1. 博報堂を通じた内閣府からの新聞・テレビへの資金提供システム、本日発売の『週刊金曜日』が報道

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2017年02月24日 (金曜日)

博報堂を通じた内閣府からの新聞・テレビへの資金提供システム、本日発売の『週刊金曜日』が報道

本日発売の『週刊金曜日』が、筆者(黒薮)が執筆したルポを掲載している。タイトルは、「裁量は内閣府次第、政府広報費の杜撰な使い道」、サブタイトルは「見積書もなく口頭とメモだけで博報堂に業務を発注」である。

改めて言うまでもなく、このルポは、筆者が取材している博報堂と内閣府の広報業務を通じたずさんな国家予算の使い方に疑問を呈したものである。内閣府から、博報堂を通じて、新聞社やテレビ局に、湯水のように国家予算を流し込む恐るべきシステムが、2012年ごろから構築されていることを暴露したルポである。

その役割を果たしていたのが、電通ではなく、博報堂だった。ブランドがある電通よりも、業界2位の博報堂の方が、このようなダーティーな役には適任だったということだろうか。ある種の盲点になっていた。

このルポでは触れていないが、最近、総務省が博報堂へ発注した国勢調査の公共広告(新聞)についても重大な疑惑が浮上している。契約では述べ25本の広告出稿が取り決められていたが、博報堂はこのうちの13本を「間引き」して、料金だけは契約どうりに徴収していたのだ。こうした不正行為が国勢調査の結果にも重大な影響を及ぼしたことは間違いない。

さらに文科省と環境省でも、博報堂との間に国家予算の使い方に関して疑惑が持ち上がっている。たとえばたった9ページのウエブサイトが2100万円(文部科学省)等・・・。

◇民間企業アスカの被害

さらに民間企業の被害としては、『週刊金曜日』の3回連載で取り上げたアスカコーポレーション(以下、アスカ)のケースがある。このケースは博報堂とアスカの双方が訴訟を起こしており、複雑な構図のように見えるが、実は単純だ。博報堂がアスカに未払金を請求しているのに対して、アスカが逆に業務の手抜きなどを理由に博報堂に対して損害賠償を求めているのだ。

両者の係争で特に注目されているのは、博報堂が仲介した放送局がアスカのテレビCMを多量に「間引き」していた疑惑である。テレビCMが放送された際に発行される放送確認書に不備があるものが多数(CM件数にすると1508ケース)見つかっており、しかも、その半分以上が博報堂系の衛星放送局・(株)スーパーネットワークが舞台になっている。

また、放送確認書が偽造された決定的な証拠もある。誰が偽造したかは不明だが、博報堂が放送局を仲介しており、責任は免れない。

さらにテレビCMなどを制作する際に博報堂が提出した番組提案書に、博報堂がビデオリサーチのデータを改ざんして記入していたことも明らかになっている。これらの事件は、下記の【博報堂関連の参考記事】に詳しい。

博報堂とアスカの係争の全体像については、次の記事を参考にしてほしい。

【解説】奇怪な後付け見積書が多量に、博報堂事件の構図はどうなっているのか?

 

◇地方自治体の被害

たとえば地方自治体を例にすると、2015年、12月8日付け『産経新聞』〈電子〉は、岩手県の大槌町が、東北博報堂(仙台市青葉区)に依頼した大震災の記録誌編集事業の契約を解除したことを伝えている。その原因は、「納期の7月に内容を確認したところ、被害状況などのデータの羅列にとどまり、震災の悲惨さを伝える記録誌としての完成度は低く、いったん期限を11月末に延長。9月には一部の文章で、県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚した」(産経新聞)からである。

また、2016年3月28日付け朝日新聞(電子)によると、岩手県の施設、いわて県民情報交流センターを管理している東北博報堂など4社が、アルバイトを使って入館者数を水増していたことを報じている。

博報堂とは何か?これまでこの会社の実態はあまり知られていなかったが、一連の事件を通じて、官界との癒着から民間企業に対する手口まで、その全容が浮かび上がりはじめている。

筆者は新自由主義の先端を走るかなりドラスティクな企業という印象を受けている。

 

【博報堂関連の参考記事】

■総務省:博報堂による6億円事業、H27年度国勢調査の新聞広告の間引き、架空請求の決定的な証拠

 

■文部科学省:ウエブサイト9ページに2100万円を支出、国家公務員と博報堂の異常な金銭感覚、背任・詐欺の疑いも?

 

■環境省:博報堂、環境省のクールビスでも国家予算の使途に疑問符、新聞広告では読売と日経を優遇①

 

■防衛省:防衛省に対する博報堂からの請求、自衛隊音楽まつりの企画が4373万円にも、公金の無駄遣いの典型

 

■放送確認書の偽造(民間企業アスカ):チャンネルMnetに質問状、放送確認書の偽造疑惑について

 

■テレビCMの中抜き(民間企業アスカ):博報堂系のスーパーネットワーク社にCM「間引き」の疑惑と温床、10桁のCMコードは未使用

 

■視聴率の改ざん(民間企業アスカ):テレビ視聴率「偽装」の決定的証拠を公開、博報堂の担当員はビデオリサーチ「視聴率」との差異をどう説明するのか?

 

■過去データの流用(民間企業アスカ):博報堂による「過去データ」流用問題、編集の実態、アスカ側は情報誌のページ制作費だけで7億円の過剰請求を主張