意見陳述」(平成21年1月20日付)を見ても明らかなとおり、それは損害の算定方法といった極めて技術的な内容であって、法廷でこのような意見陳述をしても訴訟の進行に全く役に立たないことは明らかである。

 原告の意図は、単に傍聴人向けに意見陳述をしたいということだけであり、このような原告の訴訟追行は、法廷という場を借りて被告に対する攻撃を行っていることに他ならない。

 論理を整理すると次のようになりそうだ。

1,真村さんが多数の傍聴人を動員して、法廷を読売攻撃の運動の場にした。

2、真村さんらが第1回口頭弁論で合計3名30分の意見陳述を行った。

3、第2回口頭弁論では、意見陳述は行われなかったが、意見陳述書によると、それは「損害の算定方法といった極めて技術的な内容」だった。

4、訴訟追行は読売に対する攻撃にほかならない。

◇意見陳述に反対
 端的に言えば、読売は意見陳述に反対しているのだ。傍聴にも反対しているように感じる。

  意見陳述は裁判の重要なプロセスである。傍聴者がいる場合は、特に必要不可欠というのが一般的な考え方である。

 そういえば読売は著作権裁判では、催告書の削除を求めてきた。結局のところ意見陳述を嫌うのも、催告書を削除させようとするのも、言論抑圧の思想が根底にあるからだろう。この点については、警察の思想や読売社史を再検証する必要もある。

 [1]に関して言えば、「族長」でもない真村さんに多数の傍聴人を動員する影響力があるはずがない。読売の販売政策が社会的に批判の的になっているので、機関紙などに折り込まれたビラを読んで多数の人々が傍聴に詰めかけるのではないか。

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 言論・表現の自由を尊重すべき新聞社が、裁判の準備書面でおかしな持論を展開している。読売独特の持論が述べられているのは、真村裁判(平成21年[ワ]第1083号)の第4準備書面である。書面を作成したのは、自由人権協会理事の喜田村洋一弁護士ら4名である。2009年9月28日付けである。

 まず、最初に紹介するのは、「(3)信頼関係の破壊・(エ)原告(真村)による被告(読売)への攻撃・(d)訴状の公開」の部分である。信頼関係が破壊されたので、真村さんとの商契約解除は正当という趣旨に沿って、「訴状の公開」を問題視する記述である。 

 「訴状の公開」とは、具体的にはわたしが2008年5月29日に「MyNewsJapan」に発表した「読売、最高裁が地位保全した店主を解任 また司法判断を無視」と題するルポに添付した真村裁判の訴状の公開を指している。

◇MNJの記事
 本題に入る前に記事の内容を紹介しておこう。引用はリードの部分である。

最高裁が昨年末に販売店主としての地位を保全したはずのYC広川(福岡)店主・真村久三氏を、読売新聞社が7月31日付で解任した。真村氏は改廃通告を受けた1カ月前から対策を練り、7月下旬に福岡地裁に地位保全の仮処分を申請、第1回審尋が8月7日に行われる。地位は再度認められる可能性が高いが、それを不服とする読売がさらに訴訟を続ける可能性も高い。狙いは司法制度を悪用した個人攻撃と考えられ、読売の司法軽視の姿勢が改めて見えてきた。

 わたしがルポに添付したのは、真村さんの弁護団が作成した仮処分命令申立書だった。わたしが取材して手に入れたものだから、何の違法性もない。

 ところが読売はこの件で真村さんに攻撃の矛先を向けたのだ。具体的に読売の準備書面から(d)の部分を引用してみよう。

  加えて、(真村さんが)別件訴訟を提起した2008年5月29日、インターネット上のウェブサイト「My News Japan」に、被告を誹謗中傷する記事とあわせて、訴状が掲載されたが(乙18)、この時点では、被告には訴状は送達すらされていなかった。被告は、外部メディアを通じて、原告による別件訴訟提起の事実を知らせたのである。

 提訴日に「My News Japan」に原告の訴状が公開され、原告本人のコメントや写真までも掲載されていたことからすると、原告が用意周到に、記事を執筆した自称フリージャーナリスト・黒薮哲哉(以下「黒薮」という)と共働し、事前に公表の準備をしていたこと、原告が被告を攻撃する意思を有していたことは明らかである。

◇取材源への攻撃
 読売の真村さん攻撃の本質は何か?結論から先に言えば、取材源に対する攻撃である。

 取材源に圧力をかけることで、報道を萎縮させる戦術は、最近のスラップの特徴だ。その典型としてオリコンが記事の取材源である烏賀陽弘道さん(職業はジャーナリストであるが、記事の執筆者ではない)だけを名誉毀損で訴えて、掲載誌の編集部は訴えなかった事件がある。また、新銀行東京のケースも同じで、取材源の男性だけが訴えられた。

 真村さんのケースも同じではないか。情報源である真村さんが攻撃され、わたしとMy News Japanは対象外になっている。

◇取材に応じる自由
 真村さん提訴の記事を書いたわたしの立場からすれば、読売の主張はメディア企業の視点とは思えないほど奇妙なものだ。ライターが入手した情報について、多方面に取材するのは当たり前である。訴訟関係の取材であれば、弁護士を取材するのが大原則だ。原告である真村さんの取材も不可欠になる。

 当然、真村さんにも取材に応じる権利はある。店をつぶされた当事者であるからだ。

 提訴の記事をメディア媒体に掲載した時点で被告に訴状が被告に届いていないケースは、特に珍しいことではない。それをもって取材源と「協働」したというのであれば、読売新聞社は報道に支障をきたすのではなだろうか。

   読売の主筆で新聞文化賞の受賞者、渡邉恒雄氏は、政界工作人としても有名だが、政治家と歩調を合わせてメディアで世論を形成する行為こそ「協働」ではないか?

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 新聞販売業界は普通の市民には、想像もできないどろどろとした世界である。それが具体的にどのようなものなのかを如実に語る生々しい資料が、古いファイルから出てきた。

 ここで紹介するのは、「平成14年(ヨ)第232号 地位保全仮処分命令申立事件」である。

 この事件は読売新聞・販売店(群馬県館林市)の店主が、地位保全を申し立てた事件である。裁判所は読売による販売店改廃を認める決定を下したが、決定(判決)で認定されている事実が興味深い。

 改廃の受入れを迫られていた店主に対して、ある有力な店主が「おみやげと称して現金1000万円を渡」したというのだ。

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 10月6日に、YC広川(福岡)の元店主・真村久三さんの損害賠償裁判と地位確認裁判(同時進行)の口頭弁論が開かれた。内容は、双方の号証の確認。

  関係者に話によると、書面が出尽くしたのを受けて裁判長は、主張立証に移ることを提案したが、原告・被告の双方とも主張事項が残っている事を明らかにしたため、立証は来年から行う予定になった。

 真村さんサイドは、読売の主筆で新聞文化賞の受賞者である渡邉恒雄氏の尋問を希望している模様だ。

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