1. 21日から大津地裁で滋賀医科大病院事件の尋問を開始、被告・泌尿器科の成田准教授と河内教授は12月17日に出廷

滋賀医科大病院事件に関連する記事

2019年11月15日 (金曜日)

21日から大津地裁で滋賀医科大病院事件の尋問を開始、被告・泌尿器科の成田准教授と河内教授は12月17日に出廷

滋賀医科大学医学部附属病院をめぐる事件の裁判は、まもなく本人尋問と証人尋問に入る。この裁判は、泌尿器科の河内明宏医師と成田充弘医師に対して4人の患者が説明義務違反を理由に、損害賠償を求めたものである。

請求額は原告1人につき110万円。この額から察して、実質的な損害を回復するための訴訟というよりも、成田医師と河内医師が原告らに対しておこなった医療に対する責任を司法認定させることが目的である可能性が高い。

既報したように、この事件の発端は、本来は岡本医師が担当するはずだった患者を成田医師らが、みずからの外来に誘導して、小線源治療を実地しようと企てたことである。しかし、小線源治療が未経験の成田医師が治療を担当するまでもなく、滋賀医科大付属病院には、小線源治療に関しては、この分野のパイオニアで卓越した治療実績を持つ岡本圭生医師がいて、1200件(現時点)を超える治療を行ってきた事実がある。

当然、成田医師らは、インフォームドコンセントの際に、患者らに対して岡本医師の治療を受ける選択肢もあることを告げる必要があった。成田医師はそれをしなかったばかりか、手術の前段で不要な医療措置を行い、その結果、標準的な小線源治療を受けられなくなった患者や、元々、小線源治療は適用除外だった患者などが続出したのである。

たとえば原告のAさんは、手術の前段でホルモン療法(一種の抗がん剤治療)を1年にわたって受けさせられた。その結果、前立腺そのものが委縮してしまい、手術を受けるためには、前立腺がある程度まで元の状態に回復するのを待たなけばならなかった。そのうえ手術後の放射線治療が不可欠となった。

原告らは大学病院当局に対して、説明と謝罪を求めたが、塩田学長らはそれを拒否した。そして岡本医師を大学病院から追放することで、事件のもみ消しに走ったのである。そこで2018年8月、4人の被害患者らが提訴に及んだのだ。

なお、この裁判は、岡本医師による小線源治療を妨害しないように求めた仮処分申し立てとは別件だ。

尋問のスケジュールは次の通りである。

【11月21日(木)】
午前 10時半から12時:岡本圭生(医師)証人

【11月29日(金)】
13時10分~14時半:河野直明(医師)証人
14時半~15時半:塩田浩平(学長)証人
15時半~16時半:松末吉隆(院長)証人

【12月17日 火曜日】
10時~10時半:A原告
10時~11時:B原告
11時~11時半:C原告
11時半~12時:D原告
13時半~14時50分:河内明宏(医師)被告
14時50分~16時10分:成田充弘(医師)被告

※法廷は、いずれも大津地裁

【参考書籍】
事件の全容は、拙著『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』緑風出版)に詳しい。(右上写真)

【参考記事】
また、裁判の提訴については、朝日新聞の次の記事に詳しい。

 「医師、未経験の治療だと説明せず」 がん患者ら提訴へ