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電磁波といえば、かつて北陸地方の山間部に出没した「白装束」の集団を連想する読者も多いのではないかと思う。宗教色をおび、左翼が電磁波で自分たちを攻撃するという妄想に取り憑かれた集団である。
関西で基地局問題の取材をする中で、電磁波問題に詳しいAさんから「白装束」の話を聞いた。それによると「白装束」は、電磁波過敏症の人々の集まりらしい。過敏症であるがゆえに、電磁波が極めて少ない山間部で生活しているのだ。
ちなみに電磁波過敏症について考えるときは、次の事実を踏まえておかなければならない。電磁波過敏症は妄想ではなくて、客観的な「病気」「症候群」である事実である。
花粉症や化学物質過敏症は、すでに認知されているが、電磁波過敏症については、まだ市民権を得ていない。しかし、これは客観的に存在している身体の異常である。事実、北里研究所病院では、電磁波過敏症の診断も行っている。
人間の神経細胞の中には、超微弱の電流が流れているわけだから、そこに電磁波を当てれば、何らかのリアクションが起こってもおかしくない。
KDDI延岡大貫訴訟の原告30人のうち、3名は北里研究所病院で電磁波過敏症と診断されている。
症状としては、耳鳴り、頭痛、鼻血、不眠、うつ、疲労などさまざまだ。Aさんによると、重症になると自殺や自殺未遂もあるそうだ。苦しさのあまり、妄想的なことを口にする人もいるという。
電車に乗るのも苦しい。電車は金属の箱であるから、その中で携帯電話の電磁波が反射しあって、電子レンジのような状態になっているからだ。
◇宗教が入り込む隙間
「白装束」の集団は、まさに電磁波から逃げてきた人々の集まりなのだ。問題は、自分たちが置かれた立場を、科学の視点から解釈しなかったことである。
1980年代から90年代にかけて、ペルーの山間部に、センデロ・ルミノソ(輝く道)という極左の武装集団が勢力を広げた時期がある。センデロ・ルミノソは、地域の支配者を村の広場で処刑するなど、極めて過激な戦術を取った。しかし、一時的に住民の大きな支援を受けることになる。
その背景には、革命で社会が動くことを住民が初めて知ったからだと言われている。が、この事実は裏を返せば、住民たちが、いかに抑圧されていたかを物語る証でもある。あまりにも悲惨な情況に置かれると、人間は「解放者」に惹かれるのかも知れない。そこに宗教が入り込んでくる隙間があるのではないだろうか。
日本のマスコミは、「白装束」をオウムと同じレベルで報じていたが、これは大きな誤りだ。視点を間違った。このような集団を生んだ背景として、産業の発達をあくまで優先させ、弱者を切り捨ててはばからない国策があるように思う。
◇IT戦略をジャーナリズムの視点から検証
電磁波過敏症の発症率は、たとえばカナダでは10%程度。日本には統計すらないが、すでにかなりの人々が発症している可能性が高い。ただ、電磁波過敏症という概念がないので、体調が悪くなっても、その原因を電磁波以外のものにむつび付けている可能性が高い。
改めて言うまでもなく、ケイタイ基地局が林立すると、あたり一帯に煙のようにマイクロ波をまき散らすことになる。目には見えないが、マイクロ波は肉体を蝕む牙である。当然、電磁波過敏症を発症する人が増えてくる。
iPadが日本でも販売された。世界的な規模でIT化が進むなか、このあたりで歯止めをかけなければ、大変なことになる。新聞はiPadが発売された記事を掲載する前に、利便性の追及が人間にとって本当に有益なのか、立ち止まって考える機会を提供すべきだろう。それがジャーナリズムの役割であるはずだ。しかし、日本の新聞はコマーシャルの役割を果たしている。
国策としてのIT戦略の背景に、電話会社の権益があることは疑いない。(全文公開)

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