1. CM「間引き」問題で博報堂の遠藤常二郎弁護士に公開質問状、10桁CMコードの人的な「記載」は不正行為

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2016年08月05日 (金曜日)

CM「間引き」問題で博報堂の遠藤常二郎弁護士に公開質問状、10桁CMコードの人的な「記載」は不正行為

博報堂事件の重要な検証点のひとつに、CMが放映されたことを証明する10桁CMコードが印字されていない多量の放送確認書が発生した原因である。

いずれも博報堂が制作したもので、その本数は1500件を超えている。

このうちの約900件は、博報堂が50%の株式を有する衛星放送局「スーパーネットワーク」で放映がスケジュールに組み込まれたCMである。(最終的な数値はまだ確定していない)。

■事件の全体像については、ここをクリック

これらのCMが「間引き」された疑惑があるのだ。とはいえ、現段階では結論が出たわけではない。あくまでも疑惑で、何か特別な事情があった可能性もある。

しかし、10桁CMコードは、CMが放送されると、コンピュータが自動的に印字される仕組みになっているので、CMコードが非表示になっていれば、原則としては、CMが放送されなかったことになる。領収書に捺印がなければ、法的な観点からは、無効な書面になるのと同じ原理である。

CMコードが非表示になっている事実について、博報堂の遠藤常二弁護士は、第2準備書面の中で「作成者の記載ミスと考えられてもCM放送の実施の有無とは無関係である」と述べている。

かりに遠藤弁護士が公言しているように、博報堂か放送局がCMコードを「記載」するなど人的に操作していたとすれば、放送界を揺るがす大問題である。CM「間引き」とは、また、別次元の問題が出てくる。

◇10桁CMコードは広告主協会など6団体が開発

ちなみにCM「間引き」をコンピュータが監視するシステムは、1990年代に起こったCM「間引き」事件を受けて、広告主を被害から守るために日本広告主協会など6団体が開発したものである。これによりコンピュータが自動的にCM「間引き」を監視するシステムが構築されたのである。

そして「2006年以降は、『10桁CMコード』が付番されていないCM素材は放送しない」(『放送ジャーナル』)ことが業界のルールになったのだ。

遠藤弁護士は、こうした放送界のルールを把握せずに、CMコードの非表示の原因を「作成者の記載ミス」と書いたのかも知れないが、念のために次の質問状を送付した。放送界の問題は、極めて公益性が高いからだ。

しかも、広告主であるアスカコーポレーションが受けた損害額が、前代未聞の額になる。CM1本を50万円として試算すると、CM「間引き」が1500件で4億5000万円になる。

 

【公開質問状の全文】

2016年8月4日

遠藤常二郎先生

発信者:黒薮哲哉(フリーランス記者)
連絡先:電話:048-464-1413
        メール:xxmwg240@ybb.ne,jp
        (FAXは使っていません)

 はじめてご連絡させていただきます。
 わたしは、博報堂が制作したテレビCMの放送確認書に10桁のCMコードが付されていないものが多量に発見された事件などを取材している者です。

  メディア関連の事件は極めて高い公共性を有しておりますので、公開質問状というかたちで問い合わせをさせていただきました。1週間以内に回答いただければ幸いです。

 貴殿が作成されました博報堂を原告とする裁判(平成27年ワ30693)の第2準備書面の冒頭に次のような記述があります。

「(1)同2のうち、甲第5号証に日本民間放送連名の定める10桁のCMコードが記載されていないこと及び乙第23号証にスーパー!ドラマでCMが放送された旨の記載がなされていないことは認めるが、その余は否認する。

   放送確認書は、放送を実施した媒体社の責任において発行されるものであり、媒体が、放送を実施せずに放送確認書を発行することは常識的にあり得ない。スーパー!ドラマでの放送確認書(甲5)が発行されている以上、同番組でCMが放送されていることは明白である。被告らは、甲第5号証にCMコードが記載されていないことや、乙第23号証にスーパー!ドラマに関する記載がないことを理由に甲第5号証の信用性を争っているようであるが、記載のないとは、それぞれの作成者の記載ミスと考えられてもCM放送の実施の有無とは無関係である。」

 文中の最後の方に、CMコードが非表示になっていることについて、「それぞれの作成者の記載ミス」と記されていますが、それぞれの作業者は具体的にどのような手作業で放送確認書を作成されたのでしょうか。

  CM10桁コードはすべてコンピュータで管理されており、人的な作業を加えてはならない、あるいは加えることが出来ないというのが常識になっているはずですが、なぜ、「作成者」の手が加わり、しかも、ミスが発生したのか、その理由を教えてください。

■公開質問状送付の裏付け

※赤文字は筆者