1. 博報堂と内閣府に対する国会質問、過去にも共産・吉井英勝氏ら6議員が、その後の改善は見られず

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2017年02月22日 (水曜日)

博報堂と内閣府に対する国会質問、過去にも共産・吉井英勝氏ら6議員が、その後の改善は見られず

内閣府と博報堂のPR戦略に関する種々の疑惑などを指摘した国会質問が、これまで度々繰り返されていたことが分かった。以下で紹介するのは、筆者が調査したものである。綿密に調べれば、さらに増える可能性もある。

しかし、国会質問で指摘され問題点は、ほとんど改善されていない。博報堂や内閣府は、その後も延々と疑惑まみれの業務を続けている。

筆者が調査したところ、国会での追及は2005年から始まり、最も新しい国会質問は、竹本直一議員(自民)によるもので、これは博報堂が福島で除染作業に関する業務を請け負っている疑問を質問したものである。

質問者を政党別にみると、民主党が3人、共産党が2人、自民党が1人。超党派で広告代理店のありかたに疑問を呈してきたことが分かる。

次に示すのは、各議員の議事録の関連部である。

◇6議員の国会議事録

岡崎トミ子(民主):「天下り」と随意契約の関係(H18年)

竹本直一(自民):博報堂が9億6000万円で除染作業(H24)

末松義規議員(民主)環境省からも博報堂へ3年で約90億円の国家予算を注入(H19年)

■参考記事

五十嵐文彦(民主):スリード社の随意契約をめぐる内閣府の疑惑(H17年)

■参考記事

佐々木憲昭(共産):不透明な落札と国策プロパガンダ(H17年)

吉井英勝(共産):不透明な入札・博報堂に5人の国家公務員が天下り(H19年)

■参考記事

◇広告代理店に対するタブー

筆者は共産党には、すでに国会議事録をふくむ博報堂関係の膨大な資料を提供している。共産党は、現在、この問題を調査中である。共産党は、やはり汚職の問題には敏感で、これまでも辣腕ぶりを発揮してきた。安倍首相とメディア企業幹部の「会食」についても、繰り返し報道している。

1980年代に国会で「押し紙」問題を最初に取り上げたのも共産党である。

国会には内閣委員会という委員会があり、当然、内閣府の問題は内閣委員会が中心になって解決することになる。メンバーは次の方である。

■衆議院内閣委員会

■参議院内閣委員会

広告代理店の問題を大手のマスコミが積極的に取り上げることはない。電通のケースがクローズアップされたのは、電通が記者会見を開いて非を認めたからである。また、インターネットメディアの影響力が大きくなっていたからである。

記者会見という点でいえば、博報堂に対しても、国勢調査の公共広告(告示)を「間引き」していた問題で、「記者会見を開いて謝罪すべき」との声が上がっているが、今のところその気配はない。と、なればこの問題を調査している筆者としては、国会の内閣委員会の議員にも、この問題をはじめとする博報堂関連の資料を提供せざるを得なくなる。

ちなみに国税局、証券等取引監視委員会、東証、会計検査院、公正取引委員会、金融庁、あずさ監査法人(博報堂の監査法人)などにも、昨年の暮れあたりから断続的に関係資料を提供している。今月の20日にも、国税局で博報堂関連の資料の説明を行った。

◇反省もなければ改善もない

同じ問題を繰り返し指摘しても、博報堂の実態はまったく改善されない。

筆者は、「押し紙」問題でも同じ体験をしている。「押し紙」は、厳密に言えば戦前からあるのだが、新聞業界は1980年代に国会で問題を繰り返し指摘されても、「押し紙」政策を廃止しなかった。2007年ごろから雑誌が次々と「押し紙」問題を取り上げた際も、「押し紙」は1部も存在しないと開き直った。あげくの果て、裁判を起こした輩までいる。しかし、今、とうとう崩壊の寸前まで追い詰められたのである。

広告代理店や新聞社の経営実態が検証されないのは、取材対象がそのまま取材の当事者であるからだ。とりわけ現在の広告依存型の報道モデルの下では、広告代理店の批判は、みずからの首を絞めることなのである。

一方、大学の研究者も巨大メディアを批判すれば、自分の評論などを発表する場を失うリスクが高くなるので、メディアの問題には沈黙する傾向がある。取材を申し込んでも応じない。ダメなひとが大半を占める。「押し紙」問題でも、同じ態度を取り続けた。

と、なれば筆者も戦略を考案しなければならない。ダイレクトメールやインターネットを使って、ピンポイントで、あるいは不特定多数に情報を提供していく以外に選択肢はない。近々に国会の内閣委員会所属の議員全員に博報堂関連の資料を配布する予定だ。それでも動かなければ刑事告発(背任・詐欺)という段取りになるだろう。

【写真】博報堂と内閣府の8億円プロジェクトの報告書