1. お詫びと訂正、記事の一部削除のお知らせ

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2017年01月07日 (土曜日)

お詫びと訂正、記事の一部削除のお知らせ

行政事業レビューシートの金額と請求額がかい離していると報じたメディア黒書の記述を訂正し、関係者に謝罪する。この疑惑について、内閣府と博報堂に質問状を提出したところ、内閣府から回答があった。

12月31日付けのメディア黒書で筆者は、次のように記載した。

行政事業の結果を検証するために省庁が発行している行政事業レビューシートという書面に記された同年度における博報堂への支払い実績を調べたところ、PR業務に関しては、総額で3億5700万円しか支払われていないことが判明した。しかも、その全額が新聞広告の制作と掲載に対するものである。

総額で約20億円の額になる請求書には、いずれも会計課の受領印が押されているわけだから、支払いが承認されたことを意味している。そうすると3億5700万円との差額にあたる約16億4300万円は、非正規のルートから新聞社に流れたと考えるのが自然だ。すなわち裏金疑惑があるのだ。収入として計上されていないわけだから、脱税の可能性もある。

ちなみに支払い実績としてレビューシートに記載されているプロジェクト名は、博報堂の請求書にも記載されているタイトルと同一である。次のものである。

「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの実施(新聞記事下広告の制作・掲載)

内閣府の説明は、上記のレビューシートの他に、別のレビューシートがあり、そこにも博報堂に対する支払い実績が記入されているので、それらを総計すると、請求額とレビューシートに記録された支払い金額の乖離はなくなるというものである。

確かに別のレビューシートには、博報堂への支出として、17億円が記録されている。支払い実績として記載されているプロジェクト名も、ほぼ同じで、次の通りである。

「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの実施〔新聞(記事下)及び雑誌広告の制作・掲載

さらに同じプロジェクト名のレビューシートが2枚あり、金額を合計すると、25億4500万円になる。

■4つのレビューシートに示された各執行実績の詳細

以上の事実関係から、レビューシートに記録された金額が3億5700万円とするメディア黒書の記述は誤りである。博報堂と内閣府、読者には謝罪する。

また、12月31日の記事から、関連部分を削除した。

◇訂正箇所のまとめ

正確な事実関係を踏まえた上での疑問になるが、同じプロジェクトに関する「執行実績」を複数のレビューシートに分散して記入する意味は不明だ。筆者が調べた限りでは、通常、ひとつのプロジェクトは、同一のレビューシートに記入されている。たとえば総務省の国勢調査に関するPRプロジェクトでは、同じレビューシートに全情報があり、しかも、契約額、見積額、レビューシートの支出実績額が一致している。

この点について内閣府に質問したところ、昔からそういう慣行になっているとの説明だった。

レビューシートについての記述を訂正したことで、2015年度(平成27年度)に博報堂が請け負った「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広報テーマの実施」に関する重要な事実は次のようになる。

契約額:約6700万円

情報開示資料から判明した請求額:約20億3500万円(一部不明)

行政事業レビューシートに記された支払い実績:約25億4500万円

見積書の有無:存在しない

請求書の発行:契約終了後(1年契約)

 見積書なしの多額の出費(契約額の38倍)について、違法性がないというのが内閣府の主張である。

博報堂からの回答は現在のところ到着していない。