1. 横浜の副流煙裁判、住居での喫煙は改訂健康増進法の規制対象外

横浜・副流煙裁判に関連する記事

2019年04月11日 (木曜日)

横浜の副流煙裁判、住居での喫煙は改訂健康増進法の規制対象外

横浜の副流煙裁判の口頭弁論が4月16日に開かれる。詳細を再告知しておこう。

日時: 4月16日(火)10時 

場所: 横浜地裁 502号法廷
     横浜市中区日本大通9

 (みなとみらい線・日本大通り駅から徒歩1分、JR京浜東北線・関内駅、横浜市営地下鉄線・関内駅から徒歩約10分)

◆改訂健康増進法

口頭弁論に先立って原告から提出された「準備書面(7)」を、被告の藤井さんの許可を得て、読ませてもらった。原告が的外れな主張を展開していることに驚いた。たとえば次の主張だ。

 岡本弁護士が都会議員となって、日本における禁煙活動をすすめ、受動喫煙を制限するための条例制定に尽力していることは事実であり、作田医師もその大きな活動の方向にて、日本禁煙学会理事として尽力していることは当然である。

東京都が定めた受動喫煙を制限するための条例は、7月1日に施行される。この条例の根拠となっているのは、改訂健康増進法である。原告が、健康増進法や東京都の条例制定の流れを受けて、今回の提訴に及んだらしいことは、岡本弁護士が作成した資料が、証拠として提出されていることからも推測できる。。

また、上記の引用にも、「岡本弁護士」の名前が出てくる。

ところがその肝心の健康増進法や東京都の条例をよく読んでみると、受動喫煙対策を取ることが義務付けられる範囲には、一定の制限があることが判る。

(3) 旅館・ホテルの客室等、人の居住の用に供する場所は、(1)の適用除外とする。

【1出典】

【出典2、Q5の箇所】

原告は、被告が自宅の自室で煙草を吸っていたことが原因で化学物質過敏症に罹患し、寝たきりになったと主張して、4500万円を請求しているわけだが、「人の居住」での喫煙は規制の対象にはなっていない。法的には適用除外なのだ。

原告の山田義雄弁護士は、こうした点を熟知した上で、裁判を起こしたのではないか。もし、そうであれば訴権の濫用である。

さらに喫煙運動を促進するために、理不尽な裁判を起こした疑惑もある。ジャーナリズムの検証が不可欠だ。

【事件の概要】
この裁判は、マンションの2階にすむ横山家(仮名)の3人(夫妻と娘)が、同じマンションの1階に住む藤井家の家主・将登さんに4500万円の金銭支払いや喫煙の禁止などを請求したものである。

将登さんが自室で吸っていた煙草の副流煙が原因で、原告3人が化学物質過敏症になったというのが、提訴理由だ。原告は、将登さんの妻・敦子さんも、煙草を吸っていたと主張している。

この事件の最大の問題点は、化学物質過敏症がだれでもなる可能性のある病気であり、その原因もイソシアネートなど、多種多様であるにもかかわらず、藤井将登さんの煙草の副流煙と断定している点である。たとえ煙草の煙であっても、その煙草の発生源は分からないはずだ。団地内に自然発生的にできた「喫煙場」である可能性もあれば、藤井将登さんとは別の住民が吸った煙草の可能性もある。

原告は、戸別に「煙草を吸っているか否か」をアンケート調査したが、煙草をめぐるトラブルが発生している団地で、「煙草を吸っているか否か」を質問されたら、「吸っていない」と答えるのが常識だろう。アンケート調査は信憑性がない。

さらにマンションから50メートルほどのところに幹線道路があり、そこからの排気ガスも団地に流れ込む。原告の1人は、「宮田診断書」の中で「車の排気ガス」に反応(10段階で8評価)することを認めている。これが原因の可能性もある。

また、原告の陳述書からは、新築マンションに入居した生活歴(シックハウス症候群の疑惑)がある事実、医療機関に長期通院するなど日常的に化学物質に接してきた事実、携帯電話のユーザーである事実などが読み取れる。それが化学物質過敏症を引き起こした可能性もある。

もっと広い視野でみると、花粉も化学物質過敏症の引き金になる。

ちなみに横山家の家主・明さんは、元喫煙者だった。このことを昨年の10月まで、裁判所に報告していなかった。

つまり、化学物質過敏症の原因が藤井将登さんが肺から吐き出した煙であると断定することはできないのだ。原告の山田義雄弁護士は、明さんが元喫煙者であることも知っていた。それにもかかわらず原告3人の化学物質過敏症の原因が藤井将登さんの煙草にあると主張し、それを前提に裁判所へ資料を提出してきたのだ。

事件の舞台が団地ということもあり、原告の主張は、多くの住民の耳にも入っている。裁判を取り下げるべきだとの声も上がっている。

ちなみに化学物質過敏症の裁判は、化学メーカーなどを被告とした裁判は、過去に提起されているが、いずれも訴えが棄却されている。個人を、しかも、煙草の煙が化学物質過敏症の唯一の原因として訴えたケースは、横浜のケースがはじめてだ。原告3人が化学物質過敏症である可能性は高いが、何が原因なのかは特定できない。

生活環境の悪化が原因で、化学物質過敏症を誘因する物質があまりにも多いからだ。その代表格のひとつが、芳香剤などのイソシアネートである。米国では大きな問題になり、規制が始まっているが、日本は野放し状態だ。

携帯電話の電磁波も大きな要因のひとつだ。その意味で、原告宅の近辺に携帯電話の基地局がないかどうかを確認する必要もある。また、高圧電線なども電磁波の発生源になる。