1. 内閣府の新聞広告に関する取り引き形態、かつては単価契約だったことが判明

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2017年01月19日 (木曜日)

内閣府の新聞広告に関する取り引き形態、かつては単価契約だったことが判明

内閣府と広告代理店の契約形態は、どう変化したのだろうか? かつては契約書に則した手続を踏んでいたが、博報堂との取り引きが始まった後、疑惑だらけの現在の方式になったことが判明した。

内閣府と広告代理店の間で交わされている新聞の政府広告の契約書を検証する作業の一端として、古い契約書の形態を調べたところ、かなり前から請求額を後付けで増やせる構図になっていることが分かった。これは内閣府の裁量により、広告代理店を通じて新聞社に支払う「広告掲載料」を、自由にコントロールできることを意味する。

あえて広告出稿についての年間計画を公表することもなく、内閣府の裁量に委ねることで、新聞社を飼い慣らすための有力な道具としても機能する。

たとえば平成20年(2008年)4月1日に内閣府と電通の間で交わされた契約書を見てみよう。

契約書の最大の特徴は、契約額が単価で表示されていることである。このケースでは、1段当たりの契約額が約200万円(1,995,000円)となっている。契約期間は、「平成20年4月1日から平成21年3月31日」。

つまり契約期間の1年間に限定して、1段当たり200万円の広告を出稿するという契約である。段数の総数は、広告のスペースや掲載頻度によって異なってくる。出稿数が多ければ、広告代理店と新聞社の収入も、それに連動して増えていく仕組みになっている。

この方式の下では、あらかじめ出稿する広告のプランが示されていないわけだから、内閣府の裁量により、メディア側に流れ込む広告収入が大きく左右される。メディアコントロールの手口という観点からすれば、問題がある制度だが、しかし、法的な汚点はない。

◇契約書にない不思議な業務方式

これに対して現在、内閣府と博報堂の間で交わされている契約では、上記の平成27年度を例にすると、契約額が約6700万円に設定されており、先に紹介した昔のケースのように、単価契約にはなっていない。それにもかかわらず内閣府の裁量で、次々と広告の発注が行われ、その額は20億円を超えている。契約書内容に沿わないことをやっているのだ。

しかも、わたしが取材したところ、内閣府の職員の「口頭とメモ」による指示だけで、見積書も取らないまま、莫大な額の国家予算を引き出し、博報堂に支払っているのである。

契約額の約6700万円が何を根拠にした額なのかという点に関して、内閣府は、「構想費」と説明しているが、その内訳は不明だ。社会通念からして、構想費であれば5万円から10万円程度だろう。金銭感覚そのものが狂っている。

国家予算が極めて安易に引き出されて、博報堂を通じてメディア企業へ流れているのである。

【写真】博報堂の戸田裕一社長