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渡邊恒雄氏の「販売第一主義」、『読売新聞百二十年史』にも記録

 読売の渡邊恒雄会長は、同社の販売政策にどの程度かかわってきたのだろうか?。業界紙などの報道によると、渡邉氏は現在の経済状況の下でも、「読売1000万部」の堅持を呼び掛けているようだ。

◇「渡辺社長の販売第一主義」
 高齢とはいえ読売のトップが販売政策を指導することになんら不思議はないが、販売店サイドから苦情がわたしの耳に入っているのも事実である。その大半は、いくら渡邉氏の指示とはいえ、新聞離れの時勢で現状の部数を維持するのは至難の業だというのだ。

 渡邉氏と販売政策のかかわりを、『読売新聞百二十年史』を手がかりに検証してみよう。『読売新聞百二十年史』の583ページに、渡辺氏と新聞販売政策の関係を示す記述がある。見出しは、「渡辺社長の販売第一主義」である。

 九一年七月八、九の両日、東京読売会と読売七日会の平成三年度総会が東京・紀尾井町のホテル・ニューオータニで開かれた。務台名誉会長の逝去に伴い本社の経営陣が新しい体制になってから初めての販売総会で、あいさつに立った渡辺恒雄社長は、

紙面と社論に自信を示すと同時に「これからは販売第一主義を採る」と宣言、言論の自由を守るため、労務難に直面している宅配制度の維持に全力をあげる方針を明らかにした。

 渡邉氏が読売の販売第一主義を決定した事実が記録されている。渡辺氏が打ち出した方針は、販売関係者にも大きな影響を及ぼしたようだ。『読売新聞百二十年史』には、次のような記述がある。

 「販売第一主義」の表明は販売の第一線に携わるYSCの人々の間に大きな反響を呼んだ。販売総会での渡辺社長のあいさつを受けて、酒井通友・東京読売会会長は「務台名誉会長を亡くし、失意のどん底にあったが、本社は電光石火の速さで新たな指導体制を確立した。

これは、いかなる危機にも動じない務台イズムの継承を内外に知らしめたと言え、誠に心強い。『販売第一主義』を聞いて、ありがたいと思うとともに責任の重さを痛感している」と述べた。

また川合勝田・読売七日会会長は「販売が重要だとおっしゃる渡辺社長の言葉に対し、われわれは心機一転やらなければならない」と決意を示した。

◇部数を力に政界へ
 渡邉氏が販売第一主義を採用したのは、部数を力に、読売の影響力を強める意図があったからかも知れない。事実、渡邉氏はその後、改憲論を打ち出したり、政治家との関係を密にするようになる。(1300/2300文字◇販売政策で人生を狂わされた店主も

 渡邉氏は世論誘導の道具となる巨大部数を握っていたから、新聞人でありながら政界工作が可能になったのではないか。

 しかし、部数増加に伴い読売が影響力を増す半面、かなり強引な販売政策が採られて来たようだ。たとえば真村裁判の福岡高裁判決は次のような事実を認定している。

 読売は、一方では定数と実配数が異なることを知りながら、あえて定数と実配数を一致させることをせず、定数だけをABC協会に報告して広告料計算の基礎としているという態度が見られるのであり、これは、自らの利益のためには定数と実配数の齟齬をある程度容認するかのような姿勢であると評されても仕方がないところである

  新聞販売店が虚偽報告する背景には、ひたすら増紙をもとめ減紙を極端に嫌う読売の方針があり、それは読売の体質にさえなっているといっても過言ではない程である

◇販売政策で人生を狂わされた店主も
 「押し紙」問題を検証する場合、渡邉氏が打ち出した販売第一主義とは何かをもっと詳しく調べる必要がある。それを正確に記録しておくべきだと思う。と、いうのも読売の販売政策によって、人生をむちゃくしゃにされたYC店主が複数いるからだ。

 改廃事件があるたびに、わたしは読売関係者の想像力について考えざるを得ない。容易に店主を改廃することで、店主本人だけではなくて、その家族までも影響を受ける。この点についてもっと深く考えるべきだろう。


 

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