1. 【読売熟読】読売防犯協力会の正体、共謀罪法案の成立で新聞販売店と警察が連携した「住民監視活動」がはじまる

共謀罪・戦争関連法に関連する記事

2017年06月18日 (日曜日)

【読売熟読】読売防犯協力会の正体、共謀罪法案の成立で新聞販売店と警察が連携した「住民監視活動」がはじまる

強行採決で共謀罪法案が成立した。この法案が成立するプロセスで同時進行したのが、加計学園の問題と突如として現れた改憲論である。安倍首相が国会答弁ではからずも口にした「読売新聞を熟読して」は、こうした与党の一連の動きの背景に、読売新聞が共同歩調を取っていることを露呈した。

共謀罪法案の成立は、日本の刑法の運用を根本的に変えてしまう。それが社会全体に計り知れない負の影響を及ぼすことはいうまでもない。

従来、日本の刑法は、犯罪を実行した段階で、警察権力が逮捕権を行使するのが原則だった。ただ、命にかかわるような重大犯罪の場合、これでは手遅れになるので、例外的に犯罪実行の前段でも逮捕権を行使できる犯罪がいくつか指定されている。社会はそれで十分に機能してきたのだ。

ところが共謀罪法案が成立したことで、277の犯罪について、「共謀」(具体的には、話し合いなど)の段階で、逮捕権を行使できるようになった。しかも、この277の犯罪の中には、名誉毀損や著作権違反など出版関係者に直接かかわるものも含まれている。その一方で、政治家に不利にはたらく公職選挙法にかかわる犯罪は除外さている。

政府は、共謀罪法案を成立させる理由として、東京オリンピックに向けて、国連越境組織犯罪防止条約を批准するためと説明しているが、これはまったくの嘘である。国連越境組織犯罪防止条約は、国際金融犯罪を取り締まるためのもので、テロ対策は批准の条件にはなっていない。

共謀罪法案が成立する一連のプロセスの中で、日本の政治家の著しい劣化が明らかになった。

◇「不審人物などを積極的に通報」 

さて、本稿はここからが肝心なのだが、共謀の段階で警察が逮捕権を行使するためには、共謀の証拠を掴む必要がある。スパイ活動は必然になるだろう。

そのスパイ活動の体制はすでに構築されている。しかも、われわれの日常の中に入り込んでいる。

読者は、読売防犯協力会という団体をご存じだろうか。これは読売新聞販(YC)と警察が協力して、「防犯」のための「通報活動」をおこなう組織である。本部は読売新聞社の中にある。

同協会のウエブサイトには、4つの活動目標が記されている。

1.配達・集金時に街の様子に目を配り、不審人物などを積極的に通報する

2.警察署・交番と連携し、折り込みチラシやミニコミ紙などで防犯情報を発信する

3.「こども110番の家」に登録、独居高齢者を見守るなど弱者の安全確保に努める

4.警察、行政、自治会などとのつながりを深め、地域に防犯活動の輪を広げる

【出典】

つまり販売店の従業員が新聞配達や新聞の集金をしながら、「不信な人」を見かけたら、警察へ情報提供する役割を果たすのだ。新聞配達員は、路地の隅々にまで足を運ぶので、この種の活動には適任だ。

集金に訪れた家で、複数の人々が何か打ち合わせをしていて、それを不信に感じれば携帯電話で警察に通報する。こうした役割を担うのだ。

◇再び「読売新聞を熟読して」 

読売防犯協力会と覚書を交わしている全国の警察は次の通りである。

■覚書を交わしている全国の警察

安倍首相が国会答弁で、「読売新聞を熟読して」と言ったのは、偶然ではない。読売は、日本の極右勢力と連動している極めて危険な新聞社なのである。

 

【写真】左:安倍首相。右:読売新聞の元社長、特高警察出身の正力松太郎