1. テレビ局の不正にメスを入れない総務省・高市総務大臣の弱腰、金銭がらみ・ビジネス上の不正に対しては処罰が当然

大手広告代理店に関連する記事

2017年05月02日 (火曜日)

テレビ局の不正にメスを入れない総務省・高市総務大臣の弱腰、金銭がらみ・ビジネス上の不正に対しては処罰が当然

電波政策を担当しているのは総務省である。その総務省に放送局を監督する能力はあるのだろうか?

2016年2月8日の衆議院予算委員会で、民主党の奥野総一郎議員の質問に答えるかたちで、総務省の高市早苗大臣は、次のように発言している。放送事業で不正行為が行われていた場合、総務省が「行政指導」することもありうるといのである。

 どんなに放送事業者が極端なことをしても、仮にそれに対して改善をしていただきたいという要請、あくまでも行政指導というのは要請になりますけど、そういったことをしたとしても、公共の電波を使って、まったく改善されないということを繰り返した場合に、それに対して何の対応もしないということを、ここでお約束するわけにはまいりません。

 そこまで極端な、電波の停止にいたるような対応を、放送局がされるとも考えてはおりませんけど、法律というのはやはり法秩序をしっかりと守ると。それで違反した場合には、罰則規定も用意されていることによって、実効性を担保すると考えておりますので。

(略)先ほどの電波の停止、私のときにするとは思いませんけれども、将来にわたってよっぽど極端な例、放送法の、それも法規範性があるものについて、何度も行政のほうから要請をしても、まったく遵守しないという場合には、その可能性がまったくないとは言えません。

やはり放送法というものをしっかりと機能させるために、電波法においてそのようなことも担保されているということでございます。

◇大阪朝日放送などが直接かかわった不正疑惑

メディア黒書で繰り返し報じてきたように、最近、テレビCMの間引き疑惑が浮上している。疑惑の根拠としては、次のような事実がある。

①放送確認書(CM放送が実施されたことを立証する書面で、CMコードを付番してコンピューターに入力しておくと、CMが放送された際、自動的に作成される。)が偽造されていた事実。これは衛星放送局・Mnetを舞台に確認されている。クライアントは、化粧品通販のアスカコーポレーションで広告代理店は博報堂である。

放送確認書の画面にwindowsの画面が張り付けてある上に、放送局の住所も間違っている。「千代田区」の後に、「西新橋」が抜けているのだ。初歩的な「偽造のミス」である。おそらくwordで作成した偽造物である。また、番組の放送日が放送確認書の発行日よりも後になっている。あり得ないことだ。詳細については、次の記事を参考にしていただきたい。

■チャンネルMnetに質問状、放送確認書の偽造疑惑について

②放送確認書が代筆されていた事実。「①」で述べたように放送確認書は、コンピューターが自動的に作成する。人による不正を防止するために、自動作成システムになっているのだ。ところが、その放送確認書を博報堂が代筆していたのだ。

■博報堂が代筆した番組放送確認書、放送関係者らから「常識ではありえない」の声

③番組を放送せずに放送局が料金が徴収されていた事実。これも放送番組の間引きの一種である。このケースに該当するのは、大阪朝日放送、北海道テレビ、愛知テレビの3者である。東日本大震災の影響で、通販番組の放送が中止になったにもかかわらず、放送料金を徴収していた。

これら3局は、筆者の取材を拒否している。

■博報堂事件、テレビ北海道とテレビ愛知でも「番組休止→料金請求」が発覚、休止番組を転売の疑惑も

④2015年度の国勢調査の告知CMが放送されていない疑惑。この疑惑については、高市氏が長を務める総務省も無関係ではない。筆者が国勢調査の告知CMが放送されたことを示す放送確認書の提示を総務省に求めたところ、「放送確認書については、履行確認が終了し、処分しております」と書面で回答があった。しかし、行政文書の保存期間は5年である。

ちなみに同じ国勢調査の告知で、新聞告知については契約で決められた回数が行われていなかったことが判明している。間引きした新聞告知の予算をCMに変更したので、問題はないというのが総務省の説明だが、それを立証する放送確認書を破棄していたのだ。

ここで紹介したのは、テレビ局が直接かかわっている不正だが、広告代理店が単独でおこなったものを含めると、視聴率の偽装問題など、その範囲は際限なく広がる。放送業界がある種の無法地帯になっていると言っても過言ではない。

◇総務省に「電波」を監督する能力はない

民主党の奥野総一郎議員の質問に対して、高市大臣は電波停止をもほのめかす強い姿勢を示したが、放送の問題に広告代理店が絡んでくると何もできないようだ。自らが長を務める総務省の職員が放送確認書を廃棄する事件を起こしている問題も不問のままだ。総務省に電波を管理する資格はない。

電波は公共のものであるから、そこで問題が発生すれば、NHKも含め対策を取るのは当然のことだろう。番組内容による「処分」はあってはならないが、ビジネスに関連した不正は、厳しく対処すべきだろう。