1. 不祥事を多発してきた電通と博報堂、婦女暴行事件から経済事件まで、加計学園事件にゆれる内閣府との取り引きでは両社ともインボイスナンバーがない請求書を送付

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2017年06月15日 (木曜日)

不祥事を多発してきた電通と博報堂、婦女暴行事件から経済事件まで、加計学園事件にゆれる内閣府との取り引きでは両社ともインボイスナンバーがない請求書を送付

Business Journal(6月11日)が、「博報堂子会社の役員、暴行容疑で逮捕の事実が発覚…メディアが一斉に無視の異様さ」と題する記事を掲載している。同ウエブサイトによると、このニュースは、「地元メディアでは、ほぼ報道ゼロ」だという。「なかには『大手広告代理店たる博報堂に、地元メディアが忖度した証左だ』と憤る声もあるという」。

大手広告代理店が関係した事件が絶えない。博報堂だけではなく、6日には電通の社員が、わいせつ容疑で逮捕された。「帰宅中の20代女性をビルの陰に連れ込み、『連絡先を教えないと帰さない』と迫って女性の胸や下半身を触った疑いがある」という。

2008年1月にも、やはり電通の社員が知人の女性にわいせつ行為を行ったとして、強制わいせつ致傷容疑で逮捕された。

博報堂にも同じような実態がある。2008年3月に、社員2名が女性に睡眠薬入りのワインを飲ませ、乱暴しようとしたとして、準強制わいせつで逮捕された。

わいせつ以外の事件も想像以上に多発している。たとえば電通の高橋まつりさんが過労自殺した事件は記憶に新しい。博報堂が関連した事件も、大きくは報じられていないだけで、実は多発している。筆者による電通の取材が不足しているので断言はできないが、博報堂の方が多い可能性もある。

次に示すのは、筆者が作成した博報堂の事件一覧である。

■博報堂の事件一覧

この中で最も知られているのは、郵政関連の事件だろう。民営化された郵政4社の仕事を接待攻勢により独占して、2年間で、約368億円の資金を引き出している。新聞報道によると、契約書もなかったという。この事件については、総務書の報告書も存在する。

ちなみにネット上の2チャンネルなどにある大手広告代理店がらみの事件を含めると、さらに不祥事の件数は増える。

しかし、報道されていないだけで、水面下では他にも事件が起きている可能性もある。大手広告代理店が関連した不祥事は、マスコミがもっとも報じにくいテーマであるから、「忖度」してしまうのだ。冒頭で紹介した博報堂子会社の役員によるDVが、報道の自主規制の典型である。

◇疑惑がある電通・博報堂と内閣府の取り引き

公共事業についても、両社には類似した部分がある。

メディア黒書で報じてきたように、博報堂は内閣府との間で交わした「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの広報実施業務等」のプロジェクトで、インボイスナンバーを外した請求書を4年間で64億円分も発行していた。

インボイスナンバーを外した理由は、現時点では不明だが、博報堂はコンピュータと連動した会計システムを導入しているわけだから、不合理を承知であえてインボイスナンバーを外した事実は、正規の会計システムとは別のところで、これらの収入が経理処理された可能性がある。会計監査を受けていないことも、一応は考え得るのである。

このあたりの事実関係は、現在、会計検査院が調査しているはずだ。しかし、少なくとも「経理」が不透明なことは論をまたない。正常な商取引では、わざわざインボイスナンバーを外す合理的な理由がないからだ。

一方、同じ内閣府との取引については、電通にも不可解な点がある。2015年度に内閣府へ提出した電通からの請求書を調査したところ、博報堂の請求書と同様に、インボイスナンバーが外してあるのだ。

博報堂のケースも電通のケースも、内閣府の指示でインボイスナンバーを外した可能性もある。

これから東京オリンピックへ向けて、大手広告代理店が「活躍」する時代である。国家予算がどのように出費されるのか監視を強める必要がある。不正な出費が明らかになれば、住民訴訟などを提起すべきだろう。

大手広告代理店では、想像以上にモラルハザードが進んでいる。

【写真】博報堂がはいる赤坂Bizタワー