1. ピークの6662億から、10年で約2000億円減、急落する折込広告の需要

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2017年02月03日 (金曜日)

ピークの6662億から、10年で約2000億円減、急落する折込広告の需要

業界紙の報道によると、新聞の折込広告の需要が激減しているという。「2006年の6662億をピークに、この10年で約2000億円の市場を喪失」したという。原因は、新聞そのものの部数減で、「これは全国紙、地方紙に限らず、全国的に同じ」だというのが、広告関係者の見方である。

折込広告の水増しは、新聞業界では昔から「必要悪」とされてきた。しかし、この論理は、広告主にとっては受け入れがたい。発注して、料金を支払った折込広告が、配布されないばかりではなく、マーケティング戦略を誤るからだ。

2007年に読売新聞の「押し紙」政策を認定した真村裁判の判決が最高裁で確定した後、週刊誌や月刊誌が「押し紙」報道を活発化させたこともあって、折込広告の水増し問題もクローズアップされるようになった。

とはいえ、折込広告の水増し問題が解決した訳ではなかった。「押し紙」が存在する限り、販売店はそれによって生じる損害を折込広告の水増しで相殺する必要に迫られるからだ。さもなければ販売店が倒産する。

◇折込広告の水増しに疑問を呈する店主も

ここ数年は販売店サイドの意識も変化している。都内のある販売店主が言う。

「水増しを続けていると、だれも折込広告を発注しなくなります。結局は、『押し紙』をやめて、正常な経営をすることが、広告主の獲得にもつながります」

しかし、延々と続いてきた折込広告の水増しによる負の影響は想像以上に大きいようだ。最近は、自主的に折込広告の発注枚数を減らすクライアントが増えていて、新聞の実配部数の全部に折り込めないことも少なくないという。

「ただし自治体の広報紙だけは、あいかわらずABC部数に準じて搬入されます。当然、過剰になっています」

◇1700部の実配部数に対してチラシが2400枚

「押し紙」は、厳密にいえば戦前からあったが、社会問題になったのは、1970年代の終わりである。日本新聞販売協会が1977年に全国の新聞販売店に対して残紙調査を行い、搬入部数の8.3%(平均)が残紙になっていると発表した。1980年代に入ると、全日本新聞販売労組の沢田治委員長が国会質問を工作し、共産党、公明党、社会党が「押し紙」を含む新聞販売問題を国会で、15回に渡って取りあげた。

しかし、それでも新聞社は「押し紙」政策を改めなかった。その結果、新聞販売店の重要な収入源である折込広告の広告主を大幅に失ったのだ。

次に示すのは、折込広告の水増しの例である。これがかつての実態だったのだ。この販売店の新聞の実配部数は2005年6月の時点で1702部だった。が、下記の折込広告納品書が示すように、大幅な水増し状態になっている。