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新聞業界と政界の癒着が徐々に明るみに出ているが、両者の関係はすでに10年以上も前に始まっている。当時の新聞関係者は、ジャーナリズム企業が特定の政治家と関係を持つことに対する罪悪感などあまり感じなかったのか、業界団体の会報などに、その親密ぶりが詳しく記録されている。
たとえば販売店主の全国組織である日販協(日本新聞販売協会)が発行している『日販協月報』。1998年の5月号には、日販協が主催した特別講演会で読売の渡邉恒雄社長(当時)が行った講演などが掲載されている。その中に気になる発言がある。次の箇所である。
日販協の議員連盟(黒薮注:新聞販売懇話会のこと)の会長は小渕恵三外務大臣で、恐らく次の総理大臣になる人だと思います。会長代行は日経新聞出身の中川秀直議員、事務局長は亡くなった参議院議員の山本富雄さんの息子さんで国会議員になられた
山本一太さん。この人は4代目の販売店主で、生粋の新聞販売一族の人が事務局長をやってくれている。これは非常に強力な組織であります。
この発言に先立って、渡邉氏は再販を守る運動にふれ、日販協と新聞協会を比較する。日販協は「その政治的な力は大変なものであります」とか、再販維持の運動で「500万の署名を集めたときは私もびっくりした」と、褒め称える。
一方、「新聞協会はこれに比べると、あまり強力な政治力がない」という。「当然ですが社論がみんな違いますし、」・・・・「だからこそ日販協の力に我々も期待せざる得ない。日販協は政治連盟を持って政治活動もできる団体だが、新聞協会は政治活動のできない団体であるということで、たいへんに差がある」。
具体的に渡邉氏が期待を寄せていた新聞販売懇話会の議員たちが、小渕、中川、山本の各氏と言えよう。
それにしても「日販協の議員連盟の会長は小渕恵三外務大臣で、恐らく次の総理大臣になる人だと思います」という渡邉氏の推測はずばり的中した。
小渕氏が総理に就任したのは1998年の7月30日である。一方、渡邉氏が上記の予想発言をしたのは4月10日である。政界をよく知っているから、次の総理がだれになるのか予測がついたのだろうか。それとも希望的な予想発言が、たまたま的中したということだろうか。
ちなみに8月の衆議院選挙では、小渕恵三氏の娘である小渕優子議員が日販協政治連盟から推薦を受けている。
新聞文化賞を受賞したとはいえ、政界と親密な関係にある新聞人が率いる新聞社が、どのような主張を掲げ、そのような販売政策を実施し、どのようなメディア対策を採用しているのか、今度、さらに詳しく検証する必要がある。

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