1. 『週刊朝日』が滋賀医科大病院の小線源治療をめぐる事件を報道、名医の追放を問う

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2019年06月02日 (日曜日)

『週刊朝日』が滋賀医科大病院の小線源治療をめぐる事件を報道、名医の追放を問う

滋賀医科大学附属病院の小線源治療(前立腺に放射線を放つシード線源を埋め込む癌治療)をめぐる事件の報道が活発になっている。関西では、NHKを除く主要なメディアが裁判の判決など、事件の節目ごとに取材して、報道してきたが、5月末になって、『週刊朝日』もこの事件を取り上げた。事件報道は、滋賀県から全国区へ広がりはじめている。

『週刊朝日』は、6月7日号で『前立腺がんの放射線治療“患者ファースト”貫く医師が滋賀医大病院を追われる理由』というタイトルの記事を掲載している。執筆者は、この事件を最初から取材している出河雅彦記者である。

事件は、前立腺癌患者に対する小線源治療の手術経験のない成田充弘医師が、上司である河内明宏医師から命ぜられ、みずからの未経験を患者に隠して手術を行おうとしたのを、岡本圭生医師が止めたことがひとつの引き金となっている。実質的には、人間モルモットを使った手術練習の未遂事件だ。

【参考記事】「医師、未経験の治療だと説明せず」 がん患者ら提訴へ(朝日新聞)

岡本医師は、塩田学長や松末院長らに被害患者らに対する説明と謝罪を強く進言した。患者らも提訴の動きを見せた。

これに対して病院側は、岡本医師が特任教授を務める小線源治療に特化した寄付講座の閉鎖を発表。一旦、それを撤回したものの、2019年6月30日で、岡本医師による手術を打ち切り、12月末で寄付講座を閉鎖して、岡本医師を病院から完全に追放することを告知した。

それが原因で、岡本医師の任期中に手術のスケジュールが組めない順番待ちの患者が33人も発生した。幸いに、5月20日、大津地裁は病院に対して、11月26日までは、岡本医師の手術を受けられる環境を保障するように命じる仮処分を下した。

『週刊朝日』の記事は、これら一連の経緯を報じている。

岡本医師は、医師として当然のことをしたのだが、それが引き金となり、さまざまな事件が派生し、現在、2件の仮処分申立て、1件の民事裁判、2件の刑事告訴(現在のところ未受理)が提起される事態になっている。山崎豊子の『白い巨塔』の世界よりも醜い事件である。

 

◆ 岡本医師の治療継続を求める動き

岡本医師が実施してきた小線源治療は、岡本メソッドを呼ばれる最先端医療で、高リスクの前立腺癌でも、5年後の非再発率は95%を超える。

その岡本メソッドを守る運動は、急激に広がっている。6月1日には、大津市で大規模なデモ行進が行われた。その様子を、「鹿砦社デジタル通信」が伝えている。

【参考記事】 岡本医師の治療継続を求める滋賀医大小線源治療患者会第2回デモに150名参加!

【岡本メソッドとは】
 岡本メソッドは岡本圭生医師によって開発された前立腺癌の治療で、一般の小線源治療よりも、より高い線量で癌細胞を完全に死滅させる方法だ。が、それにもかかわらず、前立腺周辺の臓器は放射線被曝を回避できる高度な技術である。

 岡本メソッドの成績は、5年後の非再発率が、低リスクの前立腺癌で98.3%、中リスクで96.9%、高リスクでも96.3%である。これに対して一般的な小線源治療、全摘出手術、それに外部照射治療では、非再発率は40%から70%にとどまる。岡本メソッドは、癌が転移さえしていなければ、高リスクの癌でも、浸潤した癌でもほぼ100%完治させることができる。その治療技術は海外でも高い評価を受けている。

  保険の適用もされ、手術件数は1100件を超えている。

 ちなみに高リスクの患者に対しては、小線源治療に加えて、ホルモンを投与するホルモン療法と放射線外照射療法を組み合わせる。これはトリモダリティ療法と呼ばれ、岡本メソッドの優位性のひとつである。