「押し紙」の目的は、主として販売収入とABC部数のかさ上げである。従来は、販売収入のかさ上げが一次的な目的という見方が大勢を占めていた。ところが最近は、むしろABC部数のかさ上げを第一目的と考える見方が有力になっている。

 と、いうのも販売収入の一部を構成する「押し紙」代金で生じる販売店の負担は、折込チラシの水増しと補助金によって、かなりの部分が相殺されているからだ。

◇「押し紙」排除で広告収入が一気に吹っ飛ぶ

 「押し紙」によってABC部数をかさ上げして、紙面広告の営業を有利に展開するというのが新聞社の戦略である。

 新聞研究者の中には、日本の新聞社は米国の新聞社とは異なり、広告収入よりも販売収入に依存しているから、米国の新聞社のような経営難にはならないと主張する人も多いが、「押し紙」で広告収入をバブル状態に保ってきた事情があるので、「押し紙」が排除されたならば、広告収入も一気に吹っ飛んでしまう。

◇「押し紙」排除に反対
 毎日新聞・箕面販売所の「押し紙」裁判で、毎日が裁判所へ提出した裁判資料を検証してみると、日本の新聞社が採用してきた「押し紙」を柱としたビジネスモデルが濃厚に反映されている。

 たとえば山藤修一(仮名・近畿販売三部長)氏の陳述書を検証してみよう。山藤部長は、毎日新聞は販売店から減部数の申し出があっても、必ずしもそれに応じることはないと述べている。このような対処方法は、独禁法の特殊指定に抵触するのだが。以下、山藤部長の記述を引用してみよう。

(略)部数減に直ちに応ずるという無責任な対応は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招くなど、販売店の急激な収支悪化を招きかねず、健全な販売店経営の維持との観点からも、そのような対応は避けなければならないと思います。(略)

 (略)新聞販売店主さんからの一方的な申し入れで、協議することもなく、直ちに、部数を減らすことが出来るというのでは、あまりに不公平であって、これでは、新聞販売委託自体が成り立たないのではないかと懸念します。(略)

 (略)1470部から900部への大幅な部数減については、安易な部数減は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招くため出来るだけ避けたい対応であり、原告の池田(仮名)さんも覚えていると思いますが、当時も、私は、原告の池田さんに対し、こんなに減数してしまうと、人件費等の経費すら支出できない恐れがあり、補助金の一部にき支給もできなくなるし、年齢・販売意欲も考え合わせると、経営が成り立たなくなるので、考え直した方が良いと伝えていました。

 毎日の山藤部長は、「押し紙」の排除は「折込広告の収入」を減らすので、「押し紙」を維持した方が販売店のためにはメリットがあると主張しているのであるが、ここには、折込広告や紙面広告のクライアントに対する自責の念は感じられない。恐ろしい態度と言わざるをえない。

 広告のクライアントが、損害賠償訴訟を起こせば、毎日に勝ち目はないだろう。

 (参考記事:毎日新聞140万部“水増し詐欺”の決定的資料
 

◇揚げ足取りが常套手段
 なお、山藤部長の陳述書には、店主の個人攻撃とも思える個所が少なからずある。たとえば「留守番電話に再三、至急連絡をとの伝言を行っても、何らの連絡もない」等。

 この種の個人攻撃は、池田さんのケースに限ったことではない。真村裁判の原告である真村久三さんをはじめ、その他の販売店訴訟の原告・店主に対しても類似した攻撃が一般化している。いくつか具体例をあげてみよう。

、高級車に乗っているから、経営難に陥ったというのはおかしい。

、ゴルフに熱中していたから怠け者。

、家のローンを組んでいたから、「押し紙」で経営難になったというのは嘘。

、自宅に化粧品会社の看板を出していたから副業をしている。

 1~4のような例が事実かどうかは重要ではない。どのような人物であろうが、「揚げ足取り」の対象にすれば、なにか攻撃材料が出てくるのはあたりまえである。このような攻撃の方法は、生活保護を受けている人に対して、家に暖房があるから贅沢だと言っているのと同じレベルだ。

  「押し紙」裁判の焦点は、「押し紙」の有無と損害賠償の程度であるから、それ以外のテーマは別の裁判で争うべきだろう。(2400/2400文字・全文公開

 新聞各社が経営難に陥っている大きな原因のひとつに広告収入の落ち込みがある。聞くところによると、中央紙の場合、かつては1面(全面)広告は4000万円ぐらいの値段がついたが、現在では500万円を切ることもあるという。

 価格が下落した原因としては、世界的な不況を指摘する声が多いが、それだけではない。むしろ抜本的な原因は、広告主や消費者が求めるニーズに新聞広告が対応できなくなっていることが大きいのではないかと思う。

  紙面広告とインターネット広告では、消費者動向を知る上で、後者の方がはるかに有利だ。アクセス解析が出来るからだ。新聞広告では、広告効果すら把握できない。これではデータ不足で、市場競争を勝ち抜くことはできない。

  プロ野球でも今は、データが重視される時代なのだ。

 ちなみに日本の総広告費は、来年にもインターネット広告が新聞の紙面広告を上回るのではないかと言われている。新聞の購読者がどんどん減り、インターネットの使用者が逆に増え続けている状況のもとで、紙面広告を重視する企業は少ない。ほとんどメリットがないからだ。

 紙面広告は、インターネット広告に太刀打ちできないところまで来ている。

◇「押し紙」隠しと恫喝裁判
 新聞広告が広告主から見捨てられはじめている状況の下で、「押し紙」問題は新聞社にとって手痛い。「押し紙」には、チラシの水増し行為が付随しているので、この問題が経済界に浸透すればするほど、新聞広告離れに拍車がかかるだろう。

 読売がわたしに対して3件の裁判を仕掛けてきた背景も、このあたりにあるのかも知れない。少なくともわたしの知人たちは、そんなふうに考えている。

 たとえば著作権裁判では、読売の喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)が、問題となった催告書(わたしの解釈では怪文書)を作成したにもかかわらず、法務室長が作成した著作物という虚偽の前提に立って裁判を起こした可能性が認定された。【東京地裁で閲覧可能:事件番号は、平成20年(ワ)第4874号】

 しかし、わたしを弾圧したところで「押し紙」問題が解決するわけではない。「押し紙」は客観的な存在で、問題はそこから波及しているからだ。

◇安易な部数減は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招く
 毎日新聞・箕面販売所の「押し紙」問題を、紙面広告という観点から検証してみよう。本稿「①」で報じたように、毎日の代理人弁護士は、「押し紙」や折込チラシの水増し行為を正当化しているとも受け取れる書面を裁判所に提出している。具体的には、次の個所である。

※安易な部数減は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招く

※570部もの減数は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招く

 このような論理はまさに我田引水で、折込チラシを破棄される広告主の立場を考慮していない。チラシ破棄に良心に痛みを感じた店主が正常化を願い、「押し紙」の排除を要求しているのに、毎日は逆に、「押し紙」を排除すれば、折込チラシの収入が減るので思いとどまるべきだと言わんばかりの論理を展開している。

 しかし、「押し紙」が排除されて、不利益を被るのは店主ではない。実は、毎日新聞社こそが大きな不利益を被る。

 「押し紙」が排除されたならば、必然的にABC部数が減るので、紙面広告の媒体価値が下がる。その結果、紙面広告の収入にも影響を及ぼすからだ。

 こんなふうに考えると、「押し紙」によりABC部数をかさ上げする新聞社の行為は、まさに詐欺に等しい。たとえば260万部しか配達していないのに、400万部配達していると公言して、広告営業すれば騙しである。

◇毎日の広告主
 毎日新聞には、どのような企業が紙面広告を掲載しているのだろうか?注意を喚起する意味を込めて、12月26日付の毎日新聞から、おもな広告主をピックアップしてみよう。(参考:広告主リスト

1面:朝日出版、講談社出版サービスセンター、東海教育研究所、双葉社、法学書院、光村推古書院、

2面:幻冬舎

3面:講談社

4面:アストラゼネカ(全面)

5面:毎日新聞社

8面:加茂繊維株式会社

13面:かぶちゃん農園

14面:国土交通省関東地方整備局

15面:神戸製鋼グループ

16面:MBS、TBS

17面:日東印刷

19面:インペリアル・アートギャラリー

20面:ドコモ(全面)

21面:毎日新聞旅行

22面:ゴルフネットワーク

23面:八ツ目製薬

24面:ウェブクルー

25面:山田建設、グランド・ウエル

27面:わかもと製薬

28面:日本サプリメント

29面:BS11、毎日新聞東京センター

30面:WOWOW(4000/4000文字・全文公開

 毎日新聞と共同通信の提携問題に波紋が広がるなか、毎日新聞社の運命を左右しかねないもうひとつの重要事項が水面下で進行している。「水面下」と表現したのは、ジャーナリズムの光が当たらない領域であるからだ。

 毎日新聞・箕面販売所の所長が提起した「押し紙」裁判が終焉に近づく状況の下で、被告の毎日が物議をかもしそうな準備書面を提出した。

 折込チラシの水増し行為を毎日がみずから指揮していたとも解釈しうる内容で、他の毎日関連の販売店訴訟にも大きな影響を及ぼしそうだ。 広告主の怒りをかうのは必至だ。

◇箕面販売所の「押し紙」裁判
 この裁判は、2007年に同販売所の所長が、「押し紙」で被った損害・約6300万円の賠償を求めて大阪地裁に提訴したものである。裁判の最大の特徴は、所長が「押し紙」を断った証拠が明確に残っていることだ。

 これまでの「押し紙」裁判では、勝敗の分かれ目は、店主がはっきりと「押し紙」を断ったか否かにかかっていた。残紙があったことは立証できても、それを断った証拠がなかったために、損害賠償請求は認められなかった。

  これに対して、箕面販売所の所長は、内容証明郵便で再三にわたって新聞の搬入部数を指定していた。それにもかかわらず、毎日は過剰な新聞を搬入していたのだ。当然、内容証明郵便が「押し紙」を断った証拠として残っている。

 改めて言うまでもなく、この「押し紙」裁判では、店主が勝訴する確率が圧倒的に高い。実際、裁判所は和解を勧告し、その中で毎日に1900万円を(元)店主に支払うように提案した。しかし、毎日はこれを拒否。裁判は来年の1月25日に、元店主の本人尋問を行う段取りとなった。

◇毎日にとって命取りの準備書面
 こうした状況のもとで、毎日の高木茂太市弁護士らは、「準備書面(9)」を提出してきた。ところが、わたしが一読したところ、この準備書面の前半には、毎日の命取りにもなりかねないことが書いてあるのだ。正直なところ、わたし自身、びっくりした。

 毎日の主張は、新聞部数の「減数」は、店主の一方的な申し入れで決まるのではなくて、「原告・被告双方の意思の合致(合意)を要する」というのだ。つまり販売店も一定の部数は、負担する義務があると主張しているのだ。たとえば、高木弁護士らは次のように明記している。

(略)新聞販売業務の委託者たる販売店主は、担当する区域の購読者に対し、一定の責務を負っているにもかかわらず、販売店主は、一方的な通知を行うことによって、直ちに、部数を減らすべきことが出来るというのは、新聞販売委託契約における受託者(販売店主)の義務を不当にも看過し、被告側に過度に不利益を強いるものでしかないのではないか、(略)

 難解な文章である。わたしなりの解釈は次のようになる。

1、販売店は担当地区の部数に責任をもっている。

2、それゆえに、販売店が一方的な通知で部数を減らせると考えるのは、販売店の義務を看過し、新聞社に不利益をもたらす。

 改めて言うまでもなく、このような毎日独特の論理が通用するはずがない。と、いうのも独禁法の新聞特殊指定が、不公正な取引方法を次のように定義しているからだ。

 販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること(販売業者からの減紙の申出に応じない方法による場合を含む)

 毎日の持論が法律よりも優先されるはずがない。こんなことは法学生でも知っているのではないだろうか?

◇繰り返し「『折込広告の収入』の大幅な減少を招く」
 しかし、この記述よりも問題なのは、折込チラシの水増し行為を準備書面の中で認めていることである。

  難解な文章であるが、核心部分をそのまま引用してみよう。

 そもそも、被告としては、原告からの申し入れがあった場合、これを無視することなく、その都度、申し入れ内容を確認の上(必要な場合には、経営資料等の提出を求めて)、合理的な部数につき判断を行うとともに、他方において、安易な部数減は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招くなど、販売店の急激な収支悪化を招きかねないため、原告の健全な販売店経営の維持との観点も、総合的に考慮の上、可能な範囲で、最大限応じてきたものであって、直ちに、「違法」とする原告指摘は、かかる経緯を看過するものでしかない。

 店主が減部数を求めたのは、配達していない残紙があったからだ。当然、残紙にも折込チラシがセットになっている。

  この点を前提にして、高木弁護士らは、「安易は部数減は、『折込広告の収入』の大幅な減少を招く」と書いているわけだから、折込チラシの水増し行為により、毎日が利益を得ていることを認めたことになる。

  また、「被告としては、原告からの申し入れがあった場合、これを無視することなく、その都度、申し入れ内容を確認の上(必要な場合には、経営資料等の提出を求めて)、合理的な部数につき判断を行う」と述べているわけだから、
販売店の「押し紙」も把握しているということである。

 さらに次の記述も、折込チラシの水増しを主導していることを示す動かぬ証拠と言えるだろう。

 なお、この安易な部数減は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招くとの点については、甲第3号証記載の、平成17年5月19日行われた原告からの「900部」への減数要請に際しても、被告は、かかる要請に対して、直ちにこれに同意したものではなく、原告の年齢・販売意欲等、諸事情に照らし、

  かつ、被告担当者において、570部もの減数は、「折込広告の収入」の大幅な減少を招くとともに、補助金の一部につき支給ができなくなることを説明し、販売店の経営が維持できなくなるのではないかとの懸念まで示すも、それでも構わないとの、原告の認識を得た上で、ならばやむなしと応じたものの、残念ながら、平成20年12月末日をもって、原告は新聞販売店を廃業・終了するに至っているところである。

 この文章からも、毎日が折込チラシの水増しを知っていることが判明する。しかも、「押し紙」を減らせば「『折込広告の収入』の大幅な減少を招く」ことを、2度も繰り返し(赤文字)店主に種々のアドバイスを行っているのだ。(参考:広告主リスト

◇他の毎日裁判に与える影響
 高木弁護士らの筆によるこの準備書面(9)は、「押し紙」と折込チラシの水増しを柱とした毎日の販売政策を示す決定的な証拠である。今後、次の点に注目していきたい。

1、他の「押し紙」裁判で、毎日のビジネスモデルを示す証拠になる。

2、広告主が折込チラシの詐欺で裁判を起こした場合、詐欺の証拠になる可能性が高い。

3、公正取引委員会が、この準備書面をどう判断するか。(4000/4000文字・全文公開

 新聞販売黒書でたびたび報じてきた毎日新聞・箕面販売所の「押し紙」裁判が大詰めを迎えている。この裁判は、同店の店主が「押し紙」でこうむった損害の賠償として、6300万円の支払いを求めて、07年に提訴したものである。

  関係者によると、大阪地裁は毎日が約1900万円の和解金を店主に支払う案を示した。しかし、毎日がこれを拒否。そのために来年の1月24日に、店主の本人尋問が行われる見込みになったという。

  裁判所が一定の和解金を提示しているにもかかわらず、毎日がこれを受け入れなかったのであるから、当然、

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 全印総連(全日本印刷出版産業組合総連合会)は、6日の正午から、東京・一ツ橋の毎日新聞社前で、販売店の改廃事件を知らせる街頭宣伝を行った。この日、ティッシュペーパーと一緒に配布されたチラシは約500枚。毎日による売店改廃や団交拒否を非難する内容になっている。

 また、千代田区労協の街宣車が出動して、元店主がみずからマイクを手に改廃の体験談を語った。新聞のビジネスモデル崩壊や「押し紙」の実態、福岡の対読売訴訟についても紹介された。

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 全印総連は19日、練馬区内の毎日新聞・旧S販売店の配達区域で、同店の強制改廃事件とその後の経緯を伝えるビラ2000枚を全戸配布した。配布作業には、全印総連のメンバーのほか、支援者など7人が参加。一戸建ての住宅を中心に、約1時間半にわたってポスティング作業を行った。

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 都内練馬区の毎日新聞S販売店が強制改廃されて、ひと月が過ぎた。この改廃事件は、昨年の末にさかのぼる。店主の梶原(仮名)さんが、「押し紙」を断ったところ、毎日は補助金を減額した。新聞代金の納入が滞り、梶原さんは改廃通知を受けた。そこで東京地裁に地位保全の仮処分命令を申し立てたが、7月28日に棄却された。

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堂々と「押し紙」を回収。「押し紙」世界一。
新聞販売黒書の主宰者・黒薮哲哉の著書紹介
配達されずに破棄される折込チラシ
 
 
 
 
 
 
 
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