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真村事件を「人権問題」として認識する人々が増えている。この事件は、新聞販売黒書でも繰り返し報じてきたように、2001年に読売がYC広川の店主・真村久三さんに対して、営業・配達地域の一部返上を申し入れたことに端を発している。
真村久三さんは、当然、読売の申し入れを断った。その後、読売は真村さんに改廃を通知。両者の間で本格的な裁判が始まった。原告と被告は次の通りである。
原告:真村久三
被告:読売新聞西部本社
◇真村事件の概要
福岡地裁小倉支部が真村さんの地位を仮に保全した後、地裁判決は2006年に、高裁判決は2007年に下され、いずれも真村さんが完全勝訴した。さらに2007年の12月には、最高裁が高裁判決を認定して、真村さんの勝訴が確定する。店主としての地位が保全されたのだ。
本来であれば、司法判断が下されたこの時点で事件は解決していたはずだ。
ところが、その約半年後に読売はYC広川への新聞の供給を一方的に止めた。最高裁が真村さんの地位を認定しているにもかかわらず、読売は真村さんを失職に追い込んだのである。
当然、真村さんは再び地位保全を求めて仮処分命令を申し立てた。これ以外にどんな選択肢もなかった。福岡地裁も真村さんの訴えを認めて、読売に地位保全と新聞の供給再開を命じた。ところが読売はこの命令を踏み倒したのである。
そこで裁判所は読売に対して1日につき3万円の間接強制金(制裁金)を真村さんに支払うように命じる。(間接強制金については、命令に従っている)
その後、読売の申し立てに従って異議審が行われたが、裁判所は再び読売に対して、真村さんを復職させ、YC広川へ新聞の供給を再開するように命令を下した。が、読売はこの命令も無視。さらに保全抗告を申し立てたのである。
従って真村さんは、現在も地位保全をめぐる係争の渦中にある。
こんなふうに読売は敗訴しても、次々と司法手続きを踏んで真村さんに対抗してきた。裁判は2001年から続いており、これまで真村さんの6連勝、読売の6連敗である。
◇大新聞社VS1個人
弁護団を除いてなんの後ろ盾もない1個人に対して、世界最大の新聞社が延々(2001~)と攻勢をかけている事実は重大だ。ある意味では地位保全の是非よりも、こちらの方が憂慮すべき事態である。
もし、攻撃を仕掛けているのが一般の企業、たとえばサラ金業者であれば、まだ、うなずける。「あの企業であればやりかねない」という評価があるからだ。
しかし、ジャーナリズムの旗を掲げた大新聞社が何年にも渡って1個人と「がっぷりよつ」に組み合って、相手を失職させようとしているとなれば、日本の新聞ジャーナリズムの信用問題に発展する。渡邉恒雄主筆の新聞文化賞受賞はなんであったのかという疑問すらも生じてくるのだ。
ちなみに真村さんに対する読売の方針は、裁判の持続だけではない。YC広川を「死に店」扱いにしたり、販売店への補助金を差別的に部分カットするなどの策も取っていた。さらに販売店にとって不可欠なセールス団の派遣も店主会により中止された。
つまり読売は真村さんを失職させるためならば、司法判断の無視をも厭わず、公然とした差別まで容認してきたのである。
ちなみに最高裁が真村さんの地位を保全する決定を下した後の2度目の解任理由として、真村さんがわたしに情報を提供したという内容も含まれている。読売が言及したのは、最高裁で判決が確定した後、真村さんが読売に対して起こした損害賠償裁判である。読売の準備書面は、わたしへの情報提供について次のように述べている。
提訴日に「My News Japan」に原告の訴状が公開され、原告本人のコメントや写真までも掲載されていたことからすると、原告が用意周到に、記事を執筆した自称フリージャーナリスト・黒薮哲哉(以下「黒薮」という)と共働し、事前に公表の準備をしていたこと、原告が被告を攻撃する意思を有していたことは明らかである。
報道を重視するメディア企業とは思えない記述である。
◇読売の方針を誰がサポートか?
参考までに読売の方針をサポートしている代理人弁護士の名前も明記しておこう。
喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)
近藤真弁護士
その他2名
自由人権協会に対しては、近々に公開質問状を提出する予定。
◇真村事件における3つの異常
さて、真村事件に対して、最近、人権問題ではないかとの声が上がっている。4日、わたしはTwitterで次の情報を発信した。
YC広川の真村裁判:読売が保全抗告。真村さんに対する攻勢は、2001年から続いている。裁判で負けても負けても、読売は裁判で対抗してくる。真村さんの支援者からは、「人権問題では」との声も。現在、読売の6連敗。
これを受け、司法関係者も含めて数人の方が、「リツイート」して下さった。なぜ、人権問題なのだろうか?
わたしの意見になるが、まず、第1にそれは長期に渡る個人攻撃であるからだ。2001年に始まった係争であるから、実質、8年から9年の長期間に渡る。
しかも、裁判によって、真村さんはかなり生活を破壊されている。特に経済的な損害が大きいようだ。
第2に攻撃している者が、世界最大の新聞社という点である。極めて異例といわなければならない。たとえば『ニューヨーク・タイムズ』では、絶対に起こり得ない事態だ。
読売はジャーナリズム企業であるから、「真村憎し」であれば、ペンの力で真村さんを社会から排除すればいいわけだが、読売は裁判という方針を取ってきた。事件が公になるのを嫌ったのが原因かも知れない。
第3に読売が司法命令に従っていない事実である。裁判所は繰り返し、YC広川への新聞の供給再開を命じているのに、読売はそれに従っていない。
◇新聞社のレベルを露呈した真村事件
わたしが不思議に感じるのは、真村事件に対して、なぜ、新聞人は沈黙を守っているのかという点である。読売の新聞記者に対して、ジャーナリズムの精神を発揮しろというのは酷だが、他社の記者であれば、取材して告発することもできるはずだ。
まさか事件を知らないということはないだろう。週刊新潮やマイニュースジャパンはこの事件を繰り返し報じている。
新聞ジャーナリズムが機能しなくなったとよく言われるが、真村事件を黙殺するところに、日本の新聞社のレベルがよく現れているのではないだろうか。ジャーナリズム企業でありながら、自分たちの足元の問題に対して、何の声も上がらないのは異常だ。
ちなみにネット上、特にTwitterでは、新聞社に対する批判が高まっている。
◇すべてを記録・保管・公開
読売が真村さんに対する攻撃を止めないのであれば、広告主や住民、人権擁護団体、政党に協力を求めるよりほかに選択肢がなくなる。それでもかわまないというのであれば、同じ方針を貫けばいい。新聞販売黒書は、裁判資料も含め、すべてを記録・保管していく。当然、資料の公開も前提になる。(4600文字、全文公開)

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