1. 内閣府が 同じ題目の政府広報業2件を博報堂に発注、総額は約3億3600万円

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2018年08月10日 (金曜日)

内閣府が 同じ題目の政府広報業2件を博報堂に発注、総額は約3億3600万円

8月2日付けの本サイトで内閣府から大手広告代理店に多額の広報費が支出されている問題を指摘した。例にあげたのは電通だった。

【参考記事】内閣府から電通へ9100万円、熊本地震復興の広報活動が名目、請求書明細は開示されず業務不履行の疑惑も

情報源は、内閣府から入手した約1000枚の請求書や契約書(2016年度分)である。あまりにも量が多く十分な精査は完了していないが、抜き打ち的に検証するだけでも、高額の業務契約書が発見できる。

次に示すのは、内閣府と博報堂の契約書の内容である。

◇2件が全く同じ業務内容

驚くべきことに、内閣府と博報堂の取り引きでは、まったく同じ名目の広報業務が2件発注されている。「社会保障と税の一体改革」(主に「社会保障・税番号(マイナンバー)制度」)と題するPRプロジェクトである。

契約額は、1件目が約1億7200万円。2件目が約1億6600万円だ。

業務内容(調達の範囲)もまったく同じである。

1,広報戦略の立案
2,新聞・雑誌広告原稿の制作・掲載等
3,テレビCMの制作等
4,交通広告の制作・実施等
5,空港ビジョンの放送実施等
6,ジャクラビジョン(自動車教習所)の放送実施等
7,コンビニレジ画面広告の放送実施等
8,ラジオ広告の制作・放送実施等
9,インターネット広告等原稿の制作・掲載等
10,政府広報オンライン特集ページ更新等
11,その他、上記(1)~(10)に付帯する業務

確かに新聞広告を全国の新聞に掲載したり、テレビでCMを流せば、それなりの料金が発生するが、新聞広告の制作などは、プロなら半日もあれば十分に出来る。業務がパターン化されているわけだから、(1)から(11)の業務全体を完成する日数も、おそらく3日もあれば十分だろう。

◇安倍内閣の下で起きている大問題

ちなみに上記業務に対する請求書明細は、黒塗りになっており、知ることができない。請求書にインボイスナンバーも付番されておらず、正規の会計処理が行われていない疑惑もある。

【参考記事】内閣府の裏金づくり疑惑の根拠、広告代理店が演じてきた負の役割

筆者は、内閣府と大手広告代理店の不透明な金の流れを、2016年から取材してきたが、状況はまったく変わっていない。これは実は、安倍内閣の下で起きている大問題のひとつなのだ。

こうした内閣府の問題を放置して自民党総裁選挙はないだろう。

 

【写真】元社員コピーライターで、博報堂DYホールディングス代表取締役社長 兼 博報堂取締役会長