• ご覧になろうとした記事は有料購読した方のみ閲覧できます。
    すでに会員登録が済んでいる方はこちらからログインしてください。
  • ご覧になろうとした記事は有料購読した方のみ閲覧できます。
    すでに会員登録が済んでいる方はこちらからログインしてください。
  • ご覧になろうとした記事は有料購読した方のみ閲覧できます。
    すでに会員登録が済んでいる方はこちらからログインしてください。
PKO賛美の読売、戦争を知らない団塊の世代、海外派兵の本質と危険性を見抜けず(全文公開)

 2月7付け読売新聞の1面に、戦闘服姿の2人の父親が子供を腕に抱き抱え、別れを告げている写真が掲載されている。カリブ海のハイチにPKO活動に向かう自衛隊員の姿である。キャプションは大文字で、「行ってきます」。

  同日の社説は、「自衛隊の活動の幅を広げたい」。

  読売は改憲論で知られている。彼らがPKOを論じるとき、欠落している重大な視点がある。それは海外派兵の究極の目的にはふれずに、建前論を展開していることである。

◇真実は多国籍企業の防衛
  自衛隊の海外派兵の問題は、わたしが記憶する限り、1990年代になってから取りざたされるようになった。当時、日本企業が盛んに生産の拠点を日本から海外の発展途上国へ移していた。わたし自身もメキシコでそのお手伝いをしたことがある。

 海外派兵の真の目的は、海外へ進出した多国籍企業を政変から防衛することである。読売の社説は、このあたりの視点が抜け落ちているのだ。

 発展途上国では、欧米並の民主主義が確立されていないところが多い。そのために政情が不安定な場合がままある。多国籍企業にとって、最も大きな懸念材料は、予期せぬ政変である。せっかく人件費や材料費が安い海外へ生産の拠点を移したのに政変が起きて、新政府により最低賃金が底上げされたら、海外進出のもくろみが狂ってしまう。

 このような状況になったときに、国際貢献を口実として、自衛隊を現地に派兵して、「治安を回復する」のが海外派兵の真の目的である。そのためにPKO活動で派兵の既成事実を重ねているのだ。

◇ラテンアメリカに見る米軍の介入
 海外派兵と多国籍企業の関係を考える場合、ラテンアメリカにおける米国の軍事介入に焦点をあてると分かりやすい。派兵の本質が見えてくる。年代順に米軍による軍事介入(軍事訓練の指導も含む)とCIAによる介入を追ってみよう。

■1954年 グアテマラ

■1961年 キューバ

■1964年 ブラジル

■1965年 ドミニカ共和国

■1971年 ボリビア

■1973年 チリ

■1979年~ニカラグア内戦

■1980年~エルサルバドル内戦

■1983年 グレナダ

■1989年 パナマ

■2002年 コロンビア

 現在も米軍によるコロンビア介入の兆しがあるが、今世紀に入ってからは、かつてのように露骨な軍事介入は出来なくなっている。民主主義が成熟してきたからである。非軍事の世界的な流れが顕著になってきたのだ。

◇防衛するものは多国籍企業の権益
  なぜ、米軍やCIAがラテンアメリカ投入されてきたのだろうか。個々のケースで事情は異なるにしても、基本的な考え方として、多国籍企業がラテンアメリカを自国の裏庭にしてきた事情がる。その裏庭で「政変」が起きると米軍やCIAが出動して、それを鎮圧する構図があった。

  たとえば1954年にCIAが起こしたグアテマラのクーデター。当時のグアテマラは、民主的なかたちで資本主義を発展させることを基調とした政権だった。しかし、政府が農地改革の中で、米国のUFC(ユナイテッド・フルーツ・カンパニー)の農地に手をつけたとたんに、クーデターで倒された。

 その後、グアテマラは反政府ゲリラとの間で30年を超える内戦に突入する。クーデターの直後、ニクソン(後に大統領)は、「グアテマラに民主主義が戻った」と発言している。

  1973年のチリの軍事クーデターも、多国籍企業の権益と深くかかわっている。チリは銅の産出国である。その銅山を所有すのは、米国の多国籍企業だった。70年に社会党と共産党を中心とする人民連合が成立すると、アジェンデ政権は、銅山を国有化した。

  CIAが関与した軍事クーデターが起こったのは73年の9月11日である。人民連合の支援者は殺害されり、亡命を余儀なくされた。アジェンデ大統領は自殺した。その後に成立したのは、ピノチェト将軍による軍事政権だった。(ちなみにピノチェトは、晩年になってから、人権侵害などで裁判攻めにされた。妥当な対抗策といえよう)

  80年代のニカラグアへの軍事介入は、直接多国籍企業の権益とは関係ないが、(ただ、運河の建設を巡る米国利権説はある)構図としては同じである。ニカラグアは、独裁者ソモサ一家の独壇場だった。ソモサは米国を後ろ盾として、ニカラグアの政治から、経済・軍事に至るまで約40年に渡って私物化していた。その見返りに安価なコーヒーなどがニカラグアから米国へ輸出された。

  さらに米国がニカラグア革命に介入したのは、民族自決運動の波が中米全体に広がって米国のフルーツ会社などの権益を侵すことを懸念した事情もあったようだ。

 いずれにしても自国の権益を守るために米軍の投入が行われてきたのである。これが歴史の事実である。米軍と日本の自衛隊の関係について考察するとき、これらの事実を無視することはできない。

◇読売社説は低レベル
  新聞が海外派兵を国際協力であると「宣伝」すると、国民は異論を唱えにくい。国際協力そのものを否定する理由はどこにもないからだ。こうして日本の自衛隊は、海外派兵の既成事実を積み重ねていく。そして日本企業の進出先で政変が起こったときは、米軍と一緒に「治安維持」のために現地に赴くのだ。

 このあたりの危険性を指摘するのが、新聞ジャーナリズムの役割だと思うのだが、読売にその資質はないようだ。(3800/3800、全文公開

広告画像
ゴーストライター
堂々と「押し紙」を回収。「押し紙」世界一。
新聞販売黒書の主宰者・黒薮哲哉の著書紹介
配達されずに破棄される折込チラシ
 
 
1
 
2
 
3
 
4
 
5
 
6
 
7
 
8
 
9
 
10
 
11
 
12
 
13
 
14
 
15
 
16
 
17
 
18
 
19
 
20
 
21
 
22
 
23
 
24
 
25
 
26
 
27
 
28
 
29
 
30
 
31