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NIEをご存じだろうか。NIEとはNews in educationの略である。学校教育の中で新聞を普及させる運動で、日本新聞協会がイニシアチブを取ってきた。
その甲斐があったのか、新学習指導要領に学校の授業で新聞の利用が明記された。
これと類似した運動に、日販協が推進している「すべての教室へ新聞を」運動がある。俗に「すべ教」。『日販協月報』(2010年1月)によると、「すべ教」運動の実施校が昨年の12月で1563校になったという。
さらに日販協は、教育界への新聞のアピール活動をさまざまな形で実施している。たとえば『日販協月報』(2010年2月)に次のような記述がある。
次いで新聞普及に向けた取り組みでは、高橋会長から提案が出された。
「現在、『新聞力・再発見』試読キャンペーンを進めているが効果はいまひとつとの報告が上がっている。そこで第2弾を企画した。元NHK記者でニュースキャスターの池上彰氏の著作『小学校から「新聞」を読む子は大きく伸びる!』(すばる舎刊)を受けて、『新聞は学力を高めるもう1つの教材』とのキーワードを掲げ、教育に密着したキャンペーンで効果向上を図っていきたい」と提案した。
新聞の教育効果を重点的にアピールしたリーフレットの制作、販売店掲示用のポスター制作などを検討しているとし、さらに意見を集約し内容も詰めていきたいとした。
◇政治献金を受けてきた中川顧問
今年は「国民読書年」である。この運動を中心になって推進しているのが、新聞社と親密な関係にある活字文化議員連盟(会長は、民主党の山岡賢次氏、顧問は中川秀直氏)である。
同議員連盟の中川顧問は、長年にわたって新聞業界から政治献金を受けてきた。「国民読書年」の運動は、新聞離れが進む中で苦境に陥っている新聞業界の意向を受けて、スタートしたと解釈しても大きな誤りはないだろう。
しかも、この運動に再販制度など新聞業界の既得権益を守る運動が連動している。たとえば新聞文化賞の受賞者で、「発行部数」世界1位を誇る読売の主筆であり、会長でもある渡邉恒雄氏は1月27日に開かれた新春懇話会で次のように述べている。
「活字文化への消費税率は上げるべきではないし、再販制度も守っていかなければならない。国民読書年の今年、新聞業界と出版業界が手をつなぎ、議員連盟とも協力して活字文化向上のための活動を行っていきたい」(『新聞情報』)
読書指導そのものはなにも悪いことではないが、「国民読書年」は少なくとも2点、大きな問題を孕んでいる。
◇本質は新聞ビジネス
まず、第1にこの運動には、国家を巻き込んだ新聞社の営業戦略の側面も感じられ、既得権を守る運動と解釈できることだ。多様な文化人を運動に引き込むことで、ビジネスという本質的な部分をカモフラージュしているに過ぎない。
新聞業界と政界が癒着しているから、このようなキャンペーンが可能になるのだ。2006年の上半期に新聞人らが政界と結託して展開した特殊指定を守る運動と同程度に悪質だ。
◇新聞は文化的遺産ではない
第2の問題点として、何を根拠にして新聞を読む事と読解力の向上を結び付けているのかという疑問である。科学的な根拠に乏しいのだ。新聞を毎日読めば、読解力が向上するかも知れないという漠然とした教育観しかない。
改めて言うまでもなく教育の目的は、人類の文化遺産を後世に伝えることである。従ってテキストに採用する教材も、ある程度の評価が定まったものでなければならない。当然、こうした教材は、繰り返し読むに価するものだ。
ところが新聞の文章には2度、3度と読み返す価値はない。慣用句が多く使われているので、日本語の語感を養う上でもふさわしくない。それどころか慣用句に頼るようになり、自分の言葉で表現する能力を摘み取ってしまうかも知れない。
わたしは筋力が発展途上にある幼児に、パーベルを使ったウエイト・トレーニングを課すような、恐ろしさを感じる。(2400/3000文字)

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